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金子信雄の楽しい夕食8-04

时间: 2019-04-20    进入日语论坛
核心提示:    夏の素麺 梅雨明けの豪雨は地面からも雨が湧いてくる。一寸先も見えぬ水しぶきの煙り方は、|何《い》|時《つ》降り止
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     夏の素麺
 
 梅雨明けの豪雨は地面からも雨が湧いてくる。一寸先も見えぬ水しぶきの煙り方は、|何《い》|時《つ》降り止むかと思うほどの凄まじさだが、雨脚があがると乾きも速い。強い日差しに黒く濡れたアスファルトは、見る間に白く変わり、その繰り返しで夏がやってくる。
 盛夏、若者には大いなる喜びだが、年とともに夏がだんだん苦手になる。この頃はクーラーが進歩して、家の中にいる限り暑さを忘れさせてくれるが、あれは、体にどうも毒のような気がする。真夏に汗をかかないということは、もうひとつ気色の悪いもので、冷房の効いた部屋で、冷えた西瓜を食べても素麺を食べても、私は旨さを感じない。
 夏に食慾を失うことは、それは、大人の生理的現象だから致し方のないことだが、それはそれで、わが食慾を欺瞞させる手段を考える。その欺瞞食のひとつに素麺[#「素麺」に傍点]がある。
 細打ちの麺に、冷や麦麺と素麺の二種があるが、私は素麺の方を好む。冷や麦と素麺の違いは諸説フンプンであるが、私は小麦粉を塩と少量の油で練り込み、てのべにして線状に切り、日光に晒して乾し、ひと梅雨経たものが素麺で、三輪素麺とか揖保素麺が有名であり、冷や麦とはそんな手間をかけない機械打ちの細打ち麺だと考えている。
 素麺の講釈はこのぐらいにして、七月のレセピーで紹介した金子流のつけ汁[#「つけ汁」に傍点]はいかがだったか。これは誰にでも出来る簡単な仕掛けである。一番単純なのは、酢三に醤油一ぐらいの割りで両者を合わせ、複合調味料を加えてよくかきまぜて調味料が溶けたら出来あがり。もっとおいしく食べたいときには、上等の米酢半カップをさっと煮たたせ、酢が沸いたら日本酒大さじ二杯ほどを少しずつたらし込む(甘味が欲しければさらにみりんを大さじ一杯入れる)。これは熱気で酒のアルコール分を飛ばすため、少しずつ入れなければいけない。次に醤油を半カップの三分の一ほど入れる。そして、複合調味料をふり込み、冷蔵庫でよく冷やして食卓に出す。そのときに大さじ一杯の生酢を足す。醤油の分量、日本酒の分量はあくまでも私の目の子算なので、諸氏の好みに合わせられたい。私自身もそのときの己れの好みで酢を控えたり、醤油をふやしたりする。なおいえば、醤油もうすくち醤油と半々にしたり、うくすちだけ使うこともある。酢味を嫌うお方は日本酒、みりんを多く入れる。
 次に具だが、これは通常、さらし日本ねぎやもみ海苔を使うが、私はこれに、切りゴマや錦糸玉子(玉子のうす焼の細切り。ほのかな甘味をつけるか塩味がよい)、青ジソの千切り、ハムや焼き豚の刻んだもの、おろし生姜や紅生姜などを添えることもある。また、ラー油やゴマ油をふりかけても良い。まだあった。茗荷の刻んだものを加えると、口中極めて爽やかでよろしい。とび魚や鰺など乾きめに塩あぶりして、身をささらにほぐして具にしてもうまい。
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