〈金子式|東《トン》|坡《ポー》|肉《ロー》〉
豚の三枚肉の脂肪と赤肉半々ぐらいの上等な部位を五〇〇グラムほど求める。たっぷりの熱湯で一度洗い流してから、中華鍋を熱して軽く全面に焦げ目をつけ、そこに水を注ぐ。分量は、肉に充分にかぶるくらい入れる。
その鍋に、長ねぎの青いところ二〜三本、土生姜の叩きつぶしたもの小一個、八角一個を入れて、はじめ強火で、沸騰したら弱火にして、アクを取りながら煮る。肉に串が通るようになったら、酒半カップ、黒砂糖大さじ一・五杯、醤油大さじ三杯ほど入れて味つけする。
干し椎茸を何枚かもどして、戻し汁と一緒に煮たり、干し貝柱一個ほど入れるとコクを増す。好みでにんにくひとかけを入れるもよい。味つけしてから、長葱の白い部分を四〜五センチに切って一緒に煮て付け合わせにする。ほかにホーレン草などの青味を添える。
〈蛤の潮汁〉
蛤は、小粒のものを砂を充分に吐かせてからよく洗って鍋に入れ、ヒタヒタぐらいまで水を差し、ふたをせずに火にかける。このとき、五センチ角ほどの出し昆布も入れ、昆布の縁に小さなアブクが出たら取り出す。
貝が煮えて全部が口を開けたら、日本酒を手早く大さじに三分の一杯ほどかけまわす。塩気が足りないようなら、ほんの気持ちだけ粗塩を足す。椀に盛って、菜の花の軽く湯通ししたものか、ふきのとうの一花をつけて出来あがり。
濃淡取り合わせの料理。お試しあれ。