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怪指纹:戴墨镜的男人

时间: 2021-08-15    进入日语论坛
核心提示:黒眼鏡の男 三人は暫くの間言葉もなく茫然(ぼうぜん)と顔見合せていた。死体をガラス箱に入れて、衆人の目に曝(さら)すという、
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黒眼鏡の男


 三人は暫くの間言葉もなく茫然(ぼうぜん)と顔見合せていた。死体をガラス箱に入れて、衆人の目に(さら)すという、余りにも奇怪な着想に、流石(さすが)の犯罪専門家達もあっけにとられてしまったのだ。
「ごらんなさい。この死体には全身に化粧が施してある。唇なんかも念入りにルージュが塗ってある。蝋人形らしくするのに、こんな手数をかけたのですね」
 中村係長が感に堪えたように口を切った。
 如何にもそれは死体とは考えられぬ程(なま)めかしい色艶(いろつや)であった。犯人は死体化粧によって、そこに一つの芸術品を創造したのだ。彼が人なき部屋、ほの暗き燈火の下で、死体とたった二人のさし向い、ギラギラと目を光らせ、唇をなめずりながら、絵筆を執って、悪魔の美術品製作に余念のない有様が、まざまざと瞼の裏に浮かんで来るように感じられた。
 博士も警部も、川手雪子の顔を知らなかったけれど、種々の事情を考え合せて、この艶めかしい死体こそ、捜索中の雪子さんであることは明かであった。何よりの証拠は、ガラス箱の表面に残されていた悪魔の指紋である。あの怪物の顔のように見える三重渦状紋である。こんな気違いめいた怪指紋を持った奴が、外にある筈はないからだ。
「恐ろしい犯罪だ。僕は永年犯罪を手がけて来たけれど、こんなのは初めてですよ。気違い沙汰だ。この犯人は復讐にこり固まって、精神に異状を来たしているとしか考えられませんね」
 中村警部が沈痛な面持で呟いた。
「イヤ、気違いというよりも(むし)ろ天才です。邪悪の天才です。これほど効果的な復讐があるでしょうか。自分の娘が惨殺されたばかりか、その死体が、しかも裸体(はだか)の死体が、展覧会に陳列されているのを見る父親の心持はどんなでしょう。こんなずば抜けた復讐が、並々の犯罪者なんかに思いつけるものじゃありません」
 宗像博士は、犯人を讃美するような口調でさえあった。博士は今、この稀代(きだい)の大悪人、絶好の敵手を見出して、武者震いを禁じ得ない(てい)であった。鋭い両眼は、まだ見ぬ大敵への闘志に、爛々(らんらん)と輝き(はじ)めたかと見えた。
「ところで、この死体は雪子さんに違いないと思いますが、(なお)念のために川手氏にここへ来て(もら)ってはどうでしょうか。僕が電話をかけましょう。それから、僕としては直様(すぐさま)検死の手続きをしなければなりません。それも一緒に電話をかけましょう」
 中村警部はそう云って、係員に電話の所在を訊ねた。
「それと、もう一つ大切なことがあります。この死体を出品した人形製作者を取調べることです。事務所の帳簿を調べて、すぐそこへ人をやるのですね」
 博士が注意すると、警部は(うなず)いて、
「如何にもそうでした。よろしい。電話の(ついで)に刑事を呼んで、すぐ調査に着手させましょう」
 と云い捨て、そそくさと階下の電話室へ降りて行った。
 科学陳列館は、直ちに一般観衆の入場を禁止して、現場(げんじょう)保存に(つと)め、博士と捜査係長と数名の係員とが、ボソボソと小声に(ささや)き交しながら待つうちに、やがて、真青になった川手氏が自家用車を飛ばして駈けつけたのを先頭に、警視庁捜査課、鑑識課の人々、裁判所の一行、所轄警察署の人々と次々に来着し、それにつづいて、耳の早い新聞記者の一団が、陳列館の玄関に押しかけるという騒ぎとなった。
