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铁塔王国的恐怖-沙丁鱼干

时间: 2021-11-23    进入日语论坛
核心提示:ワシのえじき 石の壁の長い廊下をいくつもまがって、行きついたのは、まるい鉄の部屋でした。鉄塔の一階らしいのです。壁には黒
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ワシのえじき


 石の壁の長い廊下をいくつもまがって、行きついたのは、まるい鉄の部屋でした。鉄塔の一階らしいのです。壁には黒い鉄板が、はりつめてあり、一方のすみに、きゅうな鉄のはしごが、ついています。
「さあ、これを、のぼるんだ。」
 二十面相のさしずで、ふたりのあらくれ男は、二少年をおいたてて、そのはしごをのぼりました。二階、三階、四階、みんなまるい鉄の部屋です。そして、五つめのはしごをのぼると、パッとあたりがあかるくなって、鉄塔の屋上に出ました。
 まるい床には、いちめんに鉄板がはりつめてあり、それをとりまいて、ひくい鉄のてすりのようなものが、ついています。
「下をのぞかしてやれ。」
 二十面相のことばに、男たちは、ふたりの少年を、屋上のはじへつれていって、てすりにからだをおしつけ、下をのぞかせました。
 小林少年は、それほどでもありませんが、賢二君は、まっさおになってしまいました。鉄塔の壁が、まっ(たて)にはるか下のほうまでつづいていて、まるで、高い高いだんがいのはじに、立っているような気持です。おしりのへんがくすぐったくなって、足がブルブルふるえてきました。
「どうだ、わかったか。きさまたちは、ぜったいに、ここから、にげだすことはできないのだ。ここは空中のろうやだ。鉄ごうしもなにもない、あけっぱなしだが、こんな厳重なろうやはない。にげようとすれば、命がなくなるだけだ。まあ、ここで、ゆっくり、やすんでいるがいい。アハハハ……、それじゃああばよ。いまは、それほどでもないが、そのうちに、だんだん、このろうやのおそろしさが、わかってくるよ。」
 二十面相は、ふたりの男を、さきにおりさせ、じぶんはあとから、鉄ばしごをおりました。そして、屋上への出入り口についている、鉄のふたを、両手でおろし、そのすきまから顔だけを出して、にやにや笑いながらいいました。
「おい、小林君、ねんのためにいっておくが、この山にはワシがいるんだよ。きみたちはその大ワシと、たたかわなければならないのだ。死にものぐるいにたたかって、きみたちの力がつきたときが、さいごだよ。ワシのえじきになってしまうのだ。」
 そして、バタンと、はしごの上の鉄のふたがしまり、カチカチとかぎのかかる音がしました。
 ふたりの少年は、こうして、鉄塔の屋上にとじこめられてしまったのです。
「小林さん、どうすればいいの? ぼくこわいよ。」
 賢二君は、泣きだしそうな顔で、小林少年に取りすがりました。
「だいじょうぶだよ。ぼくたちはまだ、まけたんじゃない。きっと、二十面相をやっつけてみせるよ。しばらく、がまんしているんだ。」
 小林少年の、自信ありげなことばに、賢二君も、いくらか、元気をとりもどしましたが、それにしても、小林君は、いったいどうして、二十面相をやっつけることができるのでしょう。
 小林君は、れいの絹ひもの、縄ばしごをつかって、鉄塔をおりるつもりでしょうか。とてもそんなことはできません。絹ひもの長さは十メートルしかないのに、鉄塔は数十メートルの高さです。
「小林さん、ぼくたち、どうして、ここをにげるの?」
「待つんだよ。」
「え、待つって?」
「こんばんか、おそくても、あすの朝までに、おもしろいことが、おこるんだ。それまでの、しんぼうだよ。……ごらん、空がまっさおに、よく晴れているじゃないか。歌でもうたおうよ。」
 小林君は、のんきなことをいって、なにか歌をうたいはじめました。
 それから、日がくれるまで、じつに長い長い一日でした。歌をうたったり、なぞなぞのあてっこをしたり、しまいには、賢二君の学科のおさらいまでして、気をひきたてようとしましたが、そのうちに、ふたりとも、おなかがへってきました。そして、日のくれるじぶんには、ものをいう元気もなくなって、鉄のてすりによりかかり、足をなげだしたまま、グッタリとなっていました。
