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寝台急行銀河の殺意4-4

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示: その頃、山岡部長刑事と原刑事は、神奈川県警捜査一課の、昨日の刑事に同行してもらって、『ホクエツ』本社にいた。 白井の机
(单词翻译:双击或拖选)
 その頃、山岡部長刑事と原刑事は、神奈川県警捜査一課の、昨日の刑事に同行してもらって、『ホクエツ』本社にいた。
 白井の机、ロッカーなどは、『ホクエツ』側によって、すでに点検済みだが、捜査本部としての対応が必要だった。
 捜索には、経理課長が立ち会った。
「机もロッカーも、チェック後、元どおりに戻しておきましたが、手帳とか住所録といった手がかりとなるものは、何一つ発見されませんでした」
 と、経理課長は言った。
 机の引き出しも、ロッカーの中も、きちんと片付いている。『和泉マンション』の自室と同じことだった。
 白井は、きちょうめんな性格だったのだろう。
 そして、それは、逃亡が覚悟のものであったことを、感じさせるのである。
 三人の刑事は応接室を借りて、ロッカーと机の中味を、すべて、テーブルの上に並べた。
 原刑事が、それらの一つ一つを列記したが、捜査を前進させる資料は見つからない。
 最後に、文庫本が三冊残った。三冊とも相当に読み込んだ感じの古さで、邪馬台国《やまたいこく》関係の書名だった。
「へえ、白井は神話の世界に関心を持っていたのかい」
 山岡は白い手袋のまま、ぺらぺらとページをめくった。
 すると、それぞれの文庫本から、一枚ずつのレシートが出てきた。
 どうやら、レシートは、栞《しおり》代わりに用いられていたようである。
「レストランのレシートですね。主任、三枚とも同じ店ですよ」
 原が、横から手を出した。
 店名は『ニューバレル』と記されており、所在地は町田《まちだ》市となっている。
「町田市は東京都下ですが、神奈川県の相模原市に隣接しています」
 神奈川県警の刑事が説明した。関内駅から町田駅まで、JRで三十分ほどの距離であることも、神奈川県警の刑事は、言い添えた。
 しかも町田は、白井がマンションを借りている大和からも、交通の便がよかった。大和には相鉄のほかに小田急も通っているのだが、
「小田急|江ノ島《えのしま》線で、十五分とかからないはずですよ」
 ということだった。
 そんなに近くても、東京都に属するだけに、町田という市は、神奈川の人間にとって一種の盲点かな。山岡がそう考えたとき、
「主任、この三枚は、多分に共通点がありますよ」
 原がレシートを、テーブルに置いた。
 順番に並べると、十月二十九日、十一月五日、十一月十二日となる。いずれも日曜日だった。
 日曜日の夕方である。
 しかも、それらは、逃亡寸前の日曜日に当たる。三枚目のレシートの次の日曜日は十一月十九日であり、白井は、十九日には、もう横浜にはいなかったはずなのだ。
 嫌でも、何かが匂《にお》ってくるレシートだ。
 三枚の共通点は、他にもあった。客数が「二名」であることと、飲食物は「ウイスキー」と「ステーキ」が主であることだった。
「ステーキ」に代わって、「ビーフシチュー」などの文字も見えるが、「ウイスキー」は必ず、ダブルで「十」以上が記されている。「二名」は、相当なアルコール好きと見ていい。
「安いレストランじゃないね」
 山岡はステーキ三千六百円という数字を見て、つぶやいた。
 白井は、十一月十八日、土曜日の退社時間である正午を最後に、『ホクエツ』社員の前から姿を消した。
 その直前の三週間、日曜日ごとに「二名」はウイスキーを飲み、高級な食事をとっている。近いとはいえ、一歩横浜から出た東京都下の町は、人目を避けるのに格好な場所であったのかもしれない。
「二名」は日曜日のたびに、人に隠れて何を語らっていたのか。
(この相手が本島か)
 山岡と原がそう感じたのは、当然でもあっただろう。
 実際に「二名」の一人が本島だったとしたら、相談内容は、「横手への逃亡」であったか。
 刑事は、人事課から白井の顔写真を借りて、『ホクエツ』本社を出た。
 ここからは、二人で捜査を続行することにし、関内駅近くまで戻ったところで、
「いろいろ、ありがとうございました」
 深く礼を言って、神奈川県警の刑事には引き取ってもらった。
「何かありましたら、いつでも、お電話ください」
 神奈川県警の刑事は、そう声をかけて、引き返して行った。
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