 川手氏は、死体を一目見ると、目をしばたたきながら、雪子さんに相違ないことを証言した。それから警察医の検死、鑑識課員の指紋検出、訊問(じんもん)と、取調べは型通りに進んで行ったが、雪子さんの死因が毒殺らしいこと、死後八九時間しか経過していないことなどが推定された外は、別段の発見もなかった。例の怪指紋は宗像博士が発見したものの外には一つも検出されなかった。
 その取調べの最中、現場に立合っていた宗像博士のところに、惶しく一枚の名刺がとりつがれた。博士はそれをチラッと見ると、すぐさま傍らにいた中村捜査係長に囁いた。
「助手の小池君がやって来たのですよ。例のカフェアトランチスの件で至急に会いたいというのです。態々(わざわざ)こんなところまで追っかけてくる程だから、恐らく何か大きな手掛りを掴んだのでしょう。別室を借りて報告を聞こうと思いますが、あなたも来ませんか」
「アトランチスというと、木島君が手紙を書いたカフェですね」
「そうです。あの手紙を白紙とすり換えた奴が分ったかも知れません」
「それは耳よりだ。是非(ぜひ)僕も立合わせて下さい」
 警部はそこにいた係員に耳打ちして、階下の応接室を借り受けることにし、小池助手をそこに通すように頼んだ。
 二人が急いで応接室に入って行くと、背広姿の小池助手が、緊張に青ざめて待ちうけていた。
「先生、又大変なことが起ったらしいですね。……川手さんのお宅ではないかと思って、電話をかけますと、川手さんは先生に呼ばれてここへ来られたという返事でしょう。それで、先生のお出先がやっと分ったのです」
「ウン、突然ここへ来るようなことになったものだからね。事務所へ知らせて置く(ひま)がなくて……ところで、用件は?」
 博士が訊ねると、小池はグッと声を落して、
「犯人の風体が分ったのです」
 と、得意らしく囁いた。
「ホウ、それは早かったね。で、どんな奴だね」
「昨夜あれからアトランチスへ行ったところが、ひどく客が込んでいて、ゆっくり話も出来なかったものですから、今日もう一度出掛けて見たのです。女給達がやっと目を覚ましたばかりのところへ飛び込んで行ったのです。
 すると、丁度木島君のお馴染(なじみ)の女給が居合せて、昨日のことをよく覚えていてくれました。木島君は午後三時頃あのカフェへ行って、飲物も命じないで、用箋(ようせん)と封筒を借りて、しきりと何か書いていたそうです。それを書き終ると、ホッとしたように女給を呼んで、好きな洋酒を命じ、それから二十分ばかりいて、プイと出て行ってしまったというのです」
「それで、その時木島君の近くに、怪しい奴はいなかったのかね」
「いたのですよ。女給はよく覚えていて、その男の風采(ふうさい)を教えてくれましたが、何でも年は三十五六位、小柄な華奢(きゃしゃ)な男で、青白い顔に大きな黒眼鏡をかけていたといいます。髭はなかったそうです。服装は、黒っぽい背広で、カフェにいる間、まぶかに冠った鳥打帽(とりうちぼう)を一度も脱がなかったといいます。
 その男が、木島君が手紙を書き終った頃、隣の席へ移って来て、何だか慣れなれしく木島君に話しかけ、別にシェリー酒を命じて、木島君に勧めたりしていたそうです。恐らくそのシェリー酒の中へ毒薬を混ぜたのではないでしょうか」
「ウン、どうやらそいつが疑わしいね。しかし女給の漠然とした話だけでは、そのまま信じる訳にも行かぬが……」
「イヤ、女給の話だけじゃありません。僕は動かすことの出来ない証拠品を手に入れたのです」
