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世界の指揮者52

时间: 2018-12-14    进入日语论坛
核心提示: キングレコードの『クレメンス・クラウスの芸術』第一巻につけられた門馬直美氏の解説をよむと、クラウスの父親はオーストリア
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  キングレコードの『クレメンス・クラウスの芸術』第一巻につけられた門馬直美氏の解説をよむと、クラウスの父親はオーストリア帝室と姻戚《いんせき》関係にあって、近衛《このえ》の騎兵隊に属する貴族であり、母親は女優からソプラノ歌手となり、後にはヴィーンのフォルクス・オーパー(つまりオペレッタや何かをやる劇場である)の舞台監督になった。それに大伯母というのが、また、パリのオペラ座でプリマ・ドンナだった。それからまたクレメンスの祖父は、ナポレオン時代のヨーロッパ政界の大立物メッテルニヒ宰相の秘書をつとめていた、という話である。私は、ほかでも何か、これに類する記事を読んだ覚えがあるのだが、記憶が不確かなので、門馬氏の文章によらせていただく。
 ヴィーンというところは、実におもしろいところで、あすこにいると実にいろいろな噂《うわさ》を耳にするものである。噂ばなし、現代日本語でいうところの口コミというやつで、新聞とか雑誌とかいう活字になって伝えられる情報とはまたちょっと趣のちがった情報である。「こんなことは新聞には絶対に出ないけれど、実は近々カラヤンがヴィーンの国立オペラにまた返り咲くらしい」とか何とかいったたぐいの話から、「これは実は国家秘密だけれど、近くソ連のブレジネフが中国の共産党幹部と会見するらしいよ。場所? もちろん、ヴィーンのホテル○○だよ」とか、いやもう、実にいろんな話が、どこからともなく流れてきて、また、消えてゆく。そんな話の中でも、音楽家をめぐる噂は、みんなが興味をもっているうえに、あんまり天下の形勢と関係がなく、いわば無害だから、よけいみんなが口にしてみるのかもしれない。そういう中で、私は、アルバン・ベルクの未亡人は、実は前のオーストリア・ハンガリー帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ二世の庶出児だとかいった噂をきいたこともある。事実、私は一度音楽会で、たまたま席が近かったので、彼女に紹介されたことがあるが、色白のホッソリした、いかにも繊細で品のよい貴婦人だった。いや、こんなことを書いていると、差し出されて握った彼女の手が、これまた真っ白で、優しい形をして、皮膚がまるで人間のそれとも思えないくらい柔らかだったような気がしてくる。果たして本当にそうだったか。あんまり、本当らしいものだから、私はかえって迷ってしまうのだが、彼女の物腰の優に淑《しと》やかだったこと、これは本当である。
 私がこんなことを長々と書くのも、実は、クラウスについても、何かこの種の噂をきいた覚えが、ぼんやりとあるからでもあり、もう一つは、写真などでみるクラウスの顔や形には、いかにも長い伝統を背負った文化圏での芸術家といったおもかげで、アルバン・ベルク夫妻と共通するものがあると見えるからでもある。
 写真などで見るとクラウスは、一度見たら忘れられないような顔をしている。ブロンズの肖像にこそふさわしいような彫り跡の鮮かな顔の中央に、大きな鼻が、古代ローマの貴族のそれといった恰好で、垂れさがっている。その鼻の根本の両側にはくっきりと見事な線を描いて曲がっている長い眉があり、その下の目は大きく(瞳《ひとみ》はどんな色をしていたのかしら?)、長い睫毛《まつげ》とたれさがった瞼《まぶた》と目の下と、その全部を通じて、そこにかなり黒い翳《かげり》が現われていたように見える。その黒いしみと、左右に大きく拡がった鼻翼とは、この顔の持ち主の官能的で情熱的な性格を物語る証《あか》しのように思われるのだが、それに対して、上下の唇は、写真によって実にさまざまに相違していて、厚いのか薄いのか——ときには冷たく見え、ときには際立って肉感的に見え、おそらく、顔の中でもいちばん表情の変化にとんだ部分だったのかもしれない。額は、とりわけて高いというのでもないらしく、むしろ円味を帯びて、うしろに向かって反っているかのようだ。
 それから大きな両手(彼は、ピアノも巧みにひいた)。身長はかなりあったのではなかろうか。少なくとも、写真でみると、ボスコフスキーより、よほど大きいし、別の写真ではR・シュトラウスより高いが、シュトラウス自身もかなり長身の人だったはずだから、クラウスは、むしろ長身の堂々たる美男子ということになるのではなかろうか。
 ベルクの肖像は、ここで思い出すまでもないだろう。ベルクは、たしか、一八八五年の生まれだった。十九世紀末に生まれたヴィーンの音楽家たちの中には、よくこの二人のように、極度に官能的で肉感的な、しかも、精神的なものに対しても並外れて敏感で、ほとんど透視的といってもよいくらいの洞察力にめぐまれた素質を感じさす人がいたようである。そのうえに、ベルクもそうだがクラウスという人も、音楽以外でも、並々ならずひろい教養の持ち主だった。これは、R・シュトラウスにみこまれて、彼の晩年の名品『カプリッチョ』の台本を提供したという事実を思い出してみても、わかることである。シュトラウスという人は、長年にわたって、ホーフマンスタールのような当代最大の詩人の一人を相手にオペラを書いてきた人なのだから、よほどの教養と鑑識と才能がなければ、台本作家としてこの人の眼鏡にかなうことはできないはずである。
 教養と感覚と、クレメンス・クラウスは、この両方を兼ねそなえた今世紀前半のヴィーン出身の名指揮者だったのである。
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