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铁塔王国的恐怖-黑色颗粒

时间: 2021-11-22    进入日语论坛
核心提示:黒いこびと それから、小林少年が、賢二君を助けるために、どんな計画をしたか、それは、しばらくおあずけにしておいて、お話を
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黒いこびと


 それから、小林少年が、賢二君を助けるために、どんな計画をしたか、それは、しばらくおあずけにしておいて、お話を、もとにもどし、賢二君が、にせ明智のために、さらわれた、自動車の中のできごとになります。
 運転台に、人間と同じぐらいの、巨大なカブトムシがすわっているのを見て、賢二君は、麻酔薬で眠っているおとうさんのひざへ、顔をかくしてしまいました。すると、となりに、こしかけていた、にせ明智が、賢二君の肩をトントンと、たたいて、
「なにをこわがっているんだ。よく見てごらん。ほら、ね、なんにも、いやしないじゃないか。」
 と、笑いながらいうのでした。賢二君は、その声に、おもわず、顔をあげて、こわごわ、運転台の方を見ましたが、これは、どうしたことでしょう。そこには、もとの運転手が、ちゃんと、すわっているではありませんか。おそろしいカブトムシは、かき消すように、見えなくなってしまったのです。
 では、賢二君は、さっき、まぼろしを見たのでしょうか。いや、まぼろしではありません。たしかにカブトムシでした。背中にがい骨もようのある、おそろしいカブトムシでした。
 カブトムシは、またしても、魔法をつかったのです。あいつは、虫の国のふしぎな魔法の力で、思うままに、姿をあらわしたり、消したりすることができるのかもしれません。
 そのあいだにも、自動車は、ずっと走りつづけていたのですが、そのとき、西がわが、森のようになった、ひどく、さびしい道に、さしかかりました。
「よし、ここで、とめて……。」
 にせ明智が、運転手に命令しました。自動車はブレーキの音をたてて、急にとまりました。
「手をかしてくれ。このおやじさんを、ちょっと、このおやしろの中へ、寝かせておくんだ。朝になれば、しぜんに目をさますだろうからね。」
 怪人物は、そんなことを、いいながら、運転手にてつだわせて、眠っている賢二君のおとうさんを車の外に出して、ふたりがかりで、エッチラオッチラ、暗い森の中へ、はこんでいきました。
 そのあいだに賢二君がにげだす心配はありません。運転台には、まだひとりの助手がのこっていたからです。そいつが、こわい顔で賢二君をにらみつけています。とても、にげられるものではありません。
 それにしても、ここは、いったいどこでしょう。まだ東京を出はなれたとは思われません。さっき、にせ明智が「おやしろ」といったのをみると、この森は、なにかの神社を、とりかこんだ森なのでしょう。東京の町の中にも、こういう神社の森は、いくらもあるからです。
 賢二君のおとうさんは、その社殿(しゃでん)の縁がわにでも、おきざりにされるのでしょう。そんなに寒い気候ではありませんから、かぜをひくようなこともないでしょうが、賢二君は心配でたまりません。
 そのときです。自動車のうしろの方で、なんだか、みょうなことが起こりました。
 まっ暗なので、はっきりはわかりませんが、自動車のうしろの荷物を入れる場所の鉄板のふたが、そうっとひらいたようです。そして、その中から、小さな黒い人の姿が、あらわれました。黒いこびとです。そのこびとが、まず、自動車のうしろの車のところに、うずくまって、しばらく、なにかやっていたかとおもうと、スーッと空気のもれる音がして、タイヤが、ペチャンコになってしまいました。
 こびとは、つぎには、もう一つのうしろの車、それから前の両方の車と、リスのようにチョコチョコと走りまわって、たちまち、四つの車のタイヤを、みんな、ペチャンコにしてしまいました。
 あとでわかったのですが、このこびとは、よくきれる大きなナイフをタイヤのうすいところへつきさして、空気をぬいてしまったのです。空気がぬけるたびに、自動車が、グンと、しずむような感じになるものですから、運転台にいた助手の男は、「おやっ、へんだぞ。」といいながら、ドアをあけて、車をしらべるために、降りてきました。
 助手が、右がわへまわったすきに、こびとは左がわの後部の窓に近づいて、そのガラスを、コツコツとたたきました。
