日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

湖畔の殺人3-4

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示:   4 坂道は、崖の中腹を曲がりくねって、下の大通りへつづいている。 崖の上は市営プールであり、崖下は住宅地になってい
(单词翻译:双击或拖选)
    4
 
 坂道は、崖の中腹を曲がりくねって、下の大通りへつづいている。
 崖の上は市営プールであり、崖下は住宅地になっているが、すでに、どこも雨戸を下ろしている。
 舗装はされているけれども、坂道は細かった。
 左へ、急に折れる辺りに、外灯がひとつあった。
 その外灯を背にして、山下と長沢は千佳と昇治の前に立ちはだかった。
(なかなか、いかすじゃねえか。こんなカワイ子ちゃんなら、文句ねえや)
 山下は、外灯に照らし出された千佳の全身を、じろじろと見詰めた。
 ドスの利いた声で睨《にら》みつけたのは、長沢のほうである。
「おい、おまえたち、公園を何だと思ってやがるんだ!」
「は?」
 昇治と千佳は、思わず掌を握り合った。
「やい、いい気になっていちゃつきやがって、オトシマエをつけてくれるだろうな」
 一人前の、やくざ者を気取った口調になっている。
 もちろん、こうしたところへ本物の組員が通りかかったりしたら、山下と長沢は顔色変えて逃げ出したに違いないのだが、昇治と千佳がまんまとその脅しにかかってしまったために、長沢はいい気になった。
「オレたちは、関西からきた一家のもんだ。こっちの兄貴は、ハマでは知られた代貸しさんだ」
 と、口から出まかせを並べ立てた。
 やくざ映画のシーンを、適当につなぎ合わせたせりふに過ぎない。
 ついつい調子にのって、
「この場で指を詰めてもらおうか」
 というようなことまで言っている。
 これには、後で取り調べに当たった野毛署の刑事も、口をあけてあきれかえったものだが、昇治たちが、山下と長沢の実体を見抜けないのは、やむを得ないことであった。
 地方出身の昇治と千佳は、大都会の暗い部分に無知だった。
 それに、山下と長沢のことばの中に、仮に不自然なものを発見したとしても、脅されているのは、事実なのである。
 充実した空気をふいに割ってきた、革ジャンパーの山下と長沢が、ただ不気味だった。
「指を詰めるのは、かわいそうだな」
 と、人気のない周囲を見回してから、山下がことばを挟んだ。
 昇治と千佳が、畏縮し切ってしまったために、山下の口調にも余裕が出ている。
 山下は思いつくままに言った。
「いくら持っているんだ?」
「ぼくたちは、ただ公園を歩いていただけです」
「ふざけるな! 金だよ。指を詰めるのが嫌なら、金で話《なし》をつける以外にねえだろう。違うか!」
 もちろん、金が欲しいわけではない。
 昇治と千佳の分断の方法を、ふと思い付いたまでだ。
 後の自供によると、これも、やくざ映画の影響であったらしい。
 昇治と千佳は、合わせて六千円足らずの現金しか持っていなかった。
 山下はその全額を受け取ると、待っていたというようにつづけた。
「冗談じゃないぜ。せめて、あと一万円はそろえてもらわなければな。これだけでは、うんとは言えない」
 五万とか十万という金額は、相手の服装から推して、無理かもしれない。
 だが、一万円ぐらいなら、どこかで借りてくることができるだろう。
 昇治の若さを見、瞬時にそれを「計算」した上での「要求」であった。
 昇治が現金を都合してくる間、喫茶店かどこかに、千佳を待たせておくという筋書きもその場で思いついた。
 無論、昇治が姿を消せば、そのまま千佳を拉致《らち》するつもりだった。
 この辺の計算と間の取り方は、一端の悪党ぶりと言えようか。
 そして、ことは、そのもくろみ通りに運ばれたのである。
 昇治が要求を拒否できるはずはなかったし、昇治は昇治で、一万円を用立ててくると見せかけて、交番へ駆け込めばいいのではないか、と考えを巡らしていた。
「いいか。おかしな真似をすると、カワイ子ちゃんが痛い目に遭うぞ」
 山下は、坂道を下りると、日ノ出町駅前の喫茶店を指差して、
「オレたちはあそこで待っている」
 と、うそぶいた。
 千佳は、口も利けないほどにおびえ切っている。
(心配することはない。すぐに戻ってくるからな)
 昇治は千佳に目で告げると、日ノ出町駅に向かった。
 山下と長沢の視線が背中に注がれているような気がして、この場で巡査派出所へ足を向けるわけにはいかなかった。
 昇治は隣の黄金町まで、一駅だけ京浜急行に揺られると、走って駅の階段を下りた。
 しかし、警察官と一緒に駆けつけた日ノ出町駅前の喫茶店に、千佳の姿はなかった。
 もちろん、革ジャンパーの二人の男もそこにはいない。
「さあ」
 そうした三人連れはこなかった、と、ウェイトレスは首をひねった。
「お願いします。早く千佳さんを捜してください」
 昇治は、いまにも泣き出しそうな顔を警察官に向けた。
「あいつら、やくざなんです。関西からきた一家だと言ってました。このままでは、千佳さんがどうなってしまうか、分かったものではありません!」
 
 その頃、山下が運転する赤いスポーツカーは、久保町の坂道を下って、国道1号線を横切ると、天王町のマンションへと向かっていた。
「おとなしくするんだぜ。さっきの野郎の十倍もかわいがってやるからよ」
 長沢は後部シートで、舌なめずりを繰り返していた。
 そう言いながらも千佳の右腕をねじ上げるようにして、ひざの上に組み伏せているのである。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%