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怪指纹:活着的川手

时间: 2021-08-15    进入日语论坛
核心提示:生きていた川手氏 殺人鬼山本始が自殺してから数日後のある夜、警視庁の刑事部長は、捜査課長や中村係長の進言を容(い)れて、こ
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生きていた川手氏


 殺人鬼山本始が自殺してから数日後のある夜、警視庁の刑事部長は、捜査課長や中村係長の進言を()れて、この大犯罪事件の終焉を祝し、並々ならぬ労苦を()めた民間探偵宗像博士を(ねぎら)う意味の小宴を催した。別段手柄を立てたわけではないが、捜査課長や中村係長の友人である明智小五郎も、席を賑わすためか、博士と共に招待を受け、主客五人、京橋区のF――レストラントの別室に、食卓を囲んで雑談の花を咲かせていた。
「宗像さんは、二人まで助手の命をとられているんだから、今度は一生懸命だったでしょうね。しかし、あなたのお蔭で、案外早く犯人達の自決を見て、何よりでした」
 刑事部長が宗像博士を慰めるように云うと、博士は鼈甲縁の眼鏡を直しながら、恐縮の面持で答えた。
「イヤ、今度は最初から失策つづきで、実に申訳ないと思っております。いつも一歩の差で犯人にしてやられたのです。私の助手はともかくとして、折角依頼を受けた川手家の人達を、遂に救うことが出来なかったのは、実に残念でした。
 私としては全力を尽したのですが、今度の奴だけは、明智さんも云われたように、どこか人間放れのした、気違いめいた智慧を持っている奴で、常識では想像もつかない手を打つので、非常な苦労をして、しかも苦労甲斐がなかったのです」
「明智さん、中村君に聞けば、あなたも今度の事件には非常に興味を持っていられたということですが、何か御感想は?……あなたは、北園竜子は自殺でないという御意見だったそうですね」
 刑事部長は、なぜか明智の痛いところへ触れるような云い方をした。すると、明智はそれを待ち兼ねてでもいたように、
「そうですよ。僕はそう考えているのです」
 とキッパリ云い切るのであった。
「エ、あなたは今でもあれを他殺だとお考えなのですか」
 捜査課長がびっくりしたような表情で、横合(よこあい)から口を出した。
「他殺としか考えられませんね」
 明智は極り切ったことのように、動ずる色もなく答えた。
 それを聞くと、宗像博士の目が異様に光った。博士は明智の挑戦を感じたのだ。もう黙っているわけには行かぬ。
「ハハハ……、明智君、大人げないじゃありませんか。いくら名探偵の君でも、時に失策がないとはいえぬ。それを、一度口にしたことは、あくまで押し通そうというのは、つまらない意地というものですよ。飛降り自殺をした山本始は、竜子の実の兄だったじゃありませんか。いくら我身を守る為だといって、真実の妹を殺すなんて、考えられないことです。現に山本の遺書にも、妹は自殺したのだと、はっきり記してあったではありませんか。……それとも、あなたはあの山本の遺書を認めないとでもいうのですか」
 博士はまるで後輩にでも云い聞かせるような態度で、明智をたしなめた。
「認めませんね。あんな都合のいい遺書なんてあるもんじゃない。あれはまるで出鱈目ですよ」
 アア、何を云い出すのだ。明智は気でも違ったのではないか。彼は宗像博士との手柄争いに敗れて、まるで駄々ッ子のようにやけくそになっているのかとさえ怪しまれた。
「明智君、君は本気でそんな無茶を云っているのですか。酔っているのじゃありませんか、仮令悪人にもせよ、死の間際(まぎわ)に書き残したあの告白が、出鱈目だなんてあり得ないことです。君こそ出鱈目を云っているとしか考えられませんね。それとも何か、あの遺書を認めない、はっきりした理由があるのですか」
