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透明怪人- 魔术

时间: 2021-11-14    进入日语论坛
核心提示:大奇術 明智がことばをきったとき、中村係長が、まちかまえていたように、声をかけました。「だが、明智君、つくり話だけでは、
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大奇術


 明智がことばをきったとき、中村係長が、まちかまえていたように、声をかけました。
「だが、明智君、つくり話だけでは、すまないような出来事が、たくさんあったね。ぼくには、それが、どうしてもわからないのだが、まずこの事件のさいしょに、島田、木下の二少年が、古道具屋の店から尾行して行ったろう仮面の男だね。あれは、ふたりの少年の目の前で、服をぬいだ。すると、まったく目に見えない人間になってしまった。あれをどうせつめいするのだね。まさか、あのふたりの少年が黒川の助手ではないだろう。」
「あれはアヤツリ人形のしかけなんだよ。ろう仮面の男は、焼けあとの、こわれたれんがの建物の中にはいった。ふたりの少年は、建物のそとで、しばらく、ためらっていた。男はそのすきに、横のほうから、建物のそとへ、逃げだし、あとは、あらかじめ用意しておいたおなじ仮面と、おなじ洋服が、たくさんの黒い絹糸で、二階のゆかのわれめからつりさげてあったのだよ。二階にはひとりの助手がいて、その絹糸をあやつり、仮面や洋服をぬがせたり、ぬいだ洋服をまるめたり、それが宙に浮いて、建物の横の出口のほうへ、動いていったりするように見せたのだ。もう、夕方の、うすぐらいときだったから、少年たちはほそい絹糸や、人間の肩のかたちにまげたハリガネなんかの、しかけが見えなかったのだよ。
 黒川はふたりの少年といっしょに、ろう仮面の男を尾行して、服をぬいだやつを、おっかけ、とっくみあいをしたように、みせかけたが、むろん、あれは、おしばいにすぎない。
 そのつぎは、デパートの人形のなかに、ろう仮面の怪人が立っていて木下少年に発見された事件だね。ろう仮面はデパートの地階の倉庫に逃げこんだ。あの倉庫には、大きなからの荷箱がおいてあった。くせものは、洋服をぬぎすてて、あの荷箱の中にかくれ、それからろう仮面を投げだした。ちょうど、そのとき、ドアがひらかれて、人々は宙を飛ぶろう仮面のふしぎを見たというわけだ。」
 このとき、また中村係長が、しつもんする。
「だが、あのとき、透明怪人は倉庫から、逃げだして、廊下にいた店員と、階段をおりてきた人夫に、つきあたり、ふたりをたおしているじゃないか。」
「あのふたりが、やっぱり黒川の助手だったのさ。ハハハハハハ、うまく考えたもんだね。ひとりは店員に化け、ひとりは人夫に化け、さも透明怪人に、つきとばされたように見せかけたのさ。
 もうひとつ、にたような例を言うと、島田少年が、自分のうちの庭で、ローラースケートが、ひとりで動くのを見たが、あれも、スケートにほそい絹糸をつけて、庭のしげみの中から、黒川の助手が、ひっぱっていたのだよ。」
「それから、怪人の半透明の影が、たびたび窓にうつったね。そして、ぶきみな笑い声をたてた。すると、あれも……。」
「幻灯と、腹話術さ。助手が家のそとの木のしげみなどにかくれて、窓にむかって怪人の横顔の幻灯をうつすと、部屋のなかで、黒川が腹話術をやる。怪人の影がうつるときには、その部屋に、かならず黒川がいた。腹話術というのは、口をすこしも動かさないで、ものを言う、あの術だね。腹話術だと声がどこからくるかわからない。窓のそとと思えば、窓のそとのようにも、聞こえるのだよ。
 ぼくはコックになって、怪老人のすみかに、はいりこんだのだから、そのほか、いろいろのことがわかった。怪老人というのは、すなわち黒川なんだよ。黒川はなんにでも、化けられるふしぎなやつだ。あいつのつかった奇術のたねは、アヤツリと幻灯と腹話術のほかに、黒魔術(ブラック・マジック)と鏡トリックがある。透明怪人をつくりだすのには、あらゆる奇術がひつようだった。こんどの事件は、まるで奇術の展覧会のようなものだよ。
 大友少年が、あやしい自動車の屋根に乗って、防空ごうの怪老人のすみかに、しのびこんだとき、ドアのすきまから、透明怪人の寝室をのぞいたね。すると、パジャマばかりで、顔も手もないやつが、コップを持って、水をのんでいた。あれが、黒魔術(ブラック・マジック)なのだよ。あの寝室のかべは、黒い幕でおおわれていた。そのまっ黒な背景の前で、黒川の助手が、顔を黒ビロードでつつみ、手にも黒い手袋をはめて、ああいうことをやってみせた。そうすると、顔も手もない人間が、水をのんでいるように見えるのだよ。
 それから、大友君は怪老人のために、透明人間にされてしまった。大友君じしんも、そういうふうに感じていた。ぼくは大友君を、悪者のすみかから、ソッと逃がしてやったが、そのとき、大友君の話を、くわしくきいた。
 怪老人は大友君に、ねむりぐすりを注射して、イスにしばりつけ、二畳ほどの、せまい部屋にとじこめた。その部屋には、一方のかべに三十センチ四方ほどの、小さい鏡が、はめこみになっていた。大友君が目をさますと、その鏡に自分の胸から上が、うつっていた。それはたしかに、自分の学生服だったが、ふしぎなことに、顔がない。顔のあるべき場所には、うしろのコンクリートのかべが、うつっているばかりだ。
