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湖畔の殺人4-6

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示:   6 翌八月二十六日は、土曜日だった。 週休二日制で、会社は休みだ。 和田はまんじりともせずに朝を迎え、二日酔いの重
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 翌八月二十六日は、土曜日だった。
 週休二日制で、会社は休みだ。
 和田はまんじりともせずに朝を迎え、二日酔いの重い脳裏で、悪夢のような昨夜を思い返していた。
(何も起こらないように)
 と、祈る気持ちに、水を差すような電話がかかってきたのは、正午過ぎである。
 久乃と昭子は、朝、和田の名刺を持って、堂島浜の『光洋物産』本社に出向いた。
 会社は休日でも、当然、守衛もいるし、日直も詰めている。
 久乃と昭子は遠縁の者と偽って、営業部第二営業課長和田紀夫の住所と、自宅電話番号を聞き出した。
「昭子《あき》、こういうことは、早いほうがいいのよ」
 時間が経てば、相手はそれなりに心の準備をする。
 その前に押しかけよう、と、久乃は言った。
 これまで三回の犯行のときも、そうであった。
 久乃と昭子は、堂島浜からタクシーで梅田へ出ると、阪急電車に乗って西宮へ来た。
 高級住宅地を控えた西宮駅前は、人通りが少なかった。
 久乃が和田の自宅へ電話をかけたのは、駅前のボックスからである。
 
「もしもし。え? 何だって?」
 電話を受けた和田は、自分の顔色が変わるのを知った。
 二日酔いがもたらす頭痛など、一気に、どこかへ吹きとんだ。
「はい、妹も一緒です。奥さんにもお話を聞いていただいたほうがよろしいかと思います。これから伺います」
 と、久乃の無表情な声が電話に伝わってくる。
 抑揚を欠いた口調が、不気味だった。
 二人が何を要求しようとしているのか、言われなくとも分かった。
「西宮の駅前まで来ているのですね。分かりました。ぼくのほうから出向きます」
 和田は、背後にいる妻の視線を気にしながらこたえた。
 何とか妻を言いくるめて、家を出た。
 坂道には、八月の真昼の陽差しが強かった。
 しかし和田は、直射日光を暑いとも感じず、むしろ、強い光に虚しさを感じていた。
 和田が、久乃と昭子を駅裏の喫茶店に誘うと、
「これ、お返しするわ」
 久乃は、ポシェットから五枚の一万円札を取り出して、テーブルに載せた。
「お金でケリがつく問題ではないと思います。婚約中の妹は、それこそキズモノにされてしまったのですからね」
 久乃は電話と同じように、抑揚を欠いた冷たい口の利き方をした。
 昭子のほうは、じっと、下を向いたままである。
「奥さんにもお会いしたいし、会社の重役さんにも、ご相談に乗っていただきたいと思います」
 と、久乃はつづけた。
 とても、OLとは思えない、脅迫ぶりだった。
(誘ったのは昭子のほうではないか)
 その一言が口元まで出かかっているが、和田は何も訴えることができない。
 それでなくとも精神状態が不安定になっている和田は、傍目《はため》にも分かるほどに、テーブルの下で握った掌が震《ふる》え始めている。
 嫌な沈黙がきた。
 店内には、家族連れなどの明るい談笑があった。
 プール帰りと思われる、若い人たちもいた。
 それらを、遠い世界のもののように、和田は感じた。
 しかし、結局は金だった。
 頃合いを見計らって、和田がおずおずとそれを切り出すと、
「そうねえ」
 久乃は平然と吹っかけてきた。
「そんなに言うなら、手を打ってもいいわ。百万円でどうかしら」
「百万?」
「奥さんや、重役の方にお会いして、すぐにでも訴えるつもりでいました。でも、課長さんのほうで誠意を示してくれるのなら、考え直してもいいと思います」
 明らかに、恐喝だった。
 しかし、脅しと分かっていても、和田にはそれをはね返すだけの、心の余裕がない。
 和田の脳裏で、平穏な家庭と、充実した職場を思う感情が、めまぐるしく交錯した。
「言うとおりにしましょう」
 そうこたえる以外になかった。
「だが、そんな大金では、ポケットマネーでというわけにはいきません」
「大金かしら。たった百万円ですよ。八月中には片をつけていただきたいですわ。課長さんだって、暗い気持ちで、秋を迎えたくはないでしょう」
 月曜日に会社へ電話する、と、言い置いて、久乃は席を立った。
 昭子は黙って、その後につづいた。
 
 翌々日の月曜日、和田は考えた末に、曾根崎北署へ足を向けた。
 三日つづけて眠られない夜を過ごした和田は、頬が、げっそりとやつれていた。
 会社へ出勤したものの仕事は手につかず、そっと、所轄署へ訴え出たのだった。
 ただちに、新今宮のマンションへ、刑事がとんだ。
 管理人に当たったところ、昭子の勤務先は判明し、昭子と久乃が姉妹でないことも確認された。
 まず、昭子が逮捕され、昭子の自供により、久乃も勤め先から、曾根崎北署へ連行されてきた。
 昭子は東住吉の食品会社、久乃は阿倍野の不動産会社で働いており、職場における二人は、変哲のないOLに過ぎなかった。
「なぜ、あたしたちが逮捕されなければならないのよ!」
 取調室での久乃は、どうしようもないほどに、係官をてこずらせた。
 久乃には、罪の意識など一片もなかったようである。
「いくら声をかけられたからって、夜半に女性のマンションに上がり込んで、女性を抱いた男の人は罪にならないのですか」
 と、口走る始末だった。
 一方、昭子は、ただ、久乃と同じ留置場に入れてくれ、と、泣きわめくばかりだった。
 その昭子を追及した結果、二人のウラバンの過去と、二人のレズビアンの関係が、明るみに出た。
 なぜか毎年、夏の終わりに、この種の犯行が多い。
 だが、レズによる美人局《つつもたせ》は、異例といえよう。
 グアム島旅行の�夢�が破れた昭子と久乃は、留置場の中で、暗い九月を迎えた。
 暗いのは、和田も同じことだ。
『光洋物産』は、全社挙げての販売促進月間に入ったのに、この事件が表沙汰となって、和田の人生は一転。
 和田は単身、札幌営業所勤務を命じられた。
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