日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

湖畔の殺人4-1

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示:   1 八月下旬にしては、しのぎ易《やす》い夜だった。 夕方から、風が出たせいだろう。 和田紀夫は酔い過ぎていた。 会
(单词翻译:双击或拖选)
    1
 
 八月下旬にしては、しのぎ易《やす》い夜だった。
 夕方から、風が出たせいだろう。
 和田紀夫は酔い過ぎていた。
 会社恒例の納涼大会が、中之島のホテルで開かれた。
 毎年、夏の終わりに開催されるパーティーは、秋の販売促進月間に向けての、決起大会の意味もあった。
 納涼会は午後三時半からだったが、その後、二次会、三次会と誘われるままに、キタのバーやクラブを飲み歩いた。
 和田は四十二歳。
 大証二部上場の『光洋物産』で、第二営業課長を務めている。
 年に一度のことなので、部下たちの誘いを無下《むげ》に断わるわけにもいかない。
「課長、これから仕上げにもう一軒、道頓堀へ行きましょう」
 と、粘る部下たちを振り切って、大阪駅に戻ったのは、午後十時を回る頃だった。
 和田の家は西宮である。
 阪急神戸本線を利用する毎日だった。
 阪急梅田駅へ向かうために、和田はJR大阪駅の広い構内を横切った。
 途中、電話コーナーを見つけると、人込みで足をとめた。
 遅くなったときは、電車に乗る前に自宅へ電話を入れるのが、いつもの習慣だった。
「ああ、ぼくだ。これから帰る。若い連中のペースに巻き込まれてね。すっかり酔わされてしまったよ」
 カード電話の前に立つ足元は、ふらふらしている。
 夜がふけても、真夏の駅は、人の動きが減らなかった。
 和田は受話器を置くと、マイルドセブンをくわえた。
 若い女性が、ふっと和田の前に立ちはだかったのはそのときである。
 瞳の大きい女性で、笑みを浮かべた口元に特徴があった。
「あら?」
 笑みを浮かべた女性は、いかにも親しげな表情を見せた。
 大きな赤いカーネーションがプリントされた、女の白いTシャツを、和田の酔った目が捕らえた。
 記憶がなかった。
 知らない女だ。
 人違いをされているのに決まっている。
 しかし和田は、ライターの火をつけながら、女を見返していた。
 女は、オフホワイトのジョッパーズが似合う若さだった。
 肌も白いし、唇の形が何とも言えずセクシーだった。
(OLだろうか)
 口の利き方は水商売の女を思わせるが、ほとんど化粧はしていないし、服装は、むしろ地味と言っていい。
「どなたでしたかね」
 マイルドセブンの煙を吐きながら、和田が思わずそう問い返したのは、酔い過ぎていたためである。
 普通の状態であったなら、たとえ、相手がどのように美貌の女性であろうとも、和田はことばを返すような性格ではなかった。
 和田は、公私ともに、徹底したマジメ人間で通っている。
 順調に出世コースを歩んで、課長のポストも得たし、定年までローンが残っているとはいえ、マイホームも手に入れた。
 西宮市の自宅には、パートで働く妻と、小学校へ通う二人の男の子が待っている。
 和田は仕事に熱中し、そして、家庭を大切にする平均的なサラリーマンであった。
 そうした和田の日常を承知しているのかどうか、
「今夜、お会いするのは、これで三度目ですわね」
 若い女は、つぶらな瞳を、じっと和田に向けてきた。
 そう言われても、やはり、和田には見覚えがない。
 だが、その一言で、彼女が人違いしているのでないことだけは分かった。
「どこかの、バーかスナックで、ご一緒したのですかな」
 と、和田は言った。
 和田は数人の部下たちと飲み歩いた、堂山町や梅田など、キタのバーを思い返そうとした。
 花金《はなきん》とあって、どの店も込んでいたし、自分たちの話に熱中していたので、周囲にだれがいたか、細《こま》かいことは何ひとつ覚えていない。
 カラオケにしてもそうだ。
 マイクを握った記憶はあるが、何を歌ったのか、定かではなかった。
 要するに、和田は、それだけ深酔いしていたのである。
「課長さん、ずいぶん酔っていらっしゃるわ」
 若い女は、新しい笑みを浮かべた。
「大丈夫ですか。足がふらふらしているわ、課長さん」
「課長だって?」
「皆さんが、そう呼んでいたじゃありませんか」
 女は、バーで同席したことを、暗示する口調になった。
 しかし、この若い女性は、酒を飲む場所へだれと出かけたのか。
 和田たちが繰り込んだバーやクラブは、若い女性が一人で立ち寄るような店ではない。
 いま、彼女に連れのいる気配はないし、こんな遅い時間に、だれかと待ち合わせをしている感じでもなかった。
「ねえ課長さん、ご一緒にお食事でもしません?」
「食事?」
 和田は、一瞬、聞き違いではないかと思った。
「こんな時間に食事をするというのかい」
 複雑な気持ちで問いかけると、
「どこかへ連れて行っていただきたいの」
 女は、和田を見詰めたままで言った。
 とても、そんなことを切り出してくる女性のようには見えない。
 この女も酔っているのだろうか。
 だが、聞き違いではなかったのである。
 若い女は、一歩、和田に近付いた。
「あたし、今夜はだれかとお話がしたくて仕様がないんですの」
「そう言っても、きみ」
 和田は、口先では常識的なことばを返したものの、このときすでに、内面に迷いが生じていたのだった。
 マジメなサラリーマンとはいえ、和田も四十二歳の男であった。
 もちろん、酔いがいつも以上に深まっていたことも、理性を不安定にする要因となっている。
 逡巡に見舞われた和田に対して、決断を促すように、女はつづけた。
「あたし、天王寺に、遅くまでやっているお店を知っているの。課長さん、一緒に行ってくださるわね」
「そうだねえ。これも、何かの縁かもしれないな」
 和田の心は動き始めていた。
 しかし、電話コーナーを離れるとき、和田は、大阪駅構内の人込みに、さり気なく視線を投げるのを忘れなかった。
 名の通った会社に籍を置く、商社マンとしての習性が、そうさせるのかもしれない。
 見知った顔はなかった。
 いや、仮に知人がいたとしても、それを見定めることもできないほどに、和田は酔っていた。
 八月二十五日のことである。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(1)
100%
踩一下
(0)
0%