 一座の人々も、この口論では、宗像博士に味方しないわけには行かなかった。明智は今日はどうかしているのだ。博士が云ったように、酔っぱらっているのかも知れない。刑事部長と捜査課長とは、非難をこめた眼差(まなざし)で、無言のまま明智の顔を見つめるばかりであった。
 ところが、博士の詰問に答えた明智の言葉は、ますます意外な、殆んど健康人の論理を無視したようなものであった。アア、明智は本当に気が違ってしまったのではあるまいか。人々はもう、あっけに取られて、急には言葉も出ない有様であった。
「無論、遺書を認めない理由ははっきりしていますよ。あの自殺した男が、果して犯人の一人であったかどうかを疑うからです」
「エッ、なんですって? 君は、犯人でもない男が、あんな遺書を書いて飛降り自殺をしたというのですか」
 宗像博士は開いた口が塞がらぬという(てい)で、殆んど笑い出さんばかりの表情であった。
「眼帯の男の顔をはっきり見届けたものは、誰もないのです。ただ無精髭を生やした労働者風の大男ということが分っているばかりです。それがあの飛降り自殺をした男と同一人であったと、どうして保証出来ましょう。無論、眼帯の男の筆蹟も分っていないのですから、あんな遺書など誰にでも偽造出来るじゃありませんか」
 明智の()()もない放言に、宗像博士は激怒のために真赤になってしまった。
「それじゃ君は、あの自殺した男が、偽物だったというのですか。馬鹿馬鹿しい、犯人でもないものが、態々遺書まで用意して自殺するなんて、君は一体何を考えているのです。酒の上の戯談(じょうだん)でないとすれば、君は気でも違ったのではありませんか」
「ハハハ……、そうかも知れませんね。相手が気違い犯人ですから、僕もおつき合いをして気が狂ってしまったのかも知れません。
 僕自身でさえ、今僕の考えていることが、余り並はずれな奇怪な事柄なので、本当に頭がどうかしたのではないかと、不安になるくらいです。例えば、僕はまだこんなことも考えているんですよ。
 飛降り自殺をした男が犯人でなかったばかりでなく、あの北園竜子さえ、犯人かどうかよく分らないということです。僕は確証がほしいのです。あの二人があなたの信じているように、真犯人であってくれればいいと、僕は随分その確証を掴むために悩んだのですが、遺憾ながら確証は全くないことが分ったのです」
 ここまで来ると、一座の人々はもう黙っているわけには行かなかった。明智は実に驚くべき妄想を描いているらしいことが分って来たからだ。彼は眼帯の男を否定し、北園竜子をすら否定せんとしている。すると、この殺人事件の犯人は、まだ一人も捕まっていないことになるではないか。事件が落着した心祝いの(つど)いに招かれて、彼は事件の落着そのものを、頭から否定しているのだ。アア、これは一体どうしたことであろう。
 刑事部長も捜査課長も、何か口々に驚きの叫び声を発したが、当の宗像博士の憤慨はもう極点に達していた。博士は例の三角型の顎髯を、ピリピリ震わせて、思わず椅子から腰を浮かし、明智の前に握り拳を振廻しながら、わめくのであった。
「明智君、黙りなさい。君は僕に何か私怨(しえん)でもあるのですか。僕が解決した事件を、なぜぶち(こわ)そうとするのです。しかし、お気の毒だが、君の云い草は支離滅裂、まるで気違いのたわごとじゃないか。そんな出鱈目な論理で、僕の仕事にけちをつけようなんて、君も余りに子供らしいというものだ。
 北園竜子が犯人でないなんて、一体どこからそんな結論が出て来るのです。君は三重渦巻の指紋を忘れたのですか。犯人でもないものが態々指を切断して、屋根裏に身を隠すなんて、そんな馬鹿馬鹿しいことが出来ると思うのですか」
「ところが、僕は北園竜子があの怪指紋の持主だったからこそ、真犯人ではないと考えるのですよ。エ、宗像君、この意味がお分りですか」
 明智は落ちつき払って、ニコニコ笑ってさえいるのだ。
「分りませんね。そんな気違いのたわごとは、僕には少しも分らない。……皆さん、あなた方には大変失礼ですが、私はもう一刻もこんな気違いと同席するのは御免です。中座させて頂きます」
 宗像博士は椅子から立上って、今にも食堂を立去ろうとする気組みを見せた。
