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湖畔の殺人3-1

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示:   1「今夜、あたし帰りたくないナ」「給料が入ったところだ。ディスコへでも行くかい」「ううん、ここに、いつまでもこうし
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「今夜、あたし帰りたくないナ」
「給料が入ったところだ。ディスコへでも行くかい」
「ううん、ここに、いつまでもこうしていたいの」
「千佳って、急に子供みたいなことを言い出すんだね」
「そうかナ。星がこんなに、きれいなんだもの、ずっと星を見ていたい」
 四月初旬とは思えないほどの、なま暖かい微風が吹いていた。
 桜も、すでに、散り急いでいる夜だった。
 月は見えなかったけれど、一面の星空だった。
 星明かりのベンチに、吉原千佳と滝川昇治は、肩を寄せ合って座っている。
 横浜・野毛山公園の一隅。
 伊勢佐木町から関内へかけての、横浜中心地のネオンを、はるかに見下ろすことができる場所だった。
 ネオンの彩りの、さらに向こうに見える明かりが、横浜港である。
 港では、高島町から桜木町へかけて、横浜スタジアムの三十五倍もの広い敷地をとって、横浜博覧会が開催されたところだ。会場の上空は、市街地を上回るほどに、一段と明るい。カラフルなパビリオンが並ぶ会場の中でも、一際目立つのが、世界一の高さと言われる大観覧車だ。
 横浜博覧会は、三月二十五日のオープン以来、連日、予想をはるかに超えるにぎわいを見せている。
 県外からの来訪者も多い。
 しかし、博覧会場とも、繁華街とも離れた野毛山の夜は、ひっそりしている。
 起伏の多い公園だった。
 水銀灯が一定の間隔を置いて並んでいるが、だれかがいたずらでもしたのか、たまに、明かりの消えている個所があった。
 さっきから、千佳と昇治が腰を下ろしているベンチの横の水銀灯もそうだった。
 暗い場所へ、自然と足が向くのは、若い恋人同士の通例である。
 吉原千佳は十九歳、滝川昇治は二十歳だった。
 二人とも、南区の製菓工場で働いている。
 昼間は画一化された白い作業服を着ているが、夜の町をデートするときの二人は、ヤングらしい服装に変身する。
 千佳は白いジャケットにジーンズ、昇治はスポーティーなブルゾンが似合った。
 二人とも、背は高いほうである。
 昇治は、右手を千佳の肩に回し、左手は、ジャケットの上から、千佳の胸に触れていた。
 千佳は、胸のふくらみも豊かだった。
 いかにも十九歳の若さを象徴するかのように、ちょっと触れただけでも、敏感に、昇治の指先に反応してくる弾力があった。
 だが、若い昇治はもちろんのこと、当の千佳さえも、女性の体の本当の魅力がどこにあるのか、当然のことに、まだ分かってはいない。
 千佳なりに、夜、若い疼《うず》きを覚えることがあった。
 しかしまだ、異性によって肉体を目覚めさせられてはいなかった。
 千佳と昇治は、年齢は一つ違いだが、製菓工場への入社が同期だった。
 当初は、お互いに同じ東北出身ということで、親しくなった。
 故郷を遠く離れて暮らす二人にとって、その親しみが男女の愛情に変わっていったのは、当然の帰結とも言えようか。
 だが、千佳と昇治は、本当の意味での愛の形を知らない。
 いまもそうだ。
 愛している昇治が長い指を伸ばしてくるから、そっとそれに応じる。
 千佳にはそうした気持ちのほうが強かった、とも言える。
 一月下旬あたりから、ペッティングの度が激しさを増したとはいえ、千佳と昇治は、一度も、直接的な肌の関係を持ってはいないのである。
 ほとんど二日おきくらいに、工場の帰りをデートに当てているのだが、現代のヤングとして、昇治と千佳は、健全な部類に属するだろう。
「オレたち、いつになったら結婚できるのだろう? 一緒になっても、当分は、共稼ぎだな」
「夢みたい」
 千佳は昇治の腕の中でつぶやく。
 夢みたいというのは、恋を知ったことを指すのではなかった。
 結婚などということばを、口にすることが、千佳には、
「夢みたい」
 なのであった。
 お互い就職しているだけに、一人前の社会人のようなつもりでいるが、二十歳と十九歳の若さは、将来を語り合うことばの端々にもにじみ出た。
 年輩の第三者が耳にしたとしたら、その幼いとも言える恋の語らいに、微笑を感じたかもしれない。
 昇治も千佳も幸福だった。
 仕合わせであると思っていた。
 春の夜の野毛山公園を埋める、数多くの他のカップルと同じように、昇治と千佳の服装は都会的ではあるけれども、地方に生まれ育った純朴さは、どこかに尾を引いている。
「東北も、そろそろ桜が咲くかしら」
「オレの村は咲いたようだが、千佳のほうはまだじゃないか」
 昇治の故郷は福島、千佳は岩手。
 ともに、農家の出身だった。
 地元の高校を卒業すると、二人は前後して横浜へ出てきたのだった。
 いずれも、職安の紹介である。
 都会生活に慣れると、職場を変える地方出身者が少なくないが、昇治と千佳は違った。
 勤め先の製菓工場のムードは悪くなかったし、寮の設備も整っている。
 しかし、それにも増して、元々二人は、一ヵ所で長く辛抱するという姿勢を備えていた。
 あるいは、そうした共通点が、二人の間に恋を芽生えさせたのだ、と言えるかもしれない。
「今度の日曜日、三浦半島へでも行ってみようか」
 昇治は、千佳の乳房をまさぐる指先に、力を加える。
 昇治の意識は指先に集中されており、「三浦半島行き」を口にした、ことばそのものに大した意味はなかった。
 それも、純朴な若さゆえだろうか。
 いまの行為、すなわち愛撫とストレートに結び付く内容を、話題にできる性格ではなかった。
「三浦は、横浜よりも暖かいんでしょ」
「弁当を買って行って、海を見ながら食べるか」
 昇治の指先が、じわじわと、移動している。
 やがてそれは、白いジャケットの下に向けられ、下着の裏側を這《は》った。
 昇治の熱い掌が、じかに、千佳の胸のふくらみを包み込む。
 弾力があって、そして、なめらかな肌であった。
 千佳はじっとしている。
 いや、自分でも気付かないままに、少しずつ、上半身が、昇治の胸にしなだれかかってくる。
 ベンチの背後には、桜の大木があった。
 枝を広げたその大木と同じように、二人の影も一つになる。
 いつともなく、二人の間から、会話が遠のいている。
 二人が腰かけたベンチの前を、足音を忍ばせるようにして歩いて行く男女がいた。
 昇治の掌が、下に移動してきた。
 千佳は体の向きを変えると、ジーンズのファスナーを緩《ゆる》めた。
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