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寝台急行銀河の殺意4-8

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示: 女が、すべてのお膳立てをして、白井を横手へ逃亡させた。 これは、もう間違いあるまい。 すると、十一月十九日の夜、白井が
(单词翻译:双击或拖选)
 女が、すべてのお膳立てをして、白井を横手へ逃亡させた。
 これは、もう間違いあるまい。
 すると、十一月十九日の夜、白井が電話で入居を申し込んできたときも、その電話の傍《そば》には、女がいたことになろう。
 そして、白井が『藤森アパート』に入居してからも、女と白井は、絶えず連絡を取り合っていたはずだ。
 浦上は急ぎ足で、田圃《たんぼ》の中の道を歩いた。
『藤森アパート』の取材では、特に新しい発見はなかった。
 横浜のワイン輸入会社に就職している本島のことを尋ねてみたが、老家主は、
「さあ、知りませんな。聞いたこともありません」
 と、こたえるだけだった。
 浦上は夕暮れが近づく中で、貸家式アパートの全景を慌てて撮影し、家主に頼んで、殺人《ころし》の部屋をカメラに収めた。
 それから駅前まで引き返し、今度はタクシーで国道㈱号線を走って、横手北署へ向かった。
 三階建ての警察署がある十字路周辺も、ずっと枯れ田が広がっている。
「お話しすることは、何もありません」
 副署長の返事は事務的だった。現時点では、それが当然なのであろうが、
「目下、捜査は継続中です。解決したら、何でもお話しします。犯人が逮捕されてから出直してください」
 副署長は、そう繰り返すのみだった。
『毎朝日報』の谷田というバックアップがある、神奈川県下を取材する場合とは違うのである。
(ひょんなところで、先輩の有難味を知ったか)
 浦上は自分の中でつぶやきを漏らすと、一階の副署長席を離れて、三階へ行った。
 スポークスマンである副署長に断わられたので、もちろん、捜査本部に入ることはできない。
 浦上は、『藤森アパート男性毒殺事件捜査本部』と、入口に下がった大きい張り紙を撮影し、夕方で人の出入りが多い警察署を後にした。
 戸外は、野づらを吹く風が冷たくなっている。
 帰りはバスで、横手駅へ戻った。
 横手に泊まるなら、『よこてプラザホテル』がいいだろう。実際には、本島と白井は出会っていないのだから、取材対象ではないけれど、匂《にお》いを嗅《か》いでおくのも、無駄ではあるまい。
 浦上はぶらりと、小さいホテルに入った。しかし、宿泊の予約よりも、横浜への一報が先だった。
 フロント横にカード電話を見つけて、浦上は神奈川県警本部の、記者クラブへかけた。
「おお、連絡を待っていたんだ」
 キャップの谷田実憲が、のっけから電話口に出てきた。
 浦上が『松葉不動産』での取材結果を報告すると、
「どうやら同じ女だな」
 谷田は呻《うめ》くようにつぶやいてから、言った。
「こっちにも、女が浮かんできたのだよ。しかも、この女の背後には男がいる。千葉って男だ」
「千葉?」
「そう、白井の偽名と同じ名字だ」
 谷田はぴったり淡路警部をマークし、これまたオフレコながら、捜査の進展を正確にキャッチしていた。
 谷田は詳細を説明し、
「淡路警部から取材差し止めを食らっているので、我社《うち》はまだ動くわけにはいかない。だが、刑事《でか》さんたちは、いま、女に会いに行っている」
 と、つづけた。
「さすがは、ベテラン部長刑事《でかちよう》ですね。失礼ながら、田舎の刑事が、こんなに早く女を割り出すとは驚きです」
 浦上が感じたままこたえると、
「何、多分に、付きにも恵まれていたようだがね」
 谷田はそんな言い方をし、
「男はビジネスホテルのマネージャーだ。女は何者か知らんが、二人が元夫婦ってのが気に入《い》らない。おい、次なる取材先は決まったな」
 会員制ビジネスホテル『シャルム新潟』の所在地と電話番号を伝えてきた。
 
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