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大阪経由17時10分の死者48

时间: 2019-04-25    进入日语论坛
核心提示: 浦上が、淡路警部を経由する新情報を耳にしたのは夕方である。 浦上は『週刊広場』の編集部で、谷田からの電話を受けた。「す
(单词翻译:双击或拖选)
 浦上が、淡路警部を経由する新情報を耳にしたのは夕方である。
 浦上は『週刊広場』の編集部で、谷田からの電話を受けた。
「すると、先輩、池袋のアスレチッククラブが、大森と寺沢の接点ってことになりますか」
「いや、これは一つの通過点だな」
「どういうことですか」
「二人とも、専用ロッカーを利用するのが目的で、アスレチッククラブに入会していたらしい」
 二年前に大森が入会し、半年ほど遅れて、大森の紹介で寺沢が入会したという経緯だった。
「このアスレチッククラブは、場所柄からいって夜が遅くてね、午後十一時半まで専用ロッカーを使用できるそうだ」
「二人の目的はロッカーだけですか」
「ごくたまには、軽いトレーニングをしたこともあったし、クラブ内の喫茶室にも立ち寄っていたが、毎月の会費を納めていた主目的は、大森も寺沢も、専用ロッカーを借りるためではないか、と、クラブの従業員は言っている」
 駅のロッカーでは長期保管ができない。そこで、こうした使い方をする人間が、他にもいるという。
 一流会社の課長と部長が、何ゆえ、人の目を隠れての、ロッカーが必要だったのか。しかも池袋といえば、二人とも自宅とか勤務先と別方向だ。
 まさか、犯罪に関係あるわけではあるまい。
「直接の関連はないが、明美さん絞殺の、伏線にはなっているね」
 谷田はそんな言い方で、寺沢と大森の性癖に触れた。
 それは三日前、浦上が、寺沢と大森の密葬の日に聞き込んだことだ。
 三日前、浦上と谷田は、次のようなことばを交わしている。
『でも先輩、性格が少し変わっていようと、道行く女性を見詰めてよからぬ夢想に浸ろうと、それ自体は事件に関係ないでしょう』
『そうだな。少なくとも、二人の習慣か何かで共通点でもあれば別だが、�偏屈な性癖�と、�よからぬ夢想�だけではこれはストレートには重複しないね』
 だが、それが一つに重なり合ったのだ。日常生活の異なる寺沢と大森を結び付けるものが、それぞれの専用ロッカーの中から出てきたのだ。
 会社のロッカーへ隠しておくわけにはいかないし、もちろん家庭に持ち込むわけにもいかないそれは、
「例の変装用ウイッグと眼鏡ですか」
 浦上が思わず力を込めると、
「そう、大事な物証となる長髪の鬘と眼鏡も押収された」
 谷田は、一息入れるようにことばを切り、ロッカーにはそれぞれ三つの紙袋が入っていた、と、説明した。手提げひもの付いた、大きい紙袋だ。
 その三つの紙袋の中身こそ、(浦上と谷田が追及してきた)寺沢と大森の接点だった。
「寺沢と大森はSMマニアだったのだな」
「SM?」
「それぞれの紙袋の中からは、プレイ用の、さまざまな器具が出てきたそうだ」
「二人とも変質者だったのですか」
「一概に変質者と言えるかどうか、これは心理学者のコメントを付けねばなるまいが、寺沢と大森が、家族や会社で見せるのとは全然別な顔を持っていたことは、間違いない」
「二人がどういう場所で秘密の快楽に耽っていたのか、それも判明したのですか」
「ああ、すぐに割れた」
 大森の紙袋から、一枚のカードが発見されたためだった。カードには、一見、スナックのような店名が印刷されていたが、これが、大森と寺沢が入会しているSMクラブだった。
 場所は西池袋公園に近いマンションの、一室である。
 SMクラブの経営者は、最初、捜査に協力的でなかった。営業の内容が内容だけに、それも当然だろう。
 しかし、大森と寺沢が刺殺されていると聞かされて、経営者は態度を軟化させた。経営者は横浜と奈良で発生した、二つの殺人事件を承知していたが、殺されたのが自分のところのクラブの会員とは気付いていなかった。
 大森も寺沢も、もちろん偽名で通していたためである。
 二人はどこで変身してくるのか、SMクラブのドアチャイムを鳴らすときは、すでにウイッグをかぶり、眼鏡をかけていたという。
「ぼくも一度だけ、新宿の秘密クラブを取材したことがありますが、会員同士が親しくする例は少ないのではないですか」
「いや、そうでもないそうだ。大森と寺沢の場合は、どこか別のクラブで知り合い、その後誘い合って、いまのクラブの会員になったらしい」
「二人は、いつも連れ立って、クラブへやってきたのですか」
「妙なところで、意気投合していたのだろうね。二人とも、典型的なSという話だ。二人は組んでプレイすることが多かったそうだ」
「そりゃ、間違いなく変質者ですよ」
 浦上は受話器を持ち換えた。
 それなら、分かると思った。過失で人間を絞殺することはないと繰り返してきた浦上だが、大森と寺沢が、いつもコンビを組んでのSMプレイのマニアであるなら、二月の事件は、それなりに納得がいく。
 恐らく二人は、会費を払っての、プロの女性を相手とすることに飽き足らなくなってきたのだろう。快楽は、必ず、エスカレートするものだ。
 その結果が、寺沢が運転する乗用車での、横浜へのドライブとなったのに違いない。モーテル『菊水』の利用方法などから推しても、大森と寺沢が女性を連れ込んだのは、波木明美が最初ではないだろう。