 両手をイスのうしろに、しばりつけられているので、自分の顔に、さわってみることはできない。大友君は、しかたがないので、しばられたまま、肩をうごかしてみた。すると、鏡の中の学生服も、おなじように、肩をうごかした。それで、鏡にうつっているのは、自分にちがいないことが、わかった。大友君はすっかり、きもをつぶして、とうとう、自分も透明人間にされたものと、思いこんでしまったのだ。
 これは鏡にしかけがあった。かべにはめこんであるのは、透明なふつうのガラスで、そのおくに、はすに、ほんとうの鏡が、おいてあるのだ。そして、その横のほうに、大友君とおなじ学生服をきた人間が、胸から上だけうつるように、イスにかけ、顔はコンクリートのかべと同じ色の板で、かくしている。はすにおいた鏡にそれがうつると、大友君の目には、首のない自分のすがたが、うつっているように見えるのだ。大友君が肩を動かせば、むこうの人間も、おなじように、肩をうごかすわけだね。だれでも知っている鏡奇術だよ。
 大友君は、透明人間にされたと、おもいこんだまま、まっくらな一室に、とじこめられてしまった。そのあとで、中村君、きみが黒川や小林君といっしょに、防空ごうにふみこんで、オリの中の大友少年の声をきいたのだが、あのオリの中は、だれもいないからっぽだった。例によって、黒川が腹話術で、大友君のこわいろをつかったのだよ。
 そこへ、べつの透明怪人がやってきて、オリの中にはいり、大友君と、とっくみあいになり、さいごに、大友君をつれて、どこかへ、逃げだしてしまったように、感じられたが、あれも黒川の腹話術なのさ。ふたりの、はげしい、いきづかいを、腹話術で、うまく聞かせたのだ。そして、黒川が自分で、オリの戸をひらき、さも透明人間が、ひらいたように見せ、また、わざとたおれて、透明人間に、つきとばされたように、見せかけたのだ。みんな黒川のひとりしばいだったのさ。
 中村君、これで、だいたいたねあかしを、おわったように思うが、ほかに何か、わからないことがあるだろうか。」
 明智はニコニコしながら、まるで黒板の前に立った先生が、生徒に聞くようなちょうしで、たずねました。
「裏から見るということは、おそろしいもんだね。いちど黒川が犯人だと気がつけば、何もかも、わかってしまう。それにしても、きみの明察には、いつもながら、頭がさがるよ。黒川というやつも、じつにおそろしいことを、たくらんだものだね。だが、きみのせつめいに、もれたことが、ふたつばかりあるようだ。ひとつは島田家の地下室の金庫から、真珠塔をぬすみだした事件。もうひとつは、きみはまだ聞いていないだろうが、ゆうべ、ろう仮面をかぶった道化師が、公衆電話の中で、消えうせた事件だ。」
 中村係長は、そこで、道化師の一件を、かんたんに、話してきかせました。すると、明智は、すぐに、そのなぞを、といてみせるのです。
「いま、きみが言ったふたつの事件は、これまで、ぼくが話したことで、きみにも、だいたい察しがつくだろうと思うが、ねんのために話してみると、真珠塔は、むろん黒川がぬすみだしたのさ。真珠塔をぬすむぞという、よこくの手紙が、空中からヒラヒラとおちてきた。あれも、黒川が自分で手紙の紙きれを投げておいて、自分でうけとめたのにすぎないが、真珠塔も、おなじ手口だよ。
 よこくの手紙を見たので、島田少年のおとうさんは、黒川といっしょに、地下室の倉庫を、しらべてみた。黒川はあのとき、奇術師のはやわざで、真珠塔をガラス箱の中から、ぬきとっておいたのだよ。だから、夜中に、みんなが金庫の前に、がんばって、賊をまっていたときには、とっくに金庫はからっぽになっていたのさ。
 そのとき、怪人がしのびこんだように、感じられたのは、やっぱり、黒川の腹話術だった。いつのばあいも、腹話術というべんりなものが、人間わざではできないような、ふしぎを、つくりだしたわけだね。
 もうひとつの、道化師が公衆電話から消えた事件は、いま聞いたばかりで、まだたしかめてみたわけではないが、おそらく、こういうじゅんじょだろう。道化師が公衆電話にはいるのを見とどけた運転手が、きみたちに知らせるために、電話のそばをはなれた。そのすきに、道化師は、よういしていた、べつのろう仮面と道化服を、電話室の天井から、つるしておいて、そとに出ると、ドアがひらかないような、さいくをして、そのまま、やみにまぎれて、逃げさってしまった。
 電話室の中にぶらさがっている、仮面と道化服を、きみたちは、さっきの道化師だと、思いこんでいたので、それに、なかみがないことがわかると、ひどくおどろいたわけだよ。あとは例によって腹話術だ。そのときも、黒川がきみたちといっしょにいたのだから、腹話術で、どんな手品だって、できたわけだからね。」
 明智のせつめいがおわると、そのときまで、だまっていた捜査課長が、かんにたえて、口をひらきました。
「明智さん、じつにおどろいた明察です。あなたの知恵にかかると、どんなふしぎでも、まるで、知恵のわを、はずすように、スラスラと、とけてしまいますね。いまのお話で、もう、わからないことは、何もなくなってしまいました。
 だが、明智さん、手品のたねはあきらかになりましたが、まだ、まるで、けんとうのつかないことが、ひとつのこっていますよ。それは、黒川が、なぜ、そんな大がかりな奇術をやって、透明怪人をほんとうらしく見せなければならなかったかということです。これも、あなたには、むろん、わかっているのでしょうね。」
「わかっています。そこが、この事件の、もっともおもしろいところですよ。」
 明智は、やっぱりニコニコ笑いながら、そのせつめいを、はじめるのでした。

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