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铁塔王国的恐怖-鞭子的响声

时间: 2021-11-23    进入日语论坛
核心提示:むちのひびき 小林君は、子どもカブトムシのあとをつけて、十二号室にはいりました。それから、その部屋の中で、どんなことがあ
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むちのひびき


 小林君は、子どもカブトムシのあとをつけて、十二号室にはいりました。それから、その部屋の中で、どんなことがあったかは略します。なぜなら、それは、まもなく、わかるときがくるからです。
 お話は、そのあくる朝、同じ石の建物の中の、大広間でおこったできごとに、うつります。
 その朝、大広間には、ピシッ、ピシッと、むちの音がひびいていました。
 その広間の中を、十数ひきの大カブトムシが、ゾロゾロと行列をつくってはいまわっていました。その輪になった行列のまんなかに、はでな、しまの洋服を着た、白ひげのじいさんが手に長いむちをもって立っているのです。
 それは、いつか賢二少年が、にいさんの壮一君といっしょに、おうちのそばの町かどで、のぞきカラクリをのぞいたときの光景と、そっくりでした。そして、あののぞきカラクリを見せてくれたじいさんこそ、いま、この部屋のまんなかに、むちを手にして立っているじいさんと同じ人だったのです。
「そら、しっかりあるくんだ。おい、十一号、むきがちがうぞ。列をはなれてはいけない。」
 ピシリーッ。おそろしいむちが、十一号とよばれたカブトムシの背中に、とびました。
「こんどは、走るんだぞ。おくれたやつはむちのおみまいだ。そら、いいか、かけあしっ……。」
 号令とともに、むちが空中で、ピシッ、ピシッとなりました。
 十数ひきの巨大なカブトムシたちは、むちをおそれて、かけだしました。いくつともしれぬ足の床をこする音が、ザーッというような、異様なひびきをたてるのです。巨大な妖虫どもが、大きな輪をかいてグルグル、グルグル、広間の中をかけまわるありさまは、じつに、なんともいえないへんてこな、うすきみのわるい光景でした。
 そして、かけあしで、三度ほどまわったときでした。とつぜん、
「とまれっ……。」
 じいさんが、はげしい声で、号令をかけました。
「おい、十二号、こちらへこい。」
 そして、十二号の背中に、ピシリーッ、とむちがあたりました。
「おかしいぞ。おまえ、いつのまに、そんなにうまくなった。きのう、はいったばかりの兵隊が、そんなに走れるはずがない。おかしいぞ。おい、あおむきになれ。そして、顔を出してみろ。」
 また、むちがとびました。しかし、列をはなれた十二号のカブトムシは、じっとしたまま、身動きもしません。
「いよいよおかしいぞ。きさま、だれかにかわってもらったな。だれだ、この子どもの身がわりになったやつは。さあ、出てこい。顔をみせろ。出ないと……。」
 ピシリーッ、二度三度、むちが背中にとびました。それでも、十二号は、ごうじょうにだまりかえっています。そこにうずくまったまま、てこでも動かないというかっこうです。
 そのときです。部屋の外の廊下の方から、ただならぬもの音が、近づいてきました。
「さあ、こっちへこい。きさま、けしからんやつだ。ベッドの下なんかにかくれて、訓練をなまけやがって、……閣下、きのうはいった十二号の新兵が、ベッドの下にかくれているのを見つけて、ひっぱってきました。」
 賢二少年が、ふたりのあらくれ男に、両手をとられて、部屋の入口にあらわれました。ふたりの男は、じいさんのおもだった子分なのでしょう。ジャンパーを着た、人相のわるいやつです。これがこの王国の「将校」なのかもしれません。
「うーん、やっぱりそうだったか。するとここにいる十二号はなに者だ。おい、おまえたち、こいつをひんむいてくれ。」
 じいさんは、白いひげをふるわせて、どなりました。ふたりの男は、その命令をきくと、賢二少年をじいさんにわたしておいて、いきなり、十二号のカブトムシに、とびかかっていきました。そして、カブトムシをとらえて、しばらくもつれあっていましたが、やがて、ふたりの男の口から、おどろきのさけび声が、ほとばしりました。
「やっ、きさま、だれだっ。どこから、やって来たのだっ。」
 十二号のカブトムシの、腹の中からあらわれたのは、ほかならぬ小林少年でした。
 小林君は、賢二少年をかわいそうに思って、身がわりをつとめてやったのですが、十二号の身のこなしが、かよわい賢二君にしては、あまりうますぎたので、かえ玉がバレてしまったのです。そのうえ、かくれていた賢二少年までみつかっては、もうどうすることもできません。

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