四季の訪れのあし音は、常にあし早にやってくるような気がするが、私には春の訪れが一番早く思われる。
三月は晴れて卒業式の月、このあし音を聞くと、ああ、また来たかと思う。
なぜならば、私はこの月の生まれだから誕生日がくると、否応なくひとつ馬齢を重ねるからだ。
私は、誕生日の献立は自分で調達し調理するのだが、年々歳々嗜好が変わってくるのがわかる。
四〇歳台にはなかったことだが、五〇歳も半ばを過ぎる頃からそれがわかるようになった。
つまり、肉より魚、魚より植物性蛋白や野菜にと好みが移行するのが、自分で献立を作るとはっきりわかるのである。