「マア、待って下さい。主賓(しゅひん)のあなたに帰られては、今夜の集りの意味がなくなってしまいます。……明智さん、あなたは今夜はどうかしていらっしゃるようですね。折角我々が宗像さんの慰労の宴を催したのですから、この席で論争をなさることは差控えて頂きたいと思います。兎に角、事件は落着して、世間でもホッとしているのですから、この際、根拠のない否定論は慎んで下さらないと困りますね」
 捜査課長が仲裁するように云って、取ってつけたように笑って見せた。
「イヤ、皆さんが、僕が無茶を云っているようにお思いなさるのは、無理もありません。しかし、僕の考えには、決して根拠がない訳ではありませんよ。僕の悪い癖でしてね、筋路(すじみち)を話さないで、突然結論から始めるものですから、僕の頭の中の論理を御存じない皆さんは、まったく感情的な暴言のように感じられるのです。
 では、順序を立てて、なぜ僕が二人の犯人を偽物だなどと云い出したか、その訳をお話しましょう。宗像君も、そんなに立腹しないで、マア一応、僕の話を聞いて下さい」
 明智は、両手を上げて制するようにしながら、いつに変らぬニコニコ顔で一同をなだめるのであった。
 酔っぱらったのでもなければ、頭が変になったのでもない。明智は何かしら、一座の人々には想像も出来ないような、奇怪な推理を組立てているらしい。ひょっとしたら、彼の犯人自殺否定論には、深い根拠があるのかも知れない。人々はそう考えると、半信半疑ながら、兎も角、明智の説明を聞いて見る外はなかった。宗像博士も不承不精(ふしょうぶしょう)に着席した。
 そこで、明智が話しはじめる。
「僕は中村君からこの事件の経過を聞いた時に、殺人鬼の行動に、一つの心理的な矛盾(むじゅん)があることを気附いたのです。そして、その角度から、宗像君とは全く別の見方で、この事件を眺めて見ようと思い立ったのです。
 その矛盾というのは外でもありません。犯人はなぜ川手氏の死体を衆人の前に陳列して見せなかったかということです。
 川手氏の二人の娘さんは、実に残酷なやり方で、見世物のように衆人の眼の前に晒されている。娘さん達でさえそんなひどい目にあわせた復讐者が、当の川手氏に限って、その挙に出なかったのには、何か特別の理由がなくてはならない。若しかしたら、犯人は川手氏を、死体の陳列は出来ないけれども、しかし、死体の陳列などよりももっと残酷な方法で殺害したのではないか。例えば長い時間かかって、徐々に死んで行くような、極度に残虐な方法を案出したのではないかと考えたのです。
 そこで僕は竜子が自殺をした翌日、川手氏が行方不明になったというN駅の近くの、山中の一軒家へ出かけて行きました。ある理由の為に、このことは、ここにいる中村君以外には、誰にも知らせず、こっそり出発したのです。
 あの一軒家は、今では留守番もない全くの空家になっているので、門を開くことも出来ず、僕は非常な苦心をして、堀を渡り、高い塀をよじ登って、邸内へ忍び込んだのです。そして、たっぷり一日かかって、屋内、屋外を残るところなく捜索しました。
 しかし、その捜索の模様などを、ここで詳しくお話しする必要はありません。すぐに結果を申上げますと、結局、僕の推察が当っていたのです。つまり、僕は川手庄太郎氏を発見したのです」
 そこまで聞くと、刑事部長はもう黙っていられなくなった。
「川手氏の死骸をですか。一体どこに隠してあったのです。当時あの地方の警察が、山狩りまでして捜索しても、とうとう発見出来なかったのですが」
「イヤ、死骸ではありません。僕は生きている川手さんを発見したのです」
 明智の意外千万な言葉に、人々は色めき立った。
「エッ、生きていた? それは本当ですか。じゃあ犯人は肝腎(かんじん)の川手氏に復讐をとげなかったわけですか」
「イヤ、そうではありません。犯人は犯罪史上に前例もないような、残酷極まる方法で、川手氏に復讐したのです。若し僕の発見が、もう一日おくれたならば、恐らくこの世の人ではなかったでしょう」
「一体、それはどんな方法です」