 知らないバーで、たまたま隣り合った酔客と親しくなり、その酔客の馴染みのスナックへハシゴして行き、その酔客の古い仲間であるかのように振る舞い、送っていくという口実でホステスを連れ出す。こうした手口も慣れたものではないか。
 明美の場合は、プレイが高じて、�絞殺�というアクシデントを惹起《じやつき》してしまったが、それまでは、たとえばキャッシュで、けりをつけてきたということも考えられよう。
「うん、オレもそう思うし、淡路警部も、そんなふうに見ているようだな」
「現ナマで片がつくなら、余罪があっても、被害届けは出ませんね」
「それよか、問題の桜だ」
「例の造花《イミテーシヨン》ですね」
「あれも、アスレチッククラブのロッカーから何本も出てきた」
「文学好きの変質者。造花も小道具ってわけですか」
「SMクラブの経営者の話によると、大森と寺沢は、何と言うのかな、二人とも想像を絶するほどに桜の花が好きだったそうだ」
「想像を絶する、とはどういう意味ですか」
「あの二人は、一言で言えば、満開の桜を見ると燃えてくるタイプなんだな」
「そりゃ、やっぱり異常ですよ。桜の花を、そんな感覚で受けとめるなんて論外だ」
「ともかくあの二人は、プレイのときは必ず造花《イミテーシヨン》をちぎって、女性に散らせていたというんだ」
「先輩、波木和彦と仲佐次郎は、どこかで、大森と寺沢のそうしたアブノーマルな性癖を知ったのでしょうか」
「それは何とも分からない。しかし、大森と寺沢が刺殺されたのは、桜の樹の下だ。このことを、偶然と片付けるわけにはいかないだろう」
 と、谷田は言った。
 浦上も同感だった。
 明美の七七日忌の法要の翌日、大森と寺沢が桜の樹の下に立たされたのは、復讐する側に、決定的な計算があってのことではない。最終的に、大森と寺沢は呼び出された形になっているけれど、四月二日に�横浜�と�奈良�へ向かったのは、大森と寺沢のそれぞれの意思であったはずだ。
 大森は「シドモア桜の会」に出席するために横浜へ来たのであり、寺沢は家族旅行が目的で、奈良を訪れたのだ。
 だが、言葉では表現できない、判然としない力が動いているのを、浦上は感じるのだ。
 判然としない力。それは、亡姉の恨みを晴らそうとする二人の弟の怒り、と言い直すことができるかもしれない。
「これは、文字通りのオフレコだがね、淡路警部は、二月の事件《やま》を迅速に解決しておくべきだった、と、つくづく渋い顔をしていたな」
「そうですね。一冊の文庫本が左右したのであって、警察の黒星とは言えんでしょうが、民間人に過ぎない二人の実の弟が、警察の先を越してしまったのですからね」
「その弟だが、都内をロケハン中の仲佐もそろそろASプロダクションに上がってくる頃だろう」
「大阪支店へ出張している和彦の方は、どうなりますか」
「仲佐を逮捕したら、当然、和彦も引っ張ることになる。すでに、大阪府警が協力態勢に入っている」
「先輩はどうするのですか。山下署の捜査本部へ行って、仲佐の到着を待つわけですか」
「仲佐は、山下署へは連れてこない」
 と、谷田は言った。
 報道陣を避けるための措置だった。逮捕が時間の問題とはいえ、まだ令状は請求されていないのである。
「オレにしたって、大事な仲佐を他社の目には触れさせたくないものな」
「淡路警部は、そうした配慮もしているわけですか」
「無論、警部の一存にはいかないだろうが、捜査会議の席上で強く提言はしてくれたと思うよ」
 結局、仲佐の取り調べは、菊名署で行なわれる手筈になっているという。菊名署の方が、山手署よりずっと東京に近い。
 すでに淡路警部は、奈良県警から出張中の部長刑事と一緒に、ひそかに菊名署へ向かっているという。いよいよ大詰めだ。
「どうだ、今夜、オレの家へ飲みにこないか」
 谷田は、電話を切るときに言った。谷田が入居している東横沿線の住宅団地は、菊名署からも、それほど離れていないのである。
 浦上は受話器を置くと、編集長席へ行った。
「なるほど。桜の樹の下はそういう意味だったのか」
 長身の編集長は、くわえていたパイプを机に置いた。
「これは普通の特集よりも、夜の事件レポートの方がいいかな」
 編集長は考える口調になった。「夜の事件レポート」は、事件小説ふうのタッチが呼び物の、特別企画だった。
 当然、導入部も、特集の場合とは違ってくる。
 三日前、浦上が奈良へ出張するときの打ち合わせでは、
『特集の導入は、桜の樹の下の連続殺人で決まりだね』
 と、指示した編集長であったが、新情報を加味すれば、連続殺人の前提となるモーテル『菊水』の殺人を、最初に暗示しておく必要があるだろう。
「うまく持って行くことができれば、冒頭は四十九日の納骨シーンってのはどうかね」
「そうですね、墓地に桜でも咲いていれば、御の字です」
「毎朝のスクープが社会面を飾るのは、明日の夕刊か。浦上ちゃん、仲佐が逮捕されたら、波木家の墓を撮りに、新潟まで行ってくるか」
 と、編集長は言った。
 新聞は『毎朝日報』、週刊誌の方は当然、『週刊広場』の独走だ。こういうときの編集長は、一枚の写真にも、取材費を惜しまないのが常だった。
 その�新潟�が、問題となった。
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