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大阪経由17時10分の死者53

时间: 2019-04-25    进入日语论坛
核心提示: 浦上と谷田は、礼を言ってボーイに引き取ってもらうと、ホテル内のティーラウンジへ場所をかえた。「替え玉はだれでしょう?」
(单词翻译:双击或拖选)
 浦上と谷田は、礼を言ってボーイに引き取ってもらうと、ホテル内のティーラウンジへ場所をかえた。
「替え玉はだれでしょう?」
「仲佐の言いなりになって、晩めしを食った男か。和彦の女房と同じことで、この男も、仲佐に利用されたことを知らない、善意の第三者だろうな」
「兄弟の遣り口からいえば、恐らくそうでしょうね」
 事実を打ち明けて協力を依頼すれば、いずれそこから�完全�の崩れる危険がある。
「秘密を守るには、身近な人間でないと無理だな」
「地元にいる身近な、若い男性といえば」
「明美の法要に、一人列席しているじゃないか」
 と、谷田から指摘されるまでもなく、浦上も、それを考えていた。
 波木和彦、仲佐次郎の兄弟にとっては、伯父の子供。仲佐の養子縁組は解消されていないので、戸籍上、仲佐にとっては弟に当たる男。
「仲佐光司、といったかな」
「新潟の大学に通っているという話でしたね」
「善意の第三者なら、仲佐と妙な口裏合わせるような真似はしていないだろう」
「そうですね、光司にしてみれば、隠し立てすることは、別にないわけでしょう」
「大学はまだ春休みじゃないか」
「休みかどうか、北蒲原郡の仲佐という名字を、電話帳で当たってみましょう」
 浦上は取材帳片手に立ち上がった。
 電話コーナーは、エレベーターの右手だった。
 案ずるより産むはやすいというべきか、電話確認は、あっけないほど簡単にとれた。
 あてずっぽうに、仲佐姓にダイヤルしていくと、四軒目が、捜し当てる仲佐の伯父の家であり、電話を取ったのが、当の仲佐光司だった。
 浦上は咄嗟の判断で、仲佐の旧友を装った。二日の夜、新潟駅前で仲佐と会う約束をしたのに、仲佐は約束の喫茶店へ現れない、待ちくたびれて『新潟ターミナルホテル』へ電話を入れると、
「仲佐の部屋は応答なしなのですよ。しかし、ホテル側の話では、さっきまでは部屋で食事をし、電話も受けていたというじゃありませんか」
 と、浦上は思いつくままの口実を並べ立てた。
「あとで仲佐をとっちめると、約束の時間には、ちゃんと新潟駅前の喫茶店にいたと言い張るのですよ。会えなかったのは、喫茶店を間違えていたせいだろう、というのですがね、こんなばかな話はない。じゃ、ホテルの部屋で食事をしていたのはだれか、と問い詰めると、弟さん、きみだというじゃありませんか。本当ですか」
 どうも釈然としないので、それでこうして、確認のための電話をかけたという、浦上の口実だった。
 何日か経ってからの�確認�も妙な話だが、
「ええ、そうですよ」
 電話の真意に気付いていない光司は、明るい声で、こたえた。育ちのよさそうな感じだった。
「どうして、仲佐の身代わりで、弟さんのきみが、ホテルで食事をしたりしたのですか」
「午後、呼び出し電話がかかってきたのですよ。ルームサービスを予約したが、急に人に会うことになったので、代わりに食べないかというのです。こっちは春休みで、暇で体を持て余していましたし、一流ホテルのディナーとあっては文句なしです。二つ返事で応じましたよ」
「部屋のキーはどうしました」
「キーはかけておかないから、自由に出入りしろということでした。ええ、あそこのホテルは自動ロックではないのですよ。だからぼくは言われた通り、フロントを素通りしてエレベーターで五階へ行きました」
 ルームサービスのボーイと顔を合わせてはいけないというのも、仲佐の指示だった。
 これは守るのが当然だろう。光司は宿泊客ではないのだから。一点、指示にないことをしたのは、ブランデーのオーダーだ。これが替え玉の存在を決定的にしてしまったのだが、
「いやあ、一流ホテルのディナーはゴージャスでしたよ」
 と、光司は言った。光司は仲佐に利用されたことに気付いていないし、旧友とうそをついた浦上の口実にも、疑いを抱いていなかった。
「食事中、電話が入っているでしょう。電話はきみが取った。すると、あの電話をかけてきた男性も、あのときあの部屋に仲佐がいなかったことを、知っているわけですね」
「そりゃ、知ってますよ」
 電話をかけてきたのは、仲佐当人だったというのである。
「何ですって? 仲佐は何と言ってきたのですか」
「ホテルへ戻るのが、遅くなるということでした。食事が終えたら係に電話をかけ、ワゴンを部屋の外へ出して、来たときと同じように、目立たないよう帰れと言われました」
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