 捜査課長が、ひどく興奮して、思わず口をはさんだ。
「生き埋めです。川手氏は棺桶ようの木箱の中へ入れられて、あの家の庭の林の中に埋められていたのです」
「で、あなたはそれを救い出したのですか。一体どうして今日まで生き永らえていたのです」
「今日ではありません。僕がそれを発見したのは、今から十日も前なのです。川手氏が行方不明になってから丁度五日目でした。五日の間、土の中にいたばかりです。
 多分川手氏をいやが上に苦しめるためでしょう、その棺桶ようの箱には、ところどころに隙間が作ってあったのです。つまり、あっけなく窒息(ちっそく)してしまわないように、出来るだけ長く闇の地中で苦しみもがくように、息の通う場所を作って置いたのです。それに、埋められた位置も割合に浅く、土と落葉の混ったようなもので蔽われていたのですから、川手氏は棺の中でも、辛うじて呼吸(いき)をつづけることが出来たのです。
 しかし、ただ息が出来るというだけで、食いものは無論なく、厳重に釘づけにされた厚い板の中で、殆んど身動きも出来ず、飢餓と迫って来る死の恐怖とのために、可哀想に川手氏は髪の毛がすっかり白くなっていた程です。
 僕がどうして川手さんの埋められている場所を発見したかというと、若しやそんなことではないかと、予め想像していたので、庭の林の中なども念入りに歩き廻って見たからです。警察の人達が、あれを発見出来なかったのは、まさか邸内の土の中に埋められていようなどと、考えても見なかったためでしょう。
 そこで、僕は川手さんを助け出して、僕が乗って行った自動車にかつぎ込み、そのまま甲府市のある病院へ入院させたのです。そして、数日後、川手氏の元気が回復するのを待って、コッソリ東京に連れ帰り、実は、今僕の家にかくまってあるのです。
 勝手な真似をしたとお叱りを受けるかも知れません。しかしこれには止むを得ない訳があったのです。甲府市の病院でも、態と川手さんの名を隠して置きましたし、無論警察へも届けませんでした。
 なぜかといいますと、僕は川手さんの口から、この事件の裏に潜む、あらゆる秘密を探り出そうとしたからです。それには、瀕死の病人も同然のあの人の記憶が、完全に(よみがえ)るのを待たなければならなかったのです」
「で、川手氏はすっかり元気を回復しましたか。元々通りの健康体になりましたか」
 宗像博士が初めて口を開いた。博士の顔には、何は()もあれ、事件依頼者の無事を喜ぶ色が浮かんでいた。
「イヤ、まだ健康体とは云えません。僕の家の一間にとじこもったきり、寝たり起きたりという状態です」
「そうですか。何としてもお手柄でした。それを聞いて僕も心が軽くなりましたよ」
 博士は他意もなく明智の手柄を(たた)えたが、ふと何事か思い出した様子で、
「アア、話に夢中になっていて、うっかり忘れるところだった。皆さんちょっと失礼します。ある事件依頼人に、電話をかける約束があったのです。じき戻りますから明智君、話の続きは暫らく待っていて下さい」
 と慌しく電話室へと立って行った。
「明智さん、そんなに、私立探偵の権能を(ふる)われては困りますね。川手氏を発見しながら、無断で自宅にかくまって置くなんて、事を荒立てれば、何かの犯罪を構成しますぜ」
 刑事部長は半ば戯談のように、明智の勝手な振舞を責めた。
「イヤ、その説明は、今に詳しく申上げますが、決してお叱りは受けないだろうと信じています。犯人が魔法使みたいな恐ろしい奴ですから、こちらも少し変則な手段をとらなければならなかったのです」
 明智は弁解しながら、なおも川手氏発見の模様を何かと話しつづけるうちに、やがて、電話室から宗像博士も席に戻って来た。
「御用はすみましたか」
 明智は非常に愛想よく、ニコニコ笑いながら声をかけた。
「すみましたよ。どうもお待たせしました。では、今のお話をつづけて頂きましょうか」
 博士も妙に丁寧な口調で答え、何かひどく嬉しい事でもあるようにロイド眼鏡の中の目を細め、三角髯をゆるがせながら、ニタニタと笑って見せるのであった。

