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铁塔王国的恐怖-窥探爷爷

时间: 2021-11-22    进入日语论坛
核心提示:のぞきじいさん 怪物団の、ぶきみないたずらは、これだけではすみませんでした。そのおなじ日の夕方、高橋賢二少年のおうちには
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のぞきじいさん


 怪物団の、ぶきみないたずらは、これだけではすみませんでした。そのおなじ日の夕方、高橋賢二少年のおうちには、もっとおそろしいことが、おこるのです。一週間まえ、小林少年に助けられた賢二少年の上に、またしても、あやしい魔の手が、おそいかかってくるのです。
 その日のおひるすぎ、賢二君が、にいさんの壮一君にまもられて、ちょっと、おうちの外へ出ますと、その町かどに異様な箱車(はこぐるま)をひいた、白ひげのじいさんが、待ちかまえていました。
 それは、このお話のさいしょに出た、あのきみょうな白ひげのじいさんで、引いていたのはあのときののぞきカラクリの車でした。これが、その日の、おそろしいできごとのまえぶれだったのです。
 白ひげをはやし、はでなしまの洋服をきたじいさんは、ふたりの少年が出てきたのを見ると、ニコニコしながら、手まねきしました。
「さあ、きみたち、ここへおいで。そしてこののぞき穴から、中をのぞいてごらん。ふしぎなものが見えるから。」
 ふたりの少年は、このじいさんを見るのは、はじめてですから、べつにうたがいもせず、箱車のよこについている、ふたつののぞき穴に、それぞれ、目をあてて、のぞいてみました。
 すると、箱の中には、石をつみかさねた、いんきな、広い部屋がありました。西洋のむかしの、古いお城の中とでもいうような感じです。それが、ひろびろとして、まるで、ほんとうの部屋のように見えます。
 のぞき穴には、レンズがはめてあるので、小さな模型が、何百倍にも大きく見えるわけです。
「きみたち、これをどこだとおもうね。日本のどこかの山おくにある鉄塔王国のお城の中だよ。見ててごらん。いまにおもしろいことが、はじまるから。」
 じいさんが、やさしい声でいいました。
 すると、石の部屋の一方の入口から、なにかしら黒い虫のようなものが、はいだしてきました。それが一ぴきだけではありません。つぎからつぎと、十何びきも、ゾロゾロはいだしてきたのです。それはカブトムシでした。みんな、背中に白いもようがあります。よく見ると、あの気味のわるいがい骨の顔ではありませんか。壮一君も、賢二君も、びっくりして、のぞき穴から、目をはなそうとしました。ところが、どうしたことか、首が動かないのです。目をはなすことができないのです。
 それは、ふたりの頭を、じいさんの大きな両手が、グッとおさえつけていたからです。
「もうすこし、がまんしてみなさい。なにもこわいことはない。カブトムシは、箱の中から出られやしない。いまに、おもしろいことがおこるから、よく見ているんだよ。」
 じいさんは、ふたりの少年の頭を、おそろしい力でおさえつけたまま、声だけは、ひどくやさしいのです。
 レンズのはたらきで、一ぴきのカブトムシが、人間ほどの大きさに見えます。それが十何びきもはいだしてきたのですから、じつにものすごいありさまです。
 少年たちは、こわいけれども、見たい気持もするので、おさえつけられたまま、目もつぶらないでいました。
 すると、やがて、たくさんのカブトムシのなかの、一ぴきが、コロンとひっくりかえって、腹を上にして、もがきはじめました。賢二君たちはしりませんが、それは、同じ日の朝、丸ビルの中で、小林君のはいっている大カブトムシが、ひっくりかえったのと、そっくりのかたちでした。
 やがて、レンズのむこうのカブトムシも、腹が二つにさけたのです。そして、その中から、ひとりの少年があらわれたのです。おやっとおもって、見つめていますと、十何びきのカブトムシが、つぎつぎと、ひっくりかえり、つぎつぎと、おなかがさけて、中から、ひとりずつ、かわいらしい少年が、あらわれてきました。そして、その少年たちは、列をつくって、石の部屋の中を、グルグルまわりはじめたのです。
「どうだね。おもしろいだろう。これは鉄塔王国のカブトムシ少年隊だ。賢二君、きみもいまに、この少年隊にはいるのだよ。そして、カブトムシのよろいをきせられて、訓練をうけるのだ。アハハハ……。」
 じいさんは、長い白ひげをピクピクふるわせながら、大きな口で笑いました。そして、賢二君たちの頭をおさえていた手をはなしました。
 自由になったので、おもわず、じいさんの顔を見あげますと、しわくちゃのじいさんは、大きな口をひらいて、赤い舌をヘラヘラさせて、いつまでも笑いつづけています。その顔が、童話に出てくる魔法つかいとそっくりに見えました。
 ふたりの少年は、まるで背中に氷でもおしつけられたように、ゾーッとして、いきなりおうちのほうへ、かけだしました。うしろからじいさんの笑い声がおっかけてくるようで、気がとおくなりそうでしたが、やっとのことで、おうちの中へとびこむことができました。
 いきせききってかけこんできた、ふたりの少年の話をきくと、おとうさんや書生などが、その町かどへかけつけてさがしましたが、あのあやしいじいさんも、箱車も、どこへいったのか、かげも形も見えませんでした。賢二君たちは、まぼろしを見たのでしょうか。それとも、あのじいさんは、ほんとうの魔法つかいだったのでしょうか。

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