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铁塔王国的恐怖-怪汽车

时间: 2021-11-22    进入日语论坛
核心提示:怪自動車 みんなが、うまい考えもうかばないで、地下室に立ちならんだまま、ぼんやりしていたとき、うしろの階段から、なにか黒
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怪自動車


 みんなが、うまい考えもうかばないで、地下室に立ちならんだまま、ぼんやりしていたとき、うしろの階段から、なにか黒いかげのようなものが、地下室へおりてきました。
「だれだっ、そこへきたのは、だれだっ。」
 ひとりの刑事が、それに気づいて、いきなり懐中電灯をさしつけながら、どなりました。その電灯の光の中にうきだしたのは、きたない女こじきでした。夕方、ご用ききに変装した刑事が、原っぱで出あったあの女こじきでした。
「なあんだ、こじきか。いまごろ、どうしてこんなところへ、やってきたんだ。この地下室で寝るつもりなんだろう。いけない。いけない。外へ出ろ。さあ出るんだ。」
 べつの刑事が、女こじきを、らんぼうにつきとばそうとしました。
 ところが、こじきは、つきとばされるどころか、刑事の手をはねかえして、グングン前にすすんできます。みかけによらず力のつよいやつです。そして、高橋さんの前まで来て、みんなの方にむきなおり、にこにこ笑いだしたではありませんか。
「こいつ、きちがいだな。こらっ、ここはおまえなんかの来る場所じゃない。出ていけ。出ないと、ひどいめにあうぞ。」
 刑事にどなりつけられても、女こじきはへいきです。そして、変なことをいいだしました。
「ここは、ぼくの来る場所だよ。ぼくが来なければ、きみたちでは、どうにもできないじゃないか。」
 それは、はぎれのよい男の声でした。またしても、わけのわからないことがおこりました。
 女こじきが、男の声でしゃべっているのです。
「ハハハ……、わからないかね。ほら、これを見たまえ。」
 女こじきは、そういいながら、手をあげて、頭の毛をつかみ、グッと上にもちあげました。すると、きたないかみの毛が、スポッとぬけて、その下から男の頭があらわれたではありませんか。女のかみの毛は、カツラだったのです。
 下からあらわれたのは、モジャモジャの男の頭でした。顔はススでもぬったようにまっ黒でしたが、よく見ると、どこか見おぼえのある顔でした。
「あっ、それじゃ、あなたは……。」
「明智小五郎です。おわかりになりましたか。」
 ああ、そのきたない女こじきは、名探偵明智の変装姿だったのです。高橋さんも刑事たちも、あっけにとられて、しばらくは口をきくこともできませんでした。
「ぼくは、ここへ刑事諸君をはりこませたら、かえって、あぶないと思ったのです。怪人団は、もうひとつ、おくの手を考えるかもしれないとおもったのです。それで、だれにもしらさず、女こじきにばけて夕方から、この原っぱを見はっていました。そして、まんいちの場合には、とびだしてくるつもりだったのです。」
 明智は、まるで演説でもするように話しはじめました。
「高橋さんが、札たばのふろしきづつみをさげて、地下室へはいっていかれるのも見ていました。それから、しばらくして、高橋さんが、ひとりの少年をつれて出てこられたのも、刑事諸君が、そこへかけつけて、地下室へおりていくのも見ていました。そして、そっと入口の階段に近づき、中のようすを聞きますと、少年が賢二君のかえだまだったことや、怪人が消えうせたことがわかりました。
 ところがぼくは、一度も目をはなさないで、この地下室を見はっていたのに、だれも、ここから出ていったものはなかったのです。この地下室には、階段のほかに出入り口のないことはたしかです。
 暗くなってから、原っぱのむこうに、一台の自動車がヘッドライトを消してとまっていました。ぼくは、ふと思いあたることがあったので、その自動車に注意していたのですが、つい今しがた、それが、どこかへ走りさったのです。さっき、この地下室で、だれもいないのに、怪人の声が聞こえましたね。あの声のすぐあとで、その自動車は出発したのですよ。このいみがわかりますか。」
「では、その自動車に怪人団のやつらが、のっていたとおっしゃるのですか。」
 高橋さんがおもわず、ききかえしました。
「そうです。怪人団の首領が、のっていただろうとおもいます。」
「それを、あなたは、にがしてしまったのですか。自動車に気づいていながら、なにもしなかったのですか。」
「いや、なにもしなかったのではありません。そこにいるご用ききにばけた刑事さんは、女こじきが、ひとりの子どもこじきをつれていたことを、しっているでしょう。あの子どもこじきは、どこへいったと思います。怪人の自動車のどこかにかくれて、尾行しているのです。ひじょうな冒険です。しかし、あの少年ならだいじょうぶですよ。」
「あっ、それじゃあ、あの子どもこじきは、先生の助手の小林君だったのですか。」
 ご用ききに変装した刑事が、とんきょうな声をたてました。
「そうです。小林はリスのようにすばしこくって、よく頭のはたらく少年です。こういう尾行は、おとなにはできません。からだの小さい少年でなくては、うまくいかないのです。小林はヒルのように、くっついたら、はなれませんよ。そして、怪人団の本拠まで、ついていくでしょう。鉄塔王国がどこにあるかを、たしかめるまでは、はなれないでしょう。
 こじきにばけた小林は、大きなきれの袋をさげていました。そのなかには、いろいろなものが、はいっているのです。それをつかって、小林は、きっと目的をはたすでしょう。ぼくは、あの少年の力を信じているのです。」
 それをきいて、みんなはやっと安心しました。あの名助手の小林少年が尾行したのなら、けっして怪人をにがすことはないだろうと思ったからです。

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