ビールの|肴《さかな》には豆がいい。五月の声を聞くとグリーンピース、空豆、枝豆と九月の終わりまで尽きることがない。いずれも塩ゆでが一番シンプルな肴だが、ことに枝豆がビールには合う。フランス風にグリーンピースと塩豚の煮物や中国風に高菜と空豆の煮物も悪くない。
空豆は気をつけて買わないと、実が入りすぎて色が黄ばみ固くなったものがある。こうした豆は中国風に煮るか、面倒でもゆでて皮をむいてすり鉢ですって、鰯のすり身を合わせて空豆入りのつみれ[#「つみれ」に傍点]にしてやる。
この味つけは、鰯のすり身五〇〇グラムに塩小さじ一杯、味噌小さじ一杯、生姜しぼり汁小さじ一杯、日本酒大さじ一杯、生玉子一個に片栗粉小さじ二杯で練る。これに空豆のすったものを一〇〇グラムほど入れる。そして胡椒少々をふって、まとめて鰯団子にする。
昆布出し汁を沸かして団子を落とし、浮いてきたら取りあげて、出し汁を|漉《こ》してすまし汁を作る。味噌|味《あじ》や固形スープを入れれば洋風になる。また、すり身は揚団子にして天つゆで食べてもいいし、煮たものを生姜醤油、大根おろしで食べても旨い。