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怪指纹:第三次报仇

时间: 2021-08-15    进入日语论坛
核心提示:復讐第三 その執拗残酷な復讐鬼の正体は少しも分らなかった。不思議なことに、復讐を受けている川手氏自身さえ、全く見当がつか
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復讐第三


 その執拗残酷な復讐鬼の正体は少しも分らなかった。不思議なことに、復讐を受けている川手氏自身さえ、全く見当がつかないと云っていた。
 ただ分っているのは、そいつが世にも恐ろしい三重渦巻の指紋を持っていることであった。三つの渦巻が三角形に並んで、まるでお化けが笑っているように見える三重渦状紋。悪魔は到るところにその怪指紋を残して行った。殊に復讐行為の直前には、殺人の予告ででもあるかのように、必ず人々の前にそのお化指紋が現われるのであった。
 復讐鬼は魔術師のような不思議な手段によって、川手氏の二令嬢を誘拐し、惨殺し、しかもその美しい死体を、衆人の目の前に曝しものとした。妹娘雪子さんは、衛生展覧会の人体模型陳列室に、その生けるが如きむくろを曝す()()を見、姉娘の妙子さんは、場所もあろうにお化け大会の残虐場面の生人形と置き換えられ、竹藪に囲まれた一つ家の場面に、胸を血だらけにして倒れていた。
 そして、この次は、一家の最後の人、川手氏自身の番であった。復讐鬼の真の目的は、川手氏にあったことは云うまでもない。先ずその二令嬢を惨殺したのは、川手氏を思うさま苦しめ悲しませ、復讐を一層効果的にする為であったことは、復讐鬼の(かつ)ての脅迫状によっても明かであった。
 川手氏は愛嬢を失った悲歎と、我身に迫る死の恐怖の為、流石の実業界の英雄も、まるで思考力を失ったかのように、()すところを知らぬのであった。殆んど人任せで妙子さんの葬儀を終ると、奥まった一間にとじこもり、人を避けて物思いに(ふけ)っていた。
 葬儀の翌早朝、宗像博士の来訪が取次がれた。他の来客は悉く断っているのだけれど、博士だけには会わぬ訳には行かぬ。今はこの聡明な私立探偵だけが頼りなのだ。妙子の場合は、明かに探偵の失敗であったが、忽ちに悪魔のトリックを看破し、死体のありかを探し当てたのは、宗像博士その人ではなかったか。この人をおいて、あの魔術師のような復讐鬼に対抗し得る者が、外にあろうとは考えられないのだ。
 応接間に通されると、宗像博士は鄭重(ていちょう)に悔みを述べ、彼自身の失策を心から詫びるのであった。
「この申訳には、第三の復讐を未然に防ぐ為に、僕の全力を尽したいと思います。こうなっては、もう職業としてではありません。あなたの依頼がなくても、僕の名誉の為に戦わなければなりません。それに、僕としては、可愛い二人の助手をあいつの為に奪われているのですから、彼らの復讐の為にも、今度こそあの怪指紋の主を捉えないでは、僕自身に申訳がないのです」
「有難う、よく云って下すった。わしは二人の娘をなくし、あなたは二人の助手を奪われたのですねえ。お互に、同じ被害者だ。費用の点はいくらかかっても僕が負担しますから、思う存分にあなたの智慧(ちえ)を働かして下さい。
 二人きりの娘が二人とも、あんなことになってしまって、わしはこの世に何の楽しみもなくなったのです。もう事業にも興味はありません。今もそれを考えていたところですが、これを機会に事業界からも引退したいと思うのです。そして、二人の娘の菩提(ぼだい)(とむら)って、余生を送りたいと思っています。
 ですから、娘達の(かたき)を取るためには、わしの全財産を(なげう)っても惜しくはありません。君に一切をお任せしますから、警視庁の中村君とも聯絡(れんらく)を取って、出来るかぎりの手段をつくして下さい」
「お察しいたします。おっしゃるまでもなく、僕は当分の間、外の仕事は放って置いて、この事件に全力をつくす考えです。それについて、一つ御相談があるのですが」