    杀人狂山本始自杀后没几天的一个夜晚,警视厅的刑警部长采纳了侦查科长和中村股长的建议,举行了一个庆祝这一天犯罪案件了结、慰劳饱尝辛酸的民间侦探宗像博士的小宴。大概是为了使宴会更为热闹吧,并没有立功但却是侦查科科长和中村股长朋友的小五郎也与博士一起接受了邀请,宾主五人在京桥区的F西餐馆特别开设的房间里围着餐桌津津有味地闲聊着。
 
    “宗像君两名助手被夺去了生命,这次竭尽了全力,但多亏了你,出乎意外地很快看到犯人们自杀了,这再好不过了。”
 
    刑警部长像是慰劳宗像博士似的一说,博士立即推了推敲增框儿的眼镜,露着羞愧的神情答道:
 
    “不,这次从一开始就连续失策,实在觉得很抱歉。总是以~步之差被犯人抢先。我的助手姑且不提,我终于没有能搭救特意接受委托的川手家的人,这实在遗憾。作为我来说确实是尽了全力。但这次的家伙正如小五郎说的,总觉得是个有一种背离人性如同疯子一般的智慧的家伙,常采取平常难以想象的手段,所以我吃了很多苦,而且是白吃苦了。”
 
    “小五郎君,听中村君说,您也对这案件非常感兴趣。您有什么感想吗?……听说您的意见是北园龙子不是自杀,是这样吗?”
 
 
 
 
    不知为什么,刑警部长像是触及小五郎的痛处似地说道。于是,小五郎仿佛焦急地等待着这句话似的斩钉截铁地说:
 
    “是这样。我是那样认为的。”
 
    “啊,您现在还认为那是他杀吗?”
 
    侦查股长面露惊色,从旁插嘴道。
 
    “只能认为是他杀。”
 
    小五郎毫不慌张地答道,仿佛那是理所当然的事。
 
    一听这话,宗像博士的眼睛异样地问了一下:博士意识到这是小五郎在向他挑战。再也不能缄默不语了。
 
    “哈哈哈哈哈,小五郎君,不是太没君子的气概了吗?你纵然是个名侦探,有时候也会有失策呀。一旦说出了口就坚持到底,这可是一种无聊的赌气呀。跳楼自杀的山本始不是龙子的亲哥哥吗?纵然说是为了保护自身,那也不可能去杀自己的亲妹妹呀!事实上山本的遗书里不是清楚地写着妹妹是自杀的吗?……或者你要说你不认为那是遗书。是这样吗?”
 
    博士从一副严然对后辈说话的态度叱训小五郎道。
 
    “是这样。哪有那么凑巧的遗书!那完全是凭空捏造的!”
 
    啊,说什么呀!小五郎不是发疯了吗?甚至不由得使人怀疑:是不是由于他与宗像博士的功劳之争遭到失败,因而变得像不听话的孩子一样气急败坏了呢?
 
    “小五郎君,此话当真?不会是醉了吧?即使是坏人,临终时写下的坦白也决不可能是凭空捏造的。只能认为你在胡说八道。或者你有什么不承认那遗书的明确的理由产’
 
 
 
 
    所有在座的人在这场四角中也不能不袒护宗像博士一方。小五郎今天可有点儿反常,也许正像博士所说的已经醉了。刑警部长和侦查科长只是用充满责难的眼光默默地凝视着小五郎的脸。
 
    可是,回答博士责问的小五郎的话越来越出人意料,几乎是漠视健康人的逻辑。啊,小五郎难道真的发疯了?大家都只是目瞪口呆,一下子说不出话来了。
 
    “我不承认遗书的理由当然是很清楚的,因为我怀疑那个自杀的男人究竟是否是犯人之一。”
 
    宗像博士目瞪口呆,露着一副几乎要笑出来的表情。
 
    “没有一个人看清戴眼罩的男人的脸,只知道他是一个满脸胡子的工人模样的大个儿,怎么能保证他与那个跳楼自杀的男人是同一个人呢?!当然戴眼罩的男人的笔迹也不清楚,所以那种遗书不是谁都能伪造的吗?”
 
    听着小五郎这没完没了的大话,宗像博士气得脸都通红了。
 
    “那你是说那个自杀的男人是冒充的晖?不是犯人的人连遗书都特意准备好了,这不太荒谬了吗?!你到底在考虑什么?如果不是酒后开玩笑,那你不是疯了吗?!”
 
