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寝台急行銀河の殺意5-3

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示:「刑事さんは、マンションに張り込んでいただけではなく、ルアンダの大家さんである二俣製作所でも、あたしのことを、いろいろ聞
(单词翻译:双击或拖选)
「刑事さんは、マンションに張り込んでいただけではなく、ルアンダの大家さんである二俣製作所でも、あたしのことを、いろいろ聞き出していったそうです」
「あなたは白井と親しかった。刑事がマークするのは当然でしょうね」
「でも、これほど執拗《しつよう》な目に遇《あ》うのは、あたしが、疑われているからでしょう。アリバイ調べみたいな、質問までされましたわ」
「関係者だから、多少の不愉快はやむを得ないとしても、潔白なら、恐れることはないではありませんか」
「端《はな》から色|眼鏡《めがね》で見ているような警察の人には、打ち解けて話す気にはなりませんわ」
 美穂子は繰り返した。
 それが、谷田に連絡してきた理由付けとなっている。
 それにしても、美穂子は、山岡部長刑事と原刑事が引き上げると、その後を追うようにして『コーポ羽沢』を飛び出してきたわけである。
 刑事の張り込みが、美穂子に相当なショックを与えたのに違いない。
「結果的に、白井さんとの交際を周囲に伏せてしまったことが、誤解を招くのでしょうか」
 美穂子は、コーヒーがテーブルに載ったところで脚を組み、ジャストに火をつけた。
 たばこをくゆらすせいか、十日前の京都とは印象が違った。いや、たばこのためだけではなかった。
 美穂子は、もっとも白井(犯行)に近い場所にいたのである。この事実は動かない。
 美穂子に対する谷田の態度が、フィルター越しになるのは当然だろう。
 刑事の来訪で受けた衝撃も、(理由もなく疑われたせいではなく)的確に、自分に焦点が絞られてきたことを畏怖《いふ》したためではないのか。
 美穂子は、谷田のそうした疑念をどこまで察しているのか、
「京都で、谷田さんご夫妻とお会いしたのは、不思議なご縁でしたが、新聞記者の方と、お知り合いになれたのは、こうなってみると、ついていましたわ」
 吸いかけのたばこを消して、本題に入った。
「もちろん、谷田さんはお気付きでしたが、二日間、あたしは京都で人捜しをしていました」
「白井の行方を追っていたのですか」
「十一月十九日の日曜日、町田のニューバレルで食事を一緒にしたのが最後でした。あの日を境にして、白井さんは、あたしの前から姿を消してしまったのです」
「白井は、先月の二十一日から、横手の例のアパートに潜伏していたのですよ。なぜ、秋田ではなく、京都を捜していたのですか」
「電話があったからですわ」
「白井から連絡がきたのですか」
 谷田はうなずいた。
 美穂子の訴えが事実であるにしろ、何かの準備、あるいは事後工作であるにしろ、ここは、黙って聞くのが正解だと考えた。
 虚偽か真実かの判断は、他のデータと突き合わせて分析すればいい。
「電話があったのは、二十四日でした。夜の九時頃だったかしら、お店のほうへかかってきましたの」
 切羽詰まった声で、突然、
『ぼくは殺される! もうどうにもならない。殺されるくらいなら、自分で死んだほうが増しだ!』
 白井は、狂人のように口走っていたという。
「今になってみれば、会社の大金を横領したことが背景にあったわけですが、電話をもらったときは、さっぱり事情が飲み込めませんでした」
「白井は何も説明せずに、殺されるとか、死ぬとか叫んだというのですか」
「こう言っては何ですが、白井さんは気が弱くて、被害妄想的なところがありました」
「他人の、ちょっとした言動に気を使うタイプですか」
