「僕も行く」ロンが言った。
一いっ瞬しゅんの空くう白はくがあった。
「さて、私わたしはほとんど必要ないようですね」ロックハートが、得とく意いのスマイルの残ざん骸がいのような笑いを浮うかべた。「私はこれで――」
ロックハートがドアの取っ手に手を掛かけたが、ロンとハリーが、同時に杖つえをロックハートに向けた。
「先に降りるんだ」ロンが凄すごんだ。
顔がん面めん蒼そう白はくで杖もなく、ロックハートはパイプの入口に近づいた。
「君たち」ロックハートは弱々しい声で言った。「ねえ、君たち、それが何の役に立つというんだね」
ハリーはロックハートの背中を杖で小こ突づいた。ロックハートは足をパイプに滑り込ませた。
「本当に何の役にも――」
ロックハートがまた言いかけたが、ロンが押したので、ロックハートは滑り落ちて見えなくなった。すぐあとにハリーが続いた。ゆっくりとパイプの中に入り込み、それから手を離はなした。
ちょうど、果はてしのない、ヌルヌルした暗い滑り台を急きゅう降こう下かしていくようだった。あちこちで四し方ほう八はっ方ぽうに枝えだ分わかれしているパイプが見えたが、自分たちが降りていくパイプより太いものはなかった。そのパイプは曲りくねりながら、下に向かって急きゅう勾こう配ばいで続いている。ハリーは学校の下を深く、地ち下か牢ろうよりも一いっ層そう深く落ちていくのがわかった。あとから来るロンがカーブを通るたびにドスンドスンと軽くぶつかる音をたてるのが聞こえた。
底に着地したらどうなるのだろうと、ハリーが不安に思いはじめたその時、パイプが平らになり、出口から放ほうり出され、ドスッと湿った音をたてて、暗い石のトンネルのジメジメした床に落ちた。トンネルは立ち上がるに十分な高さだった。ロックハートが少し離はなれたところで、全身ベトベトで、ゴーストのように白い顔をして立ち上がるところだった。ロンもひゅーっと降おりてきたので、ハリーはパイプの出口の脇わきに避よけた。