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马戏团里的怪人-射击场的怪事件

时间: 2021-12-13    进入日语论坛
核心提示:射撃場の怪事件 笠原さんは、ときどき、サーカスのぶたいに、出ることがあります。なが年きたえた腕で、空中曲芸でもオートバイ
(单词翻译:双击或拖选)

射撃場の怪事件


 笠原さんは、ときどき、サーカスのぶたいに、出ることがあります。なが年きたえた腕で、空中曲芸でもオートバイの曲乗りでも、なんでもできるのです。なかでも射撃術は名人で、遠くから助手のくわえているタバコをうち落とすことができます。助手の顔をすこしもきずつけないで、タバコだけをうち落とすのです。またトランプのカードをまとにして、ハートならハートのしるしを、上からじゅんばんに、ひとつひとつ、いぬいて見せることもできるのです。
 ですから、笠原さんは、射撃の腕がおちないように、日をきめて射撃場にかよい、練習をしているのですが、きょうは、ちょうどその練習日なので、烏山射撃場へやってきたのです。
 ほんとは、正一君のことが心配で、射撃どころではないのですが、警察にもとどけたし、小林少年に、明智探偵に話してくれるようにもたのんだので、そういう専門の人たちが、正一君のゆくえを捜してくれるのを、待つほかはありません。
 笠原さんが、いくらやきもきしても、しかたがないのです。それに、家にいて、くよくよしていては、気がめいるばかりですから、ちょうど練習日だったのをさいわいに、おもいきって射撃場へやってきたわけです。
 烏山射撃場は小さな事務所のたてもののほかは、なにもない広い林の中です。いっぽうに、たまよけの高い土手がつづいて、その前に白い砂が山のようにつんであり、その砂の中ほどに、三つのまとが立っているのです。
 笠原さんはいつも、その三つのまんなかのまとで、練習することにしていました。あとの二つは、ほかの人がつかうのです。
 笠原さんは事務所から銃を持ちだすと、射撃のスタンドに立って銃にたまをこめ、いまにも練習をはじめようとしていました。
 そこへ、事務所の主任が、あたふたと、かけつけてきたのです。そして、両手をふりながら、
「待ってください。待ってください。」
と、叫びました。
「どうしたのです。なぜとめるのです。」
 笠原さんが、ふしん顔で、聞きかえしました。
「すこし、わけがあるのです。すみませんが、十分ほどお待ちください。事務所でおやすみねがいたいのです。」
「十分ぐらいなら待ってもいいが、わけをきかせてもらいたいね。わしも、いそがしいからだだからね。」
「二十分ほど前に電話がありまして、いまから三十分もしたら、そこへいくから、それまで、ぜったいに射撃をやってはいけないというのです。」
「ふうん、いったい、だれがそんな電話をかけてきたんだね。」
「有名な私立探偵の明智さんです。人の命にかかわることだから、かならず待っているようにと、たびたび、念をおされました。」
「エッ、明智探偵がそんなことをいったのか。おかしいな。こんなところで、人の命にかかわるような事件が起こるはずはないのだが……しかし、明智さんがそういったとすれば、待ったほうがいいだろうな。よろしい。事務所で、しばらくやすんでいることにしよう。」
 笠原さんはそういって、銃を持ったまま、主任といっしょに、事務所のほうへ、もどっていきました。
 しばらくすると、事務所の前に、自動車がとまって、明智探偵と小林少年がおりてきました。
 主任が出むかえ、事務所の中にあんないしますと、小林少年が、そこにやすんでいる笠原さんを見つけて、明智探偵にひきあわせました。
「明智先生ですか、はじめておめにかかります。小林君や少年探偵団の人たちには、いろいろ、ごやっかいになっています。」
 笠原さんが、ていねいにあいさつしました。
「小林君から聞きますと、お子さんがゆくえ不明になられたそうで、ご心配でしょう。これからはわたしも、およばずながら、おてつだいするつもりですよ。」
「ありがとうございます。名探偵といわれるあなたが力をかしてくだされば、こんな心じょうぶなことはありません。それにしても、あなたは、電話で、射撃の練習をしてはいけないと、おいいつけになったそうですが、それは、どういうわけでしょうか。」
「ちょっと心配なことがあるのです。……わたしの思いちがいかもしれませんが、しらべてみるまでは安心できません。」
「しらべるといいますと?」
「この射撃場のまとをしらべるのです。……だれか、シャベルを持って、わたしについてきてくれませんか。」
 明智探偵は、主任にたのみました。主任はそこにいた若い男に、そのとおりにするように命じました。
 明智探偵はその男をつれて、まとの立っている白い砂山のほうへ、歩いていきます。そのあとから、小林少年と、笠原さんと、主任と、それから射撃の練習にやってきたふたりの紳士とが、ぞろぞろとついていきます。
 まとのところへくると、明智は、シャベルを持った男に、三つならんでいるまんなかのまとのうしろの砂を、ほるように命じました。
 男はシャベルを白い砂山に入れて、さっく、さっくと砂をかきのけていきます。
 すると、五、六ど、シャベルをつかったばかりで、砂の下から、みょうなものがあらわれてきたではありませんか。
「それを、きずつけないように、そっと砂をのけてください。」
 明智がさしずをします。男が、シャベルをよこにして、しずかに砂をのけていくにつれて、そのみょうなものは、だんだん大きくあらわれてきました。
「やっぱりそうだ。これはじゅうたんを巻いたものですよ。さあ、みなさん、手をかしてください。これをそとへ引きだすのです。」
 そこで、みんなが力をあわせて、長いじゅうたんの棒を、砂のそとへ引きずりだしました。
 明智は、巻いたじゅうたんのあちこちを、手でたたいてしらべたあとで、しばってあるひもをといて、じゅうたんをころがしながら、ひろげていきました。
「アッ!」
 みんなが、おもわず叫び声をたてました。ごらんなさい。じゅうたんのまんなかが、空洞になっていて、そこにひとりの少年が、とじこめられていたではありませんか。
「アッ、正一だ。おい正一。しっかりするんだ。明智さん、これが、かどわかされたわたしの子どもですよ。」
 笠原さんは、手足をしばられた正一君をだきおこし、縄をとき、さるぐつわを、はずしてやりました。
「正一、だいじょうぶか? どこもけがはしていないか。」
 すると、気をうしなったように、ぐったりしていた正一君が、目をひらいて、ワッと泣きだしながら、おとうさんの胸にしがみついてきました。
「よし、よし、もうだいじょうぶだ。安心しなさい。これからはもう、けっしてこんなめにはあわせないからね。」
 正一君は、べつにけがもしていません。じゅうたんには、ちゃんと空気のかようすきまが作ってあったので、息がつまるようなこともなかったのです。
「明智先生、ありがとう。あなたのご注意がなかったら、わしは、この子をうち殺していたところです。わしがいつも使う、まんなかのまとのすぐうしろに、この子がいたわけですからね。よかった、よかった。明智先生は、正一の命の恩人です。正一、先生にお礼をいいなさい。おまえは明智先生と、それから小林君のおかげで、命びろいをしたんだよ。」
 それにしても、なんという恐ろしい思いつきでしょう。じゅうたんの棒の中にかくれて、笠原さんの家にしのびこみ、そのじゅうたんに正一君をとじこめて、笠原さんの射撃のまとのうしろの砂山にうずめておくとは! 悪魔でなければ、考えられない悪だくみです。
 それを、たちまち気づいて、射撃をとめさせた明智探偵の知恵は、たいしたものです。名探偵の名にはじぬ、じつにすばやいはたらきでした。

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