「エッ、証拠品だって?」
 博士も中村警部も、思わず膝を乗り出して、相手の顔を見つめた。
「そうです。ごらん下さい。このステッキです」
 小池はそう云いながら、部屋の隅に立てかけてあった黒檀(こくたん)のステッキを持って来て、二人の前にさし出した。見れば、その握りの部分全体に、厚紙を丸くして(かぶ)せてある。
「指紋だね」
「そうです。消えないように、十分用心して来ました」
 丸めた厚紙をとると、下から銀の握りが現われて来た。
「ここです。ここをごらん下さい」
 小池は握りの内側を指さしながら、ポケットから拡大鏡を取出して博士に渡した。博士はそれを受取って、示された部分に当てて見る。警部が無言で横からそれを覗き込む。
「オオ、三重渦状紋だ!」
 木島助手が持帰った靴箆に残っていたのと、寸分(たが)わぬお化けの顔が笑っていた。
「このステッキは?」
「その黒眼鏡の男が忘れて行ったのです」
「そいつはアトランチスの定連(じょうれん)かね」
「イイエ、全く初めての客だったそうです。木島君が帰ると、間もなくそいつも店を出て行ったそうですが、今朝になっても、ステッキを取りに来ないということです。多分永久に取りに来ないかも知れません」
 アア、小柄で華奢な黒眼鏡の男。そいつこそ稀代の復讐鬼なのだ。お化けのような三重渦巻の怪指紋を持った悪魔なのだ。
「とりあえず、それだけ御報告しようと思って。それから、このステッキを先生にお調べ願いたいと思いまして、急いでやって来たのです。もう風采が分ったからには、何としてでも、そいつの足取りを調べて見ます。そして、悪魔の巣窟(そうくつ)を突きとめないで置くものですか。では、僕、これで失礼します」
「ウン、抜け目なくやってくれ給え」
 博士に励まされて、若い小池助手はいそいそと陳列館を出て行った。
 それから間もなく、死体陳列事件の取調べも終り、そこに(あつま)っていた人々は、それぞれ引取ることになったが、宗像博士は中村係長の承諾を得て、黒檀のステッキを研究室に持帰り、拡大鏡によって綿密な検査をしたけれど、ごくありふれた安物のステッキで、製造所のマークもなく、例の怪指紋の外にはこれという手掛りも得られなかった。
 雪子さんの死体は直ちに大学に運ばれ、翌日解剖に附されたが、その結果をここに記して置くと、彼女の死因は、やはり毒物の嚥下(えんか)によることが明かとなった。のみならず、丁度その前日、木島助手の死体も同じ場所で解剖されたのだが、その内臓から検出された毒物と、雪子さんのそれとが、全く同じ性質のものであったことも判明した。これによって、雪子さんと木島助手の殺害犯人が同一人であることは、一層明瞭になった訳である。
 なお、雪子さんの死体を蝋人形として出品した人形工場については、中村係長自身その工場に出向いて、厳重に取り調べたところ、工場主は、そういう形のガラス箱はまったく覚えがない、恐らく何者かが工場の名を(かた)って納入したのであろうと主張した。そして、それには一々確かな()(どころ)があったので、係長もたちまち疑念をはらし、犯人の用意周到さに驚くばかりであった。
 死体入りのガラス箱を陳列館に運び入れた運送店が調べられたことは云うまでもない。しかし、それも何等得る所なくして終った。やはりある運送店の名が騙られていた。それを受取った陳列館員の記憶によると、人夫は都合三人で、似たような汚らしい男であったが、中でも親分らしい送状(おくりじょう)に判を取って行った人夫は、左の目が悪いらしく、四角く畳んだガーゼに紐をつけて、そこに当てていたということであった。手掛りといえば、それが唯一の手掛りであった。