「そう、そのとおりですわ。ですからそのときは、会社で小さいトラブルでも起こして、それで身を隠していたのかな、と思いました。裏で、一億四千万円もの大金が動いていたなんて、想像もしませんでしたわ」
「前にも、似たようなことがありましたか」
「蒸発まではしませんが、くよくよと悩んでいたことは知っています」
「白井が、気が小さいことは聞いていましたがね」
 谷田はコーヒーに口をつけた。浦上の新潟からの電話に対しても言ったことだが、不釣り合いではないかと思った。美穂子のような女が、白井みたいな男と愛し合うはずがない。
 谷田は胸の奥でそうつぶやき、その一事から推しても、公金横領を陰でコントロールしていたのは美穂子で動くまい、と考えた。
 だが、いまは、美穂子の説明が多少|辻褄《つじつま》合わなくとも、耳を傾けるべきだった。
「白井は、そのときの電話で、京都にいることをあなたに告げたというのですか」
「白井さんは京都の大学を卒業したせいもあって、古都を愛していました。特に紅葉の季節、秋が好きでした」
 昨年、美穂子も、洛西の紅葉《もみじ》狩りを白井に強く勧められたという。しかし、どうしても店を休むことができず、同行はできなかった。
 先月二十四日夜の電話で、白井は、
『去年と同じように、今年も京都の紅葉は、きれいだよ。ぼくはもう駄目だ。最後の紅葉《もみじ》狩りだ』
 と、つづけたという。
「京都の、どこにいるとは言わなかったのですね」
「それはこたえてくれませんでした。でも、電話を伝わってくる雰囲気で、去年の秋と同じコースを辿《たど》っていると、察しはつきました」
 そこで美穂子は、『京都東急ホテル』に宿泊し、高尾から嵐山へかけての洛西を、探し回ったのだという。
「あなたは、その電話一本だけで、本当に白井が殺されるとか、自殺すると思ったのですか」
「さすがに、殺されるとは考えませんでした。でも、動機は分かりませんが、自殺の可能性は、十分に感じられましたわ」
 白井は、突然怒鳴るような大声を張り上げたかと思うと、一転、放心した口調に変わったりして、精神状態の不安定であることが、はっきり伝わってきたというのである。
 その電話が、『ルアンダ』にかかったことを、証言できる人間はいるのか。谷田は、こちらの真意を気付かれないように、尋ねてみた。
「二十四日は金曜日でしたから、午後九時頃といえば、お店は込んでいたでしょうね」
「いいえ。それが、たまたま客足が途絶えたときの電話でしたの」
 美穂子は、客がいなかったのを幸いに、すぐに『ルアンダ』を閉めて、明かりを消したという。
(証人なしか。ここまでは、美穂子の口先だけの説明だ)
 谷田は自分の中でつぶやいた。
「電話の後でお店を閉めたのは、客の相手などできない心境だったからですか」
「当然でしょう。白井さんは、あの電話を最後に自殺するかもしれない。そういう状況ですよ」
「そりゃそうですね」
 谷田は、表向きはもう一度うなずいたが、
(電話がかかってきたことを証言する人間がいないのでは、なおのこと説得力がないね)
 自分に向かって、つぶやいていた。
 しかし、そこまでの美穂子の説明が、いかに説得性を欠いていようとも、それから後の足取りは明解だった。すなわち、殺人時刻(十一月二十五日午前〜十一月二十六日午前)の、美穂子のアリバイは完璧だった。
「一方的に切られた受話器を握り締めていると、とても、翌朝まで待つ気にはなれませんでした」
 美穂子は言った。
「待てないと言っても、電話を受けたのが夜の九時頃では、もう京都へ行く新幹線はないでしょう」
「新幹線でなくても、京都へ行くことはできますわ。ともかく、あたしじっとしていることができず、そのまま、お店を飛び出しましたの」
 美穂子は二俣川駅まで行って、時刻表を借りた。
 その時間で間に合う直通の在来線は、一本しかなかった。大阪行き寝台急行�銀河《ぎんが》�。
「時間はそれほどなかったでしょう。うまい具合