 もう、あたりはまっ暗です。遠くのほうから、もののきしるような音、うなり声のようなものが聞こえてきます。山にすんでいる鳥やけだものの、なき声です。
 小林君は、てすりにもたれながら、からだをねじまげるようにして、まっ暗な森の中を、あちらこちらと、注意ぶかく見まわしていました。なにか、こころ待ちにしているようすです。
 そうしてまた何時間かが、すぎさりました。ふたりとも、つかれているので、ときどきうとうと眠りますが、すぐにはっと目をさまします。寝てしまっては、たいへんだと思うからです。
 もう、真夜中を、とっくにすぎていました。つめたい風が吹いてきました。耳をすますと、まっ暗な下界からは、けだもののうなり声らしい音が、だんだん、近づいてくるように思われます。
 とつぜん、小林少年が「あっ。」と、小さくさけびました。やみの中をすかして見ると、ずっとむこうにホタルのような小さな光が、パッパッと、ついたり消えたりしていたのです。
 小林君は、大いそぎで立ちあがると、バンドの七つ道具の中から、懐中電灯をとりだしました。そして、それを高くささげながら、こちらも、パッパッと、つけたり消したりするのでした。賢二君も、これを見ると、びっくりして立ちました。そして、小林少年のそばによってたずねるのです。
「小林さん、どうしたの? なにをしているの?」
「電灯の光で、モールス信号を、やっているんだよ。ほら、よくごらん、ずっとむこうの方に、ホタルのような光が、見えるだろう。あれは懐中電灯だよ。むこうでも、信号をしっているんだ。」
「えっ、じゃあ、あすこに人がいるんだね。いったい、あれは、だれなの?」
「みかただよ。待ちに待った明智先生さ。」
「えっ、明智先生?」
「賢二君、ぼくはね、ここへくるときに、明智先生の事務所にかっている伝書バトをつれてきたんだよ。そのハトの足に、この鉄の城のある場所を、くわしく書いた通信をくくりつけて、ゆうべ、はなしてやったのさ。その通信がとどいて明智先生が助けにきてくださったのだよ。先生ひとりじゃない。長野県の警察から、おおぜいの警官隊もきているんだって。いまの懐中電灯の信号で、それがわかったんだよ。もうだいじょうぶだ。ねえ、賢二君、ぼくたちは助かったよ。」
「わあ、すてき。伝書バトをとばすなんて、やっぱり小林さんは、えらいねえ。」
 賢二少年も、にわかに、元気になってきました。
 通信がすむと、むこうのホタルのような光は、パッタリ消えたまま、ふたたびあらわれませんでした。やみの中を警官の一隊が、明智探偵をせんとうにたてて、鉄の城のまわりへ、ヒシヒシと、せめよせているのでしょう。いまにも、そのさわぎがおこるかとおもうと、小林君は胸をドキドキさせながら、耳をすませて、ようすをうかがっていましたが、いつまでたっても、下の城の中の建物は、シーンとしずまりかえっているばかりです。
 これはいったい、どうしたことでしょう。もう、さっきから一時間以上たちました。東の空の方が、うっすらとあかるくなってきました。夜明けにまもないのです。
 しかし、そのとき、明智探偵と警官隊とは、やっぱり、縄ばしごによって、つぎつぎに鉄のへいをのりこえ、城の中へしのびこんでいたのです。そして怪人団のゆだんを見すまして、悪人たちを、ひとりのこらずとらえようと、ひそかに、計画をめぐらしていたのです。
 そうとは知らないものですから、塔の上の小林君は、ひとりで、もどかしがっていましたが、すると、そのとき、空のかなたから、ブーンという、ぶきみな音が、ひびいてきました。「なんだろう。」と、ふしぎにおもって、その方角を見つめていますと、うすあかるくなった空の一方に、異様なかたちの黒い怪物があらわれて、それが、だんだん、こちらへ近づいてくるのが、かすかに見えました。なんだか、大きな鳥のようなかたちです。ああ、もしかしたら、これが、二十面相のいった、あのおそろしい人食いワシではないのでしょうか。
 大ワシのような怪物は、この塔の上をめがけて、とんでくるらしいのです。みるみる、その黒いかげが、大きくなってきます。ブルン、ブルンと風を切る羽の音が、ものすごいひびきです。
 ああ、それは、はたして大ワシだったのでしょうか。ふたりの運命は、どうなるのでしょう。

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