 宗像博士はそう云って、一膝前に乗り出すと、殆んど囁き声になって、
「川手さん。今さし当って予防しなければならないのは、第三の復讐です。つまりあなたに対する危害です。それがあいつの最終最大の目的であることは分り切っているのですからね。
 こうしてお話ししている内にも、魔法使のようなあいつの魔手は、我々の身辺に迫っているかも知れません。これから僕達は、昼も夜も絶間(たえま)なく、あいつに監視されているものとして、行動しなければならないのです。
 で、僕は第三の復讐を予防する手段について、今朝から一日頭を絞ったのですが、結局あなたに身を隠して頂く以外に、安全な方法がないという結論に達したのです。
 身を隠すなんていうことは、あなたもお好みにならぬでしょうし、僕にしても()りたくない手段ですが、この場合に限って、そうでもするより安全な道はないのです。なにしろ、相手が何者であるか、どこにいるのか、少しも分っていないのですからね。見えぬ敵と戦うためには、こちらも身を隠すほかはないのです。
 そうして、あなたに安全な場所へ移って頂けば、僕は思う存分働けるというものです。あなたの保護と賊の逮捕という二重の仕事に、力をわける必要がなくなって、ただ復讐者の捜索に全力を注ぐことが出来る訳ですからね。
 それについて、一つ考えていることがあるのですが」
 博士はそこまで云って、ジロジロと辺りを見廻し、椅子を引き寄せて、川手氏に近づき、その耳に口をつけんばかりにして、一層声を低め、殆んど聞き取れぬ程に囁くのであった。
「あなたの替玉(かえだま)を作るのですよ。影武者ですね、丁度持って来いの人物があるのです。相当の報酬を出して下されば、命を(まと)に引受けてもいいという男があるのです。柔道三段という(ごう)のものですよ。その男をこのお邸へ、あなたの身代りに置いて、謂わば(おとり)にする訳です。そして、近づいて来る賊を待伏せしようというのです」
「そんな男が本当にあるのですか」
 川手氏は少し大人げないという面持で、気の進まぬ調子であった。
「不思議とあなたにそっくりなのです。マア一度会ってごらんなされば分ります。うまくやれば召使の方達も、替玉とは気がつかないかも知れません」
「それにしても、わしが身を隠す場所というのが、第一、問題じゃありませんか」
「イヤ、それも心当りがあるのです。山梨県の片田舎に、今丁度(ちょうど)売りに出ている妙な一軒家があるのです。ある守銭奴(しゅせんど)のような老人が、盗難を恐れる余り、そんな妙な家を建てたのですが、全体が土蔵造りで、窓にも縁側にもすっかり鉄板張りの戸がついていて、その上に城郭のような高い土塀を囲らし、土塀の外にはちょっとした堀があって、跳橋(はねばし)まで懸っているという、まるで戦国時代の土豪の邸とでもいった用心深い建物なのです。
 僕はそこの主人がなくなる前、ある事件で知合いになって、その城のような邸に泊ったこともあるのですが、場所といい、建物といい、あなたの一時の隠れ場所には持って来いなのです。
 現在は、その地方の百姓の老夫婦が留守番をしているのですが、その人達も僕はよく知っていますから、売買のことはいずれゆっくり取極(とりき)めるとして、今日からでもそこへ落ちつくことが出来ます。家具調度も揃っていますし、マア、宿に泊るようなつもりで、(かばん)一つで行けばいい訳です。
 実はこういうことをお勧めするのも、その城のような家があり、あなたの替玉になる男を知っていたから思いついたので、こんなお(あつら)え向きな話は、滅多にあるものじゃないと思うのです」
「一つ、考えて見ましょう。何だかそれ程にして逃げ隠れするのも、大人げないような気もしますからねえ」
 川手氏はまだ乗気にはなれない様子であった。一々記さなかったけれど、これらの会話は(すべ)て、用心深く、お互の耳から耳へ囁き交されたのである。
