このところ、ひどい二日酔いを二度ばかりやった。はじめのときは、テレビドラマの打上げの晩で、久しぶりに気持ちのよかった仕事だったので、夜の九時から明け方の四時まで飲み続けた。もう歳だから天罰てきめん二日酔いである。
こんなとき、私は茶がゆ[#「茶がゆ」に傍点]を作る。幸い八十八夜、新茶の出廻る頃でもある。おかゆにもいろいろ作り方があり、強がゆ、五分がゆ、三分がゆとあり、強がゆはお米一に対して五倍の水を入れ、五分がゆはお米一に対して七倍、三分がゆは一〇倍の水を入れて炊く。二日酔いのときには五分がゆがいい。
おかゆを炊くときには、|行《ゆき》|平《ひら》のような土鍋か、なければ厚手の鍋、あればホーローびきがいい。旨いおかゆを作ろうと思ったら生米から煮るとよい。お米はよく研いで、一時間ほど水に漬けておく。煮るときにはその水を捨てて分量の水を入れ、はじめは強火で、吹いたらごく細い火にして、ゆっくり三〇〜四〇分煮るのだが、決して吹きこぼしたり、途中でふたをあけたりしてはいけない。
いよいよ出来あがったとき濃い目の新茶をふり出して、鍋に入れ軽くひと煮たちさせる。このときちょっと塩をふり込んでやる。お米一カップに水七カップだが、茶がゆのときは、あとから足すお茶の分だけ水を減らして炊く。
上等の梅干し、塩昆布で召しあがって御覧じろ。新茶の香りがぷんと鼻をつき、二日酔いは|忽《たちま》ち飛んでいってしまう。