    “哈哈哈哈哈,也许如此吧。对方是疯犯人,所以我也陪着他一起疯了。因为我现在考虑的事情太离奇了,所以连我自己都感到不安,担心自己的头脑是不是真的不正常了。比如说我还考虑这样的事:不仅跳楼自杀的男人不是犯人,而且连那个北园龙子也不清楚她是否是犯人。我需要确凿证据。我为掌握那确凿的证据伤透了脑筋,希望那两人正如你相信的那样是真的犯人,然而遗憾的是,我知道完全没有确凿证据。”
 
 
 
 
    事情到了这一步,在座的人都再也不能默不作声了,因为大家渐渐明白小五郎好像在作令人吃惊的遐想。他否定戴眼罩的男人,甚至想否定北园龙子。这么说来,这起凶杀案的犯人不就一个人也没有抓住吗?应邀来参加对案件了结略表祝贺的聚会,可他却根本否认案件了结本身。啊,这究竟是怎么回事呢?!
 
    刑警部长和侦查科长都发出了惊讶的叫喊声,宗像博士本人已经怒不可遏。博士气得那三角胡子直颤抖,他情不自禁地从椅子上站起身来,一面在小五郎面前挥着拳头,一面道:
 
    “小五郎君,你住嘴!你对我怀有什么私仇吗?为什么想破坏我了结的案件呢?可是遗憾的是,你的说辞不是语无伦次,简直像是疯子的一派胡言吗?想用这种荒唐的逻辑挑我工作的毛病,你也太孩子气了!说什么北园龙子不是犯人,究竟从那里得出这种结论的?你忘了三重旋涡指纹了吗?如果木是犯人,她能干出那种故意切断手指躲在顶棚上的荒谬的事来吗?!”
 
    “可是,我认为正因为北园龙子有那奇怪的指纹所以不是真正犯人。喂,宗像君,您懂这意思吗?”
 
    小五郎非常沉着,甚至露着微笑。
 
    “不懂。这种疯子的胡话我一点也不懂。诸位,实在是对不起你们,我可一分钟都不愿意跟这种疯子同坐在一起了,请允许我中途退席。”
 
    宗像博士从椅子上站起身来,作出了马上就要离开餐厅的样子。
 
    “啊,清等等。您是主集,要是您回去了,今晚的聚会就没有意思了。……小五郎君,您今晚好像有点儿不正常啊。我们特意举行了这个慰劳宗像君的晚宴,所以想请您不要在这宴席上进行争论。总而言之对案件的否定您可要慎重呀!”
 
    侦查科长调解似地说道,然后不自然地笑了一下。
 
    “不,大家认为我在胡说八道也难怪,可我的想法决不是没有根据的。这是我的坏毛病,常常不说思路,突然从结论开始,所以不知道我头脑中逻辑的诸位就觉得我的话完全是感情用事的狂言。那我就有系统地说说我为什么把两个犯人说成是冒充者的理由吧!宗像君也不要那样动肝火,先听我说。”
 
    小五郎一面举起双手制止,一面露着不同平常的笑脸劝解大家。
 
    既不是喝醉了酒,又不是头脑不正常。小五郎似乎在组织在座的人所无法想象的奇怪的推理。说不定他否定犯人自杀的论断有深刻的根据。这样一想,大家只得半信半疑地先听听小五郎的说明。宗像博士也勉勉强强地坐了下来。
 
    于是小五郎开始说道:
 
    “我打中村君那儿听到这案件的经过时就注意到这杀人狂的行动中有一个心理矛盾,并且想从这一角度以完全不同干家像君的方法观察一下这个案件。我说的矛盾不是别的,就是犯人为什么没有将J!呼的尸首示众。}!康的两个女儿被用极其残酷的方法,像给人看的玩物一样曝户在众人眼前。甚至使女儿们都这样遭殃的复仇者只是对川手本人没有采取那行动,这里面一定有什么特别的理由。说不定犯人不能陈列尸首,但用比陈列尸首更残酷的方法杀害了川手。比如说,我想犯人可能想出了一种让他费很长时间逐渐死去的极其残酷的方法。于是我在龙子自杀的第二天到川手失踪的N车站附近山里的独所房子去了一趟。由于某种理由,这件事除了这里在座的中村君以外我谁都没有告诉,我是悄悄地出发的。那幢独所房子现在完全是无人看管的空房子,所以门都打不开,我费尽心血渡过了小河,爬上高窗,悄悄溜进了宅脉内,并且花了整整一天时间把屋内屋外毫无遗漏地搜了一遍。我没有必要在这儿细谈搜索的情况,我马上把结果告诉大家:到头来,我的推测对了,这就是说,我发现了川手庄太郎。”
 