 川手氏が考え込んでいる所へ、若い女中が二度目のお茶を運んで来た。漆器(しっき)の蓋のついた大型の煎茶(せんちゃ)茶碗である。
 宗像博士は、それを受取って、蓋を取ろうとしたが、何を思ったのか、ふと手を止めて、その黒い漆器の表面を、異様に見つめるのであった。それから、
「ちょっと」
 と云って、川手氏の茶碗に手をのばし、その蓋を取って、窓の光線にかざしながら、つくづくと眺めた上、今度はポケットから例の拡大鏡を取出して、二つの蓋の表面を仔細に点検しはじめるのであった。
「その蓋に何かあるのですか」
 川手氏は早くも恐ろしい予感に脅えて、サッと顔色を変えながら、上ずった声で訊ねた。
「あの指紋です。ごらんなさい」
 恐ろしいけれど、見ぬ訳には行かぬ。川手氏は顔をよせて、レンズを覗き込んだ。アア、お化けが笑っている。まぎれもない三重渦状紋が、二つの蓋の表面に一つずつ、はっきりと浮き上っているではないか。
態々(わざわざ)捺したのです。そして、我々を嘲笑っているのです」
 二人はあきれた様に顔を見合せた。ア、何という素早い奴だ。妙子さんの葬儀がすむか済まぬに、もう第三の復讐の予告である。ぐずぐずしている訳には行かぬ。悪魔の触手は、既にして川手氏の身辺に迫っているのだ。
 直ちにお茶を運んだ女中が、取調べられたのは云うまでもない。宗像博士は自身台所へ出向いて行って、そこにいる召使達に一人一人質問した。だが、いつの間に、誰がそんな指紋をつけたのか、まるで見当もつかなかった。念のために召使達残らずの指紋を取って見たけれど、無論三重の渦巻などは一つもなかった。
 問題の茶碗は、昨夜すっかり拭き清めて茶箪笥(ちゃだんす)に入れて置いたのを、今取出してそのまま応接室へ運んだというのだから、賊は昨夜の内に台所へ忍び込んで、茶箪笥をあけ、指紋を捺して逃げ去ったものとしか考えられなかった。しかし戸締りには少しも異状はなく、どこからどうして忍び込んだかということは、少しも分らなかった。屋外にも賊の足跡らしいものは全く発見されなかった。
「宗像さん、やはりお勧めに従って、一時この家を去ることにしましょう。臆病のようですが、こんなものを見せつけられてはもう一刻もここにいる気がしません。それに、この家にはなくなった娘達の思い出がこもっていて、いつまでも悲しみを忘れることが出来まいと思いますから、(かたがた)あなたのおっしゃるようにする決心をしました」
 川手氏は遂に()を折った。三重渦巻のお化けの恐怖は、世間を知りつくした五十男を、まるで子供のように臆病にしてしまったのである。
「実を云いますと、無理にもこの計画を実行して頂く決心で、ちゃんとその手配をして置いたのですが、御同意下さって、僕も安堵(あんど)しました。あなたさえ安全な場所へお(かくま)いすれば、僕は思う存分あいつと一騎討が出来るというものです。あなたの替玉になる男も、実は用意をして、ある場所に待たせてあるのです。電話さえかければ、すぐにもやって来ることになっています」
 博士はひそひそと囁いて、部屋の隅の卓上電話に近づくと、ある番号を呼出して、第三者には少しもそれと分らぬ話し方で、簡単に用件を済ませた。
 それから二十分程もすると、書生の案内で、その応接間へ、異様な人物が入って来た。ソフトをまぶかく冠ったまま、インバネスを着たまま、しかもその(えり)を立てて顔を隠すようにしながら、ツカツカと部屋の中へ入って来たのだ。
 予め玄関番の書生に、こういう人が来るから、怪しまないで案内するようにといいふくめてあったので、この異様な身なりのまま、無事に玄関を通過することが出来たのである。
 書生がドアを閉めて出て行くと、宗像博士は、主人から渡されていた鍵で、唯一の入口へ締りをした。それから、窓という窓のブラインドをおろし、御丁寧にカーテンまで閉めてしまった。そして、薄暗くなった部屋に電燈をつけてから、異様な人物に何か合図をした。
 すると、その人物が、いきなり外套(がいとう)を脱ぎ、帽子をとって、川手氏に向い、