    三人一时说不出话来,只是目瞪口呆地面面相觑,连专门对付犯罪的专家们都为将尸首放进玻璃箱抛露于众目之下的奇特主意感到惊愕。
 
    “请看,这户首全身搽着粉,嘴唇上也细心地抹着口红,是为了使她像一个偶人才这样费手脚的。”
 
    中村股长不无感慨地说。
 
    虽然博士和警部都不认识川手雪子的脸,但把种种情况综合起来考虑,显然这娇艳的尸体正是失踪的雪子。最重要”的证据就是留在玻璃箱表面的恶魔的指纹——看上去像是那怪物的脸的三重涡状纹,因为另外不会有这种怪指纹的家伙了。
 
    “这犯罪真可怕!我搞了多年的犯罪侦查,这样的还是第一次呀。简直是发了疯!只能认为这犯人热中于复仇,招来了精神错乱。”
 
    中村警部以沉痛的表情自言自语道。
 
    “不,与其说是疯子不如说是天才,一种邪恶的天才。还有这般卓有成效的报复吗?!看到自己的女儿惨遭杀害,而且尸首陈列在展览会中的父亲,他的心情是怎样的呢?这种超人的复仇不是一般罪犯所能想到的!”
 
    宗像博士甚至是一副赞美犯人的口气。博士看上去好像发现了当代独一无二的大坏人、自己绝好的敌手,不禁精神抖擞。总觉得他那锐利的双眼已经开始充满了对尚未见到的大敌的斗志。
 
 
 
 
    “这具尸体我想一定是雪子,但为了慎重起见,请川手来一趟这儿怎么样?我来打电话吧。另外,我还必须立即办验尸的手续,这也一起打电话吧。”
 
    中村警部说罢就向工作人员讯问了打电话的地方。
 
    “还有一件重要的事,就是调查展出这具尸体的倡人制作人。查一下事务所的帐簿,立即派人去那儿!”
 
    博士一提醒,警部立即#点头:
 
    “说得对。行。我打电话顺便把刑警叫来,让他们立即着手调查。”
 
    说完就匆匆忙忙到楼下的电话室去了。
 
    科学陈列馆立即禁止一般观众入场,努力保持现场。就在博士、侦查股长和几名工作人员一边叽叽咕咕地小声交谈一边等候时,不一会儿,以开着自备汽车赶来的脸色苍白的川手为先导,警视厅侦查科、鉴定科的人以及法院的一行和所管辖的警察署的人都陆续赶到,紧接着消息灵通的一批新闻记者也拥到了陈列馆的大门口,展览会顿时闹腾起来。
 
    };睁看了一眼尸首就眨着眼睛作证说那一定是雪子。随后按照固定的顺序由警医验了尸,由鉴定科的科员检验出了指纹,并盘问、传讯了有关人员,但除了推定雪子的死因像是毒杀、死后只经过了八九小时以外,别的没有什么发现。那怪指纹除了宗像博士发现的那个以外再也没有检验出一个来。
 
    正在进行审讯的时候,在场的宗像博士那儿有人匆匆地传来一张名片。博士瞅了一眼,立即对身旁的中村侦查股长低声说:
 
 
 
 
    “是助手小池君来了,说是因那件‘亚特兰蒂斯’咖啡馆的事想马上见我。是特意赶到这种地方来的,恐怕掌握了什么重大线索吧。我想借另一间屋子听一下汇报;你也来吗?”
 
    “你说的‘亚特兰蒂斯’,是木岛君写信的那家咖啡馆吧?”
 
    “是的。说不定知道了那个用白纸顶替那封信的家伙。”
 
    “那真值得一听,请务必让我也在场。”
 
    警部跟在那儿的工作人员耳语了几句,决定借楼下的接待室,让他们把小池助手带到那儿去。
 
    两人急忙跑进接待室,只见身穿西服的小油助手脸色苍白地紧张等候着。
 
    “先生,好像又发生了一起重大案件吧……心想可能是川手家,打电话一问,那边回答说川手被先生喊到这儿来了,所以这才知道先生的去处。”
 
    “哦。事情来得突然嘛,所以没有功夫通知事务所……我说,你有什么事?”
 
    博士一问,小池就一下子放低了声音,得意洋洋地说:
 
    “知道了犯人的模样。”
 
    “噢,好快啊!那么是什么样的家伙呢?”
 
    “昨晚,我随后就去了‘亚特兰蒂斯’,但顾客很多,连话都不能好好儿说,所以今天又去了一下。是女招待们刚刚醒来的时候进去的。刚巧与木岛君相好的那位女招待在场,昨天的事她记得很清楚。据说木岛君下午三点左右去了那家咖啡馆,但没有叫端饮料,而是借了信笺和信封,一个劲儿地写着什么。一写完就舒了一口气似地叫来了女招待,吩咐她端来了他爱喝的西洋酒,呆了二十分钟后扭头就走了。”
 
    “那么,当时木岛君附近有没有可疑的家伙呢?”
 