 中にいた賢二少年が、びっくりして、ガラスの外を見ますと。そこに、ひとりの少年の顔が笑っていました。そして「だいじょうぶだよ。安心したまえ。」というように、コックリとうなずいてみせるのでした。
 この少年こそ小林君でした。かれは、明智探偵事務所をとびだすと、高橋さんの家にかけつけて、そのおもてに待っていた、悪人の自動車の、うしろの荷物入れにしのびこんでいたのです。そして悪人どもが賢二君のおとうさんを、神社の森へはこんでいるすきに、タイヤをきずつけて、自動車を動けなくしてしまったのです。さすがに、少年名探偵の小林君でした。
 小林少年は、窓の外から賢二君に、安心するようにあいずをしておいて、そのままいちもくさんに、どこかへかけだして行きました。どこへ行ったのでしょうか。
 そこへ、森の中から、にせ明智と運転手とが帰ってきました。
「おい、なにをウロウロしているんだ。どうかしたのか。」
 助手の男が、自動車のまわりを、なにかブツブツいいながら歩きまわっているのを見て、にせ明智が声をかけました。
「どうも、わからないのですよ。タイヤが四つとも、パンクしちゃったんです。」
「なんだって、四つともパンクした? そんなバカなことがあるもんか。よくしらべてみろ。夢でも見たんじゃないか。」
 どなりつけながら、にせ明智は懐中電灯を出して、タイヤをしらべていましたが、いきなり、びっくりしたようにさけびました。
「タイヤにナイフをつきさしたんだ。おい、きみ、そのへんに、だれかかくれているんじゃないか。タイヤをだめにして、自動車を動けないようにしたやつがいるんだ。きみはそれを知らないでいたのか。」
 しかられて、助手は、首をかしげながら、のろまな声で、答えました。
「そういえば、なんだかこびとみたいなやつが、あっちへ走っていきました。暗くてよくわからなかったけれど……。」
「なにっ、こびとだって? それじゃ、もしかすると……。」
 にせ明智は、悪人だけに、頭もよくはたらくのです。かれは、地下室にとじこめておいた小林少年のことを、チラッとおもいだしていました。
「しかたがない。このまま、運転するんだ。なあに、車がこわれたって、かまいやしない。グズグズしていると、たいへんなことになる。」
 にせ明智は、いそいで後部にのりこみ、運転手に、スタートするように、命じました。
「だが、すぐつぶれちまいますぜ。とても遠くまでは、いけませんよ。」
「かまわん。ともかく、出発するんだっ。」
 自動車は、ガタンガタンと、へんな音をたてながら、動きだしました。しかし、百メートルも進むか進まないうちに、にせ探偵が、またしても、おそろしい声でどなるのでした。
「とめろ。車をとめるんだっ。見ろ、むこうの町かどに、へんなやつがいる。あれをなんだとおもう。」
 ずっとむこうの町かどのぼんやりした街灯の下に、いく人かの人かげがみえます。さきに立っているのは、小さな子どもでした。そのあとに、制服の警官が、ひとり、ふたり、三人、まだまだ、おおぜいあとにつづいているように見えます。遠くてよくはわかりませんが、さきに立っているのは、どうも、小林少年らしいのです。
「いけないっ。子どもは、ほうっておいてにげるんだ。あとにひきかえして、森の中へ、そこから、別の町へ、通りぬけるんだ。いいか。むこうのやつらに、気づかれないようにしろっ。」
 にせ明智が、自動車をとびだすあとから、運転手と助手もつづいて、三人は、風のように、もときた道を走るのでした。
 しばらくすると、数人の警官隊が、小林少年をさきにたてて、自動車のところへかけつけました。
「賢二君、だいじょうぶか。」
 小林少年が、窓の中をのぞきながらさけびました。賢二少年は、小林君を見たことがありませんけれど、味方にちがいないとおもったので、自動車の外に、とびだして、うしろを指さしながら、
「にげたよ。三人とも、あの森の中へ、にげたよ。」
と、おしえました。
 それから、ふたりの少年は、警官たちといっしょに、神社の森にたどりつきましたが、いくらさがしても、悪人たちの姿は、もうそのへんには見あたりませんでした。しかし、賢二君のおとうさんはすぐ発見され、ぶじに助けることができました。
 こうして、小林少年の知恵によって、賢二君はすくわれたのです。おとうさんもぶじでした。悪人たちは、とりにがしても、まず、成功といわなければなりません。
 やがて、麻酔薬のねむりからさめた、おとうさんは、ことのしだいをきいて、小林少年のてがらを、ほめたたえ、くりかえしくりかえし、お礼をいうのでした。

 


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