「学校の何キロもずーっと下のほうに違いない」ハリーの声がトンネルの闇やみに反はん響きょうした。
「湖の下だよ。たぶん」暗いヌルヌルした壁かべを目を細めて見回しながら、ロンが言った。
三人とも、目の前に続く闇をじっと見つめた。
「ルーモス 光よ」ハリーが杖つえに向かってつぶやくと、杖にまた灯あかりが点ともった。
「行こう」ハリーがあとの二人に声をかけ、三人は歩きだした。足音が、湿った床にピシャッピシャッと大きく響ひびいた。
トンネルは真っ暗くらで、目と鼻の先しか見えない。杖つえ灯あかりで湿っぽい壁に映うつる三人の影かげが、おどろおどろしかった。
「みんな、いいかい」そろそろと前進しながら、ハリーが低い声で言った。「何かが動く気配を感じたら、すぐ目をつぶるんだ……」
しかし、トンネルは墓はか場ばのように静まり返っていた。最初に耳みみ慣なれない音を聞いたのは、ロンが何かを踏ふんづけたバリンという大きな音で、それはネズミの頭ず蓋がい骨こつだった。ハリーが杖を床に近づけてよく見ると、小さな動物の骨がそこら中に散らばっていた。ジニーが見つかった時、どんな姿になっているだろう……そんな思いを必死ひっしで振ふり切りながら、ハリーは暗いトンネルのカーブを、先頭に立って曲がった。
「ハリー、あそこに何かある……」
ロンの声が嗄かすれ、ハリーの肩をぎゅっとつかんだ。三人は凍こおりついたように立ち止まって、行く手を見つめた。トンネルをふさぐように、何か大きくて曲線を描えがいたものがあった。輪りん郭かくだけが辛かろうじて見える。そのものはじっと動かない。
「眠っているのかもしれない」
ハリーは息をひそめ、後ろの二人をちらりと振ふり返った。ロックハートは両手でしっかりと目を押おさえていた。ハリーはまた前方を見た。心臓の鼓こ動どうが痛いたいほど速はやくなった。