    “有呀,女招待记得很清楚,把那男人的模样告诉了我。据说年龄三十五、六岁上下,身材短小,苍白的脸上戴着一副大墨镜。听说没有胡须,穿的是发黑的西装,在咖啡馆的一段时间里,这人一次也没有摘掉过戴到眼眉上的鸭舌帽。听说他在木岛君写完信时来到旁边席位上,好像很亲热地跟木岛君说话,另外吩咐女招待端来了白兰地,时而向木岛君敬敬酒。大概那白兰地里掺进了毒药吧。”
 
    “哦,那家伙好像很可疑呀,但光靠女招待这些含糊的话,也不能就那样相信呀……”
 
    “不,不光是女招待的话,我还得到了确凿的证据。”
 
    “啊?!证据?”
 
    博士和中村警部都情不自禁地移膝躬身,凝视着对方的脸。
 
    “是的。请看,就是这根拐杖。”
 
    小池边说边拿来了靠在屋子角落里的乌木拐杖,伸到两人面前,只见整个把手部分罩着厚纸卷。
 
    “是指纹吧?”
 
    “是的。为了不让它消失,我一直很当心。”
 
    一取下厚纸卷,露出了银把手。
 
    “是这儿。请看这儿。”
 
    小池一面指着把手的内侧,一面从口袋里掏出放大镜递给了博士。博士接过它放在被指的部位上看了一下。警部默不作声地从一旁俯身看着它。
 
    “是三重涡状纹!”
 
    那张与留在木岛助手拿回来的鞋拔干上的一模一样的妖怪脸在狂笑。
 
    “这拐杖是……”
 
    “是那个戴墨镜的男人忘在那里的。”
 
    “那家伙是‘亚特兰蒂斯’的常客吧?”
 
    “不,听说完全是个第一次光顾的客人,据说木岛君一回去不一会,那家伙也从店里由去了。听说到今天早晨也没有来取拐杖。说不定永远不来取了。”
 
    啊,身材短小的戴墨镜的男人!那家伙正是当代独一无二的复仇狂,正是有妖怪一般的三重旋涡怪指纹的恶魔!
 
    “我赶紧来这儿是想暂先向先生汇报这些情况,还想请先生检查一下这根拐杖。既然已经知道了模样,无论如何也要调查一下那家伙的行踪。哪能不查明恶魔的老窝呢!那我就告辞了。”
 
    “嗯。好好儿干!”
 
    得到博士的鼓励,年轻的小池助手高高兴兴地走出了陈列馆。
 
    那以后不久,尸体陈列事件的调查也结束了,集中在这儿的人们将各自回去。宗像博士得到中村股长的同意,把乌木拐杖带回研究室,通过放大镜作了周密检查,但那是一根极其普通的廉价拐杖,连制造厂的商标都没有,除了那怪指纹以外没有能得到什么线索。
 
    雪子的尸体立即被运到大学,第二天就被交付解剖了,其结果是,她的死因也是由于吞下了毒药,这点已经清楚了。不仅如此,还弄清了如下事实:刚好是前一天,木岛助手的尸体也在同一地方作了解剖,从其内脏检验出来的毒物与雪子吞下的完全是同一性质的东西。由此可知,杀害雪子和木岛的犯人是同一人。
 
    另外,关于将雪子的尸体制成蜡偶人展出的偶人工厂,中村股长亲自去那工厂进行严格的调查,可老板申诉说:对那种形状的玻璃箱丝毫没有记忆,恐怕是哪个人盗用了工厂的名字上交的吧。他的申诉有确凿的根据,所以股长立即消除了疑虑。真没想到犯人的婚备竟如此周到。
 
    当然对将装有尸体的玻璃箱运进陈列馆的运输店也作了调查,但那也一无所获,运输店的名字也是被盗用的。据受理那东西的陈列馆馆员回忆,雇用的小工总共三人,都是些看去很相似的邀里论遇的男人,其中一个像是头儿的取走发货单的小工左眼好像不好,在叠成方形的沙市上缝上了带子捂在上面。要说线索,那就是唯一的线索。
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