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铁塔王国的恐怖-陷阱

时间: 2021-11-22    进入日语论坛
核心提示:落とし穴 高橋さんは、すぐに、このふしぎなできごとを、電話で警視庁の捜査課にしらせました。捜査第一課の中村警部とは、心や
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落とし穴


 高橋さんは、すぐに、このふしぎなできごとを、電話で警視庁の捜査課にしらせました。捜査第一課の中村警部とは、心やすいあいだがらだったからです。
 その晩のうちに、中村警部が、数名の刑事をつれて、しらべに来てくれましたが、けっきょく、なんの手がかりも発見されず、むなしく引きあげるほかはありませんでした。書生の青木は、きびしく、しらべられましたが、自分の部屋で、寝ていたのは、うそでないことがわかりました。すると、もうひとりの青木は、いったい何者だったのでしょう。さすがの中村警部にも、それは、想像がつかないのでした。
 中村警部のはからいで、その夜から、数名の刑事が、高橋さんの家のまわりを、たえず見はってくれることになり、賢二少年はしばらく学校をやすんで、うちにとじこもっていることにしましたが、なにしろ、あいてはおばけみたいなやつですから、ゆだんはなりません。
 事件のあったあくる日の午後、壮一少年は、学校から帰ると、おとうさんの部屋に行って、相談をもちかけました。
「おとうさん、ぼく考えてみたんだけど、こういう事件は、やっぱり、明智小五郎探偵にたのんだほうがいいんじゃないでしょうか。中村警部もえらいけど、明智探偵はもっとえらいんでしょう。」
 おとうさんは、しばらく考えたあとで、
「うん、それもいいだろう。それじゃ、わたしが明智事務所へ電話をかけて、つごうを聞いたうえで、広田をつかいにやることにしよう。広田なら、わたしたちよりも、よく事情を知っているんだからね。」
 といって、さっそく電話をかけましたが、明智探偵は、ちょうど事務所にいて、午後四時ごろに来てくれという返事でした。
 時間を見はからって、広田は自動車にのって、千代田区の明智事務所をたずねました。げんかんのベルをおすと、ひとりの青年が、中からドアをひらきました。広田が名まえをいいますと、青年は、
「わかってます。お待ちしていました。どうかこちらへ。」
 といって、さきに立ちながら、
「広田さん、きょうは用心しないといけませんぜ。うちの先生は、ひどくふきげんです。さいぜんから書斎にとじこもったきり、お茶をもっていっても、ぼくを入れてくれないほどですからね。」
 と、注意してくれます。
「小林という有名な少年助手のかたがいましたね。あなたは小林君ではないのでしょう。」
 と、たずねると、
「ああ、小林ですか。きょうは、遠くへつかいに行って、るすです。先生のおくさんも女中をつれて、おでかけで、うちには先生とぼくとふたりきりですよ。ぼくは、ちかごろ先生の助手になった近田(ちかだ)というもんです。これでも名探偵のたまごですよ。」
 と、この青年、なかなかおしゃべりです。
 やがて書斎の前に来ると、助手は、かるくドアをノックして、「高橋さんのおつかいの人です。」と、大きな声でいいました。
 すると、中から、ドアがほそめにひらいて、明智探偵のモジャモジャ頭の顔が、チラッとのぞき、
「つかいの人だけ、おはいりなさい。近田、きみはベルをならすまで、用事はない。あっちへ行っていなさい。」
 と、なるほど、ふきげんらしい声です。
 中にはいってみますと、写真でおなじみの明智探偵が、きょうも黒い背広をきて立っていました。明智は、広田が、部屋にはいるのを待って、ドアに、ピチンとかぎをかけました。そして、正面の大デスクのむこうがわにまわると、そこのいすに、どっかりこしかけて、客には、「おかけなさい。」ともいわず、だまって、こちらをにらみつけています。
 広田は、ていねいにおじぎをしてから、デスクの前のいすに、おずおず、腰をおろしました。
「どんな用件だね。」
 いつもニコニコしている明智とはちがって、まるで、にがむしをかみつぶしたような顔です。
「電話では、くわしいことを、お話しなかったとおもいますが、じつは、このごろ、新聞でさわいでいる妖虫事件です。」
 妖虫事件といえば、名探偵は、きっと、ひざをのりだしてくると思ったのに、いっこう、そんなようすも見えません。
「うん、それで。」
 と、さきをうながすばかりです。
 そこで、広田は、ゆうべのできごとを、くわしく話しましたが、明智は、なにをきいても、すこしもおどろかないのです。無表情な顔で、うん、うんと聞いているばかりです。
「賢二ぼっちゃんを、まもることが第一ですが、そのうえ犯人がつかまれば、こんなありがたいことはありません。どうでしょう、ひとつ、この事件をおひきうけくださいませんでしょうか。」
 広田はそこで、ことばをきって、じっと返事を待っていましたが、明智はやっぱり、こちらをジロジロ見ているばかりで、なにもいいません。なんだか、うすきみが、わるくなってきました。
「どうでしょうか。先生、ぜひ、ごしょうちねがいたいのですが……。」
「きみは、ぼくに、それをたのみたいというのかね。」
 明智の目つきが、きゅうに変わったように見えました。声もちがってきたようです。広田はなぜかドキッとしてあいての顔をみつめていますと、明智は、ますます、へんなことをいいだしました。
「きみにきくがね。きみはいったい、だれと話をしていると思っているんだね。」
「むろん、先生とです。先生に、事件のごいらいに来たのです。」
「先生って、だれだね。」
「明智小五郎先生です。」
 広田は、あまりバカバカしい問答(もんどう)に、おもわず、声が高くなりました。
「ホホウ、明智小五郎。ぼくが、その明智小五郎だとでもいうのかね。」
 広田は、びっくりして、いすから、腰をあげました。
「あなたは、明智先生じゃないのですか。」
「わしが明智に見えるかね。」
「え、なんですって。」
「おれが明智に見えるかと、きいたのさ。ハハハハ……。おれも変装がうまくなったものだなあ。アハハハ……。」
 その笑い声をきくと、広田は、はっとあることに気づきました。
「さては、きみは、おばけカブトムシの同類だなっ。」
「ハハハ……、そのとおり。きみは、なかなか頭がいいよ。」
「で、ぼくをどうしようというのだ。」
「ちょっと、とりこにしておくのさ。おっと、にげようったって、にげられやしないよ。そうそう、そこに立っていなさい。いま、明智探偵の発明したカラクリじかけをお目にかけるからね。名探偵さん、いいものを発明しておいてくれたよ……。」
 そのことばもおわらぬうちに、おそろしいことがおこりました。広田青年の足の下の床板が、スーッと消えてしまったのです。あっというまに、広田のからだは、下へ下へと、おそろしいいきおいで、落ちていきました。めまいがして、なにがなんだか、わからなくなったかと思うと、ガクンと、背骨がおれるような、いたみをかんじて、そのまま気が遠くなってしまいました。
「ハハハ。どうだね、穴ぐらの、いごこちは? きみはゆうべ、カブトムシを見つけて、さわぎたてた張本人だ。きみさえいなければ、うまくいったのだ。そのばつだよ。まあ、そこで、ゆっくり寝ていたまえ……。」
 そして、バタンという音がしたかと思うと、あとは墓穴(はかあな)のような、暗やみにとざされてしまいました。それは、ほんとうの明智探偵が悪人をとらえるためにつくっておいた、落とし穴だったのです。
 さて、にせの明智探偵は、広田をとじこめておいて、これから、なにをしようというのでしょうか。

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