「初めてお目にかかります。よろしく」
 と頭を下げた。
 川手氏は思わず椅子から立上って、あっけにとられたように、その人物を眺めた。アア、これはどうしたことだ。突然目の前に大きな姿見が現われたとしか考えられなかった。背恰好といい、容貌といい、髪の分け方、口髭の大きさ、着物から羽織から、羽織の紐や襦袢(じゅばん)の襟の色までも、川手氏とそっくりそのままの人物が、眼前一二尺のところに佇んで、ニコニコ笑いかけているのだ。
「ハハハ……、如何(いかが)です。これなら申分ないでしょう。僕でさえどちらが本当の川手さんだか迷うくらいですからね」
 宗像博士は双生児(ふたご)のような二人を見比べて、得意らしく笑うのであった。
「この人は近藤(こんどう)という僕の知合のものです。さっきも申上げた通り、柔道三段の(ごう)のもので、こういう冒険が何よりも好きな男です。
 ところで近藤君、お礼のことは僕が引受けて、十分に差上げるから、一つうまくやってくれ給え。つまり今日から君が、川手家の主人なのだ。兼ねて打合せて置いた通り奥の間にとじこもって、一切客に会わないことにするんだ。召使いもなるべく近づけないように。いくら似ていると云っても、よく見ればどこか違ったところがあるんだから、召使にはすぐ分るからね。
 マア、お嬢さんがあんなことになられたので、悲しみの余り憂鬱症に(かか)ったという(てい)にするんだね。そして、昼間も部屋を薄暗くして、女中などにも正面から顔を見合わさないように、その都度何かで顔を隠す工夫をするんだ。
 無論そんなことが永続(ながつづ)きする筈はないから、いずれ一両日のうちに僕が来て、召使達に事情を話し、よく呑み込ませる積りだが、それまでのところを、一つうまくやってくれ給え」
 博士が例のひそひそ声で注意を与えると、新しい川手氏は、呑み込んでいるよと云わぬばかりに、胸を叩いて答えた。
「マア、私の腕前を見ていて下さい。青年時代には舞台に立ったこともある男です。お芝居はお手のものですよ」
「これは不思議だ。声までわしとそっくりじゃありませんか。これなら女中共だって、なかなか見分けはつきませんよ」
 川手氏はあきれたように、つくづくと相手の顔を見守るのであった。

    这个执拗残酷的复仇狂的真相丝毫不明,不可思议的是,连受到报复的川手本人都说完全猜不透。
    知道的只是那家伙有非常可怕的三重旋涡指纹——三个旋涡排列成三角形,看上去像是妖怪在笑似的三重涡状纹。恶魔到处留下这奇怪的指纹,特别是即将进行报仇行为时,像是杀人预告似的,那妖怪指纹必定出现在人们的面前。
    复仇狂采用魔术师般的手段,诱拐、残杀了川手的两个女儿,并将其美丽的尸体示了众。二女儿雪子遭到了曝尸于卫生展览会人体模型陈列室的不幸,大女儿妙子却偏偏跟“妖魔鬼怪大会”残暴场面的偶人调换,满胸是血地倒在四周都是竹丛的独所里。
    下面就该轮到一家的最后一个人川手自己了。复仇狂的真正目的在于川手,这是不言而喻的。从复仇枉过去的恐吓信来看也很清楚:首先凶残地杀害两个女儿,这是为了尽情地折磨川手,使报复更有效果。
    川手失去了心爱的女儿,自身又面临着死的威胁,由于这悲哀和恐怖,连这位实业界的英雄也好像失去了思维力似地不知所措。妙子的葬礼几乎是委托别人做的,葬礼一结束他就躲进最里面的一间屋子,闭门沉思了。


    葬礼的第二天,一清早佣人就通报说宗像博士来访。其他来客是一概谢绝的,但只是博士他不能不见。现在唯一依靠的是这位聪明的私人侦探。妙子的情况显然是侦探的失败,但立即识破恶魔骗术,找到尸体下落的不是宗像博士吗?除了这个人以外,再也无法考虑有其他人能对抗那个魔术师般的复仇狂了。
   一让到客厅,宗像博士就郑重地表示了哀悼,对他自己的失策由衷地道了歉。
