「そうでしたか」
マクゴナガル先生は、ハリーがちょっと息を継ついだ時に、先を促うながすように言った。
「それで入口を見つけたわけですね――その間、約百の校こう則そくを粉こな々ごなに破ったと言っておきましょう。――でもポッター、一いっ体たい全ぜん体たいどうやって、全員生きてその部屋を出られたというのですか」
さんざん話して声が嗄かすれてきたが、ハリーは話を続けた。フォークスがちょうどよい時に現れたこと、「組分け帽子」が、剣つるぎをハリーにくれたこと。しかし、ここでハリーは言葉を途と切ぎらせた。それまではリドルの日記のこと――ジニーのこと――に触れないようにしてきた。ジニーは、ウィーズリーおばさんの肩に頭をもたせかけて立っている。まだ涙なみだがポロポロと静かに頬ほおを伝って落ちていた。――ジニーが退たい学がくさせられたらどうしよう 混こん乱らんした頭でハリーは考えた。リドルの日記はもう何もできない……。ジニーがやったことは、リドルがやらせていたのだと、どうやって証しょう明めいできるだろう
本ほん能のう的てきに、ハリーはダンブルドアを見た。ダンブルドアが微かすかに微笑ほほえみ、暖だん炉ろの火が、半はん月げつ形がたのメガネにちらちらと映うつった。
「わしが一番興きょう味みがあるのは」ダンブルドアがやさしく言った。
「ヴォルデモート卿きょうが、どうやってジニーに魔法をかけたかということじゃな。わしの個人的情じょう報ほうによれば、ヴォルデモートは、現在アルバニアの森に隠かくれているらしいが」
――よかった。――暖かい、すばらしい、うねるような安あん堵ど感かんが、ハリーの全身を包んだ。