「先生」しばらくしてまたハリーは口を開いた。
「『組くみ分わけ帽ぼう子し』が言ったんです。僕が、僕がスリザリンでうまくやっていけただろうにって。みんなは、しばらくの間、僕をスリザリンの継けい承しょう者しゃだと思っていました。……僕が蛇へび語ごが話せるから……」
「ハリー」ダンブルドアが静かに言った。
「きみはたしかに蛇語を話せる。なぜなら、ヴォルデモート卿きょうが――サラザール・スリザリンの最後の子し孫そんじゃが――蛇語を話せるからじゃ。わしの考えがだいたい当たっているなら、ヴォルデモートがきみにその傷きずを負わせたあの夜、自分の力の一部をきみに移してしまった。もちろん、そうしようと思ってしたことではないが……」
「ヴォルデモートの一部が僕に」ハリーは雷かみなりに打たれたような気がした。
「どうもそのようじゃ」
「それじゃ、僕はスリザリンに入るべきなんだ」
ハリーは絶ぜつ望ぼう的てきな目でダンブルドアの顔を見つめた。
「『組分け帽子』が僕の中にあるスリザリンの力を見み抜ぬいて、それで――」
「きみをグリフィンドールに入れたのじゃ」ダンブルドアは静かに言った。
「ハリー、よくお聞き。サラザール・スリザリンが自みずから選び抜いた生徒は、スリザリンが誇ほこりに思っていたさまざまな資質ししつを備そなえていた。きみもたまたまそういう資質を持っておる。スリザリン自身の、希まれにみる能のう力りょくである蛇語……機き知ちに富とむ才さい知ち……断だん固こたる決意……やや規き則そくを無む視しする傾けい向こう」
ダンブルドアはまた口髭ひげをいたずらっぽく震ふるわせた。
「それでも『組分け帽子』はきみをグリフィンドールに入れた。きみはその理由を知っておる。考えてごらん」