   “为了防备第三次报仇于未然,我想尽我的全力。事情既然到了这一步,那就已经不是作为职业了,即使没有您的委托,我也必须为我的名誉而战。而且作为我来说,被那家伙夺去了两位可爱的助手,所以就是为了替他们报仇,这回也要逮住那怪指纹的家伙,否则我自己都对不起你们了。”
   “谢谢,你说得好。我失去了两个女儿,你被夺去了两位助手,所以我们都是受害者。费用问题不管花多少都由我负担,所以请充分发挥你的智慧。我仅有两个女儿,现在两人都已经那个样了,所以我在这世上没有任何乐趣,对事业也已经毫无兴趣。刚才也考虑了,我想趁此机会从实业界引退,而且想祈祷两个女儿的冥福,度过我的余生。所以为了替女儿们报仇,我即使倾家荡产也在所不惜。我把一切都委托给你,请你与警视厅的中村君取得联系,尽一切手段。”
   “我理解您的心情。不用您说,我也想暂时撂下其他工作,尽全力解决这案件,关于这一点,我有一件事想跟你商量。”宗像博士说着往前移了移膝,几乎用窃窃私语的声音继续说道,“川手先生,当前必须预防的是第三次报仇,即对您的危害,显然这是那家伙的最大目的嘛。即使在我们这样说话的时候,那家伙的魔手也说不定伸到了我们的身边,今后我们的行动可能白天黑夜都不间断地要受那家伙的监视。我从今天早晨起绞尽脑汁地想了一下关于预防第三次报复的手段,但结果得出的结论是:除了请您躲藏起来以外,没有其它安全方法了。叫您躲藏起来什么的,大概您也不喜欢吧,就我来说也是不想采取的手段,可只是在这种场合惟独这样做最安全,因为一点也不知道对方是谁,躲在什么地方嘛!为了跟看不见的敌人作战,我们也只有躲藏起来。这样,如果能请您转移到安全场所,我就能想怎么干就怎么干了,就不必分散精力去干保护您和逮捕凶贼这双重工作,能全力以赴去搜索复仇者了。关于这一点,我倒想到了一个方法…-”
   说到这里博士朝四下里张望了一下,并向前挪了挪椅子,靠近呼几乎把嘴贴到他的耳朵,更加放低嗓门,用几乎听不到的声音继续说道:“是替您找一个替身。刚好有一个正合适的人物,他说如果出相当一笔报酬的话,可以豁出命来接受。他可是个获得柔道三段的能手。把这个人放在这公馆里作为您的替身,就是说把他作为靶子,伏击靠近过来的凶贼。”

  “真有那种人吗?”

  川手没有多大兴趣似的。

  “万没有想到跟您一模一样。啊,您见一下面就知道了,弄得好的话,也许连佣人们都察觉不出是替身呢!”

  “尽管这样,我藏身的地方不首先是个问题吗?”
    “不,那也有了线索。在山梨县的偏僻的农村有一幢现在刚好要出让的奇怪的独所房子。有个守钱奴一样的老人由于过分害怕被盗,建了这么一所奇怪的房子,四面都涂抹了泥灰,装着铁板窗户,廊檐上也装着铁板门,而且四周围着城郭一般的高土墙,土墙的外面有一条小河,还架着吊桥。这幢十分谨慎的房屋简直可以说是战国时代的土豪公馆。那儿的主人去世前,我因某案件认识了他,也曾在那城郭一般的公馆里住宿过,无论是场所还是房屋,作为您临时隐蔽的场所都是再好不过的了。现在由本地的一对老夫妇看着家,他们我也很熟悉,所以买卖的事慢慢再商走吧,从今天起您就可以去那儿安顿了。家具和日常器具也都齐全。哎,您就当作是住旅馆带一个皮包就行了。其实我劝说这件事也是因为那里有那幢像城郭一样的房子,而且认识当您的替身的人才想到的,我觉得这种再理想不过的事是很少有的。”
   “我考虑一下吧,因为总觉得这样逃避也不像一个大人似的。”
   川手还是一副不大感兴趣的样子。
   川手正在思索的时候,年轻的女佣人再次端来了茶。是只有漆黑的盖子的大型茶碗。
   宗像博士接受茶碗,刚想取掉盖子时,大概想到了什么,突然停住手,奇怪地凝视着那黑漆器的表面,然后说了声“请慢”,便朝川手的茶碗伸过手去,揭掉了那盖子,迎着窗户的光线细细看了一阵以后,这回从兜里取出那枚放大镜,开始仔细检查两个盖子的表面。
   “是盖子上有什么东西吗?”
   由于可怕的预感,呼早吓得刷地变了脸色,用尖叫的声音问道。
   “是那个指纹,请看。”
    虽害怕但又不能不看。川手凑过脸来,瞧了一下放大镜。啊,妖怪在笑!两个盖子的表面不是各清晰地浮现着一个千真万确的三重涡状纹吗?!