    听到这儿,刑警部长再也无法沉默了:
 
    “是川手的尸首吗?到底藏在什么地方?当时,当地警察进行了搜索,连山都搜了一遍,但未能发现。”
 
    “不,不是尸首,我发现了活着的川手。”
 
    听着小五郎这万分意外的话,大家顿时紧张了起来。
 
    “啊?!活着?是真的吗?就是说,犯人对关键的呼没有报复成暧?”
 
    “不,不是,犯人使用犯罪史上没有先例的极其残酷的方法对川手进行了报复,如果我的发现再晚一天,恐怕他已经不是这世上的人了。”
 
    “到底那是什么方法?”
 
    侦查股长非常兴奋,不由得插嘴说。
 
    “活埋。呼被装在棺材一般的木箱里,埋在那家院子的树林里。”
 
    “那你把他救出来了吗?他究竟怎样活到今天的呢?”
 
    “不是今天。我发现他是距今十天前,刚好是川手失踪后的第五天。他在土里呆了五天。大概是为了更折磨川手吧,那棺材一般的箱子上有些地方开着缝隙,就是说做好了喘气的场所,让他不一下子窒息,让他尽量长时间地在黑暗的地底下痛苦挣扎。而且被埋的位置比较浅,是用土和叶子夹杂在一起的东西覆盖的,所以川手在棺材里也能勉强维持呼吸。但只是能够呼吸而已,吃的东西当然没有,在被针得严严实实的厚板中几乎不能动弹,由于饥饿和迫近的死的恐惧,可怜的是川手的头发都完全变白了。要说我为什么发现了川手被埋的场所,那是因为我事前想象可能会是那样,所以在院落里的树林子里仔细地转了一下。警察们之所以未能发现他,大概是因为他们压根儿没有想到会被埋在宅评内的地下。于是我救出川手,把他背到了我乘去的汽车上,让他径直住进了甲府市的某医院。几天后,待川手恢复健康后我悄悄地把他带到东京,其实现在隐藏在我的家里。也许会受到你们的责备,说我太随心所欲了,但这里面有迫不得已的原因。在甲府的医院里也故意隐瞒了川手的名字,当然也没有向警察报案。要说为什么,因为我想从川手嘴里探听出藏在这案件背后的所有秘密,为此必须等到等于是濒危病人的他的记忆完全恢复。”
 
    “那么川手完全恢复健康了吗?恢复到原来那样的健康的身体了吗?”
 
    宗像博士这才开口说。不管怎样博士的脸上露出了香案件委托人的平安感到高兴的神色。
 
    “不,不能说健康的身体。”
 
    “是吗?不管怎样这是您的功劳,听了这话我心里轻松多了。”
 
    博士别无二意地赞扬了小五郎的功劳,但像是突然想起了什么事,说道:
 
    “啊,光顾着说话了,差一点给忘了。诸位,我出去一下,我约好要给一个案件委托人打电话,我马上就回来,小五郎君,请你等一会儿再继续说下去。”
 
    说罢急匆匆地去电话室了。
 
    “小五郎,你这样滥用私立侦探的权力,我们可不好办呀。发现了川手却擅自藏在自己家里,这要是把事情闹大,可要构成某种犯罪的呀!”
 
    刑警部长半开玩笑似地责备了小五郎的随便的举动。
 
    “不,我马上详细地向你们说明情况,决不会受到责备的。犯人是个魔术师一般的可怕的家伙,所以我也必须采取稍不规范的手段。”
 
    小五郎一面辩解一面继续谈着发现川手的情形,过了一会儿,宗像博士也从电话室回到了座席上。
 
    “事情办完了吗?”
 
    小五郎和蔼可亲,笑眯眯地问道。
 
    “办完了,让您久等了。那就请您继续说下去吧。”
 
    博士也用极其恭敬的口吻答道,像是有什么非常高兴的事似的,他一面眯缝着粗框圆形眼镜中的眼睛,把着三角胡子,一面嘿嘿地笑着。
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