ゆっくりと、ぎりぎり物が見える程てい度どに、できるかぎり目を細くし、ハリーは杖を高く掲かかげて、その物体にじりじりと近寄った。
杖灯りが照てらし出したのは、巨大な蛇へびの抜ぬけ殻がらだった。毒どく々どくしい鮮あざやかな緑色の皮が、トンネルの床にとぐろを巻いて横たわっている。脱だっ皮ぴした蛇は、優ゆうに六メートルはあるに違いない。
「なんてこった」ロンが力なく言った。
後ろのほうで急に何かが動いた。ギルデロイ・ロックハートが腰を抜かしていた。
「立て」ロンが、ロックハートに杖を向け、きつい口調で言った。ロックハートは立ち上がり――ロンに飛びかかって床に殴なぐり倒した。
ハリーが前に飛び出したが、間に合わなかった。ロックハートは肩で息をしながら立ち上がった。ロンの杖つえを握にぎり、輝かがやくようなスマイルが戻もどっている。
「坊ぼうやたち、お遊びはこれでおしまいだ 私わたしはこの皮を少し学校に持って帰り、女の子を救すくうには遅おそすぎたとみんなに言おう。君たち二人はずたずたになった無む残ざんな死し骸がいを見て、哀あわれにも気が狂ったと言おう。さあ、記き憶おくに別れを告つげるがいい」
ロックハートはスぺロテープで張はりつけたロンの杖を頭上にかざし、一声叫さけんだ。
「オブリビエイト 忘れよ」
杖は小こ型がた爆ばく弾だんなみに爆ばく発はつした。ハリーは、蛇へびのとぐろを巻いた抜ぬけ殻がらに躓つまずき、滑すべりながら両手でさっと頭を覆おおって逃げた。トンネルの天てん井じょうから、大きな塊かたまりが、雷かみなりのような轟ごう音おんをあげてバラバラと崩くずれ落ちてきたのだ。次の瞬しゅん間かん、岩の塊が固い壁かべのように立ちふさがっているのをじっと見ながら、ハリーはたった一人でそこに立っていた。
「ローン」ハリーが叫んだ。「大だい丈じょう夫ぶか ロン」
「ここだよ」ロンの声は崩れ落ちた岩石の影かげからぼんやりと聞こえた。
「僕ぼくは大丈夫だ。でもこっちのバカはだめだ。――杖で吹ふっ飛ばされた」
ドンと鈍にぶい音に続いて「アイタッ」と言う大きな声が聞こえた。ロンが、ロックハートの向こう脛ずねを蹴け飛とばしたような音だった。
嘭!魔杖突然爆炸了,其威力不亚于一枚小炸弹。哈利用胳膊护住脑袋,撒腿就跑,被盘绕着的蛇皮绊倒,躲过了从隧道天花板上崩落到地面上的大块碎石。然后,他站起来,独自面对着一堵厚厚的碎石墙。