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马戏团里的怪人-像幽灵一样

时间: 2021-12-13    进入日语论坛
核心提示:幽霊のように それからというもの、笠原さんの西洋館の警戒は、いっそう厳重になりました。サーカス団員だけでなく警視庁のうで
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幽霊のように


 それからというもの、笠原さんの西洋館の警戒は、いっそう厳重になりました。サーカス団員だけでなく警視庁のうでききの刑事が三人ずつ、夜昼こうたいで、笠原邸につめることになったのです。
 そうなると、台所のしごともふえるので、いままでの女中さんのほかに、明智探偵のしょうかいで、ひとりの若い女中さんが、住みこむことになりました。その新しい女中さんは、まだ十五、六のかわいい少女でしたが、なかなかしっかりもので、じつによく働きます。しかし、この女中さんには、へんなくせがありました。まよなかに、家の中を歩きまわるのです。だれにも気づかれないように、こっそりと、歩きまわるのです。
 射撃場の事件があってから五日ほどたった、あるまよなかのことです。少女の女中さんは、またしても、じぶんの寝室をぬけだして、二階の廊下をまるで泥坊(どろぼう)のように、足音をしのばせて歩いているのでした。
 女中さんは、廊下のまがり角にきたとき、ふと、立ちどまりました。かすかな音が聞こえたからです。廊下の角に、身をかくして、音のしたほうを、そっとのぞいてみました。
 すると、うす暗い廊下のむこうから、へんなものが歩いてくるではありませんか。刑事さんが見まわりをしているのかと思いましたが、そうではありません。刑事さんが、あんなものすごい顔をしているはずがないのです。そいつは、ぴったり身についた黒いシャツを着て、顔は、ああ、あの骸骨とそっくりだったのです。
 骸骨男です。またしても骸骨男は、厳重な戸じまりをくぐりぬけて、家の中へ、はいってきたのです。むろん、正一君かミヨ子ちゃんを、ねらっているのにちがいありません。女中さんは、声をたてて、みんなを呼ぼうか、どうしようかと、考えているようでしたが、なにか決心したらしく、いきなり、まがり角から、ひょいと、とびだしました。そして、骸骨男のまえに立ちふさがったのです。
 この大胆(だいたん)なふるまいには、骸骨男のほうがおどろいてしまいました。
 もし、声でもたてられたら、一大事です。骸骨男は、アッと、小さく叫んで、いきなり、逃げだしました。
 勇敢な女中さんは、そのあとを追っていきます。いったい、この女中さんは、なにものでしょう。どうして、こんな大胆なことができるのでしょう。少女に追っかけられているとわかると、骸骨男は、いっそうあわてたようです。かれは、すこし廊下を走ると、いきなり、ある部屋のドアをひらいて、その中に逃げこみました。
 少女は、すぐに、そのドアの前に、かけつけたのですが、さすがに、ドアをひらくのをためらいました。骸骨男がドアのうちがわに待ちかまえていて、とびかかってくるのではないかと思ったからです。
 少女は、ソッとかぎ穴から、のぞいてみました。かぎ穴からは部屋のいちぶしか見えませんが、そこには、だれもいないのです。ドアのうしろに、かくれているようすもありません。
 思いきって、ドアのとってをまわしてみました。かぎはかかっていません。そっとひらきました。一歩、部屋の中へはいりました。……部屋はからっぽでした。
 その部屋は、だれも住んでいない空き部屋で、すみにベッドがおいてあるだけです。少女は、そのベッドのそばへいってクッションをたたいてみたり、ベッドの下をのぞいたりしましたが、どこにも人のすがたはありません。
 窓には鉄ごうしがはまっています。この部屋には戸だなもありません。人のかくれる場所はまったくないのです。
 骸骨男が、この部屋へ逃げこんだことはまちがいありません。それでいて、部屋の中にはだれもいないのです。幽霊のように消えうせてしまったのです。
 少女は、おおいそぎで二階をおり、懐中電灯を持って、裏口から庭へ出ていきました。
 骸骨男が、二階の窓から逃げたとすれば、その下の庭へおりたにちがいありません。そのすがたを見きわめようとしたのです。
 しかし、庭にも、なんのあやしい人かげもありません。すばやく、逃げさってしまったのでしょうか。しかし、それなら、庭のやわらかい土の上に、足あとが残っているはずです。
 少女は、空き部屋の窓の下の地面を、家のはしからはしまで、懐中電灯で照らしながら、念いりに、見てまわりましたが、足あとは一つもありません。
 笠原さんの家は一けんやですから、隣りの屋根へとびうつって、逃げるというようなことはできません。また、空き部屋のがわは、一階のほうが、すこし出ばっていて、せまい屋根がついているので、骸骨男は、むろん、その屋根から、地面へおりたはずです。
 少女は、その屋根のがわの地面を、くまなく、しらべたのです。しかも、そこには、足あとらしいものが、まったく残っていなかったのです。
 もしや、そのせまい屋根の上に身をふせて、かくれているのではないかと、すこし遠くへいって、屋根の上を見わたしましたが、それらしいかげも見えません。夜ふけでも、空のうす明かりで、人がいるか、いないかはわかるのです。
 骸骨男は、やっぱり、下におりて、逃げさったとしか考えられません。しかも、やわらかい地面に、ひとつも足あとを残さないで、逃げさったのです。
 頑丈な窓の鉄ごうしを、ぬけ出したのも、じつにふしぎですが、すこしも足あとを残さないで、地面を歩いていったとすれば、これもふしぎです。あいつは、やっぱり幽霊のように、地面に足をつけないで、ふわふわと、空中を飛んでいったのでしょうか。
 少女は家の中にもどって、みんなに、このことをしらせましたので、大さわぎになりました。三人の刑事がさきに立って、二階の空き部屋をしらべましたが、壁にも、天井にも、床にも、ぬけ穴などないことがわかりました。窓の鉄ごうしにも、いじょうはありません。
 それから、みんなで、懐中電灯をふり照らしながら、庭や塀のそとをくまなく捜しましたが、骸骨男が逃げさったらしいあとは、どこにも残っていないのでした。

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