   “是故意按的,而且是在嘲笑我们。”
    两人吓得面面相觑。啊,这家伙多么神速啊!妙子的葬礼刚结束就预告要进行第三次报仇了。不能磨磨蹭蹭!恶魔的触手已经逼近川手的身边了。
    当然端茶来的女佣立即受到了查问。宗像博士亲自去厨房,-一问了在那里的佣人们,但根本猜不透是谁在什么时候按上那种指纹的。为郑重起见,取了一下所有佣人的指纹,但三重旋涡当然一个也没有。
   听说那两只茶碗昨晚擦洗干净后放在茶柜里,是刚才取出来就那样端到客厅去的,所以只能认为凶贼是昨晚偷偷溜进厨房打开茶柜,按上指纹后逃走的。但门户一点没有异常,丝毫弄不清楚是从什么地方又是怎样溜进来的。
   屋外也完全没有发现像是凶贼脚印的痕迹。
  “宗像君,我决定听从你的劝说,暂时离开这个家吧。说来好像胆小,一看到这种东西,我就一刻都不想呆在这里了,而且呆在这个家里总让人想起去世的女儿们,我想永远也不会忘记悲伤的,所以决心按您说的去做。”
   川手终于放弃己见。三重旋涡的妖怪的恐怖使这个老于世故的五十岁的男子变得像孩子一样胆小。
   “说实话,即使您不愿意我也决心请您实行这个计划,已经完全部署好了,现在取得了您的同意,我也就放心了,只要把您隐藏在安全的场所,我就可以放手地跟那家伙一决雌雄了。您的替身人其实也已经作好准备,让他等在一个地方,只要打个电话,马上就会来。”
    博士窃窃私语道,随后走近放在屋子角落里的桌上的电话机旁,拨了一个号码,用第三者丝毫不懂的说话方式简单地办完了事。
    约莫过了二十来分钟,在书生的带领下一个奇怪的人物走进了客厅。礼帽压得低低的,穿一件无油长外套,而且竖着那领子把脸捂着,随随便便地进了屋子。
    因为事前嘱咐大门口的书生说有这样的人要来,让书生不要怀疑而领他进来,所以他能穿着这一身奇怪的服装安全通过大门。
    待书生关上门出去,宗像博士就用主人交给他的钥匙锁上了惟一的门,然后放下百叶窗,甚至小心谨慎地拉上了窗帘,并在变得昏暗的屋里点上电灯后向奇怪的人物使了个眼色。
    于是那人突然脱去外套,摘掉帽子,向川手行礼说:
   “初次见面,请多多关照。”
    川手不由得从椅子上站起来,目瞪口呆地望着那个人。啊,这是怎么啦?只能认为眼前突然出现了一面大的穿衣镜。
    无论是身量还是容貌,无论是头发的分法还是胡子的大小,从和服外挂到外挂的带子和衬衣的领子都与川手一模一样的人物站在眼前一两尺的地方,朝他微笑着。
   “哈哈哈哈哈哈……怎么样?这就没什么说的了吧?连我都弄不清哪位是真的川手学!”
    宗像博士比较了一下孪生子般的两个人,得意洋洋地笑道。
    “这位叫近藤,是我的熟人。正如我刚才所说的,是个获得柔道三段的能手,所以他最喜欢这种冒险。我说近藤君,谢酬的问题由我负责,会给足的,所以你要好好干!就是说,从今天开始你是川手家的主人了,按原先我们商定的,你就躲在里间,一概不会客,佣人也尽量不让他靠近。虽说相似,但仔细看的话还是有地方不一样的,所以佣人会立即明白的。就当作是因为小姐那个样了,所以由于过分悲伤得了忧郁症吧。还有,白天也要把房间弄得暗暗的,为了不从正面跟女佣人等照面,每次都要用什么捂一捂脸。当然这种事不会是长久的,反正一两天之内我会来的,打算把情况跟佣人们说一说,让他们理解。在这之前请你好好地干!”
    博士还是用那种窃窃私语的声音提醒道。呼立即拍了拍胸答道:
   “请看我的本事吧!青年时代我曾经站过舞台,演戏我很拿手哩。”
   “真奇怪,不是连声音都跟我~模一样吗?这样说连女佣人们也都很难分辨了。”
    呼目瞪口呆地定睛注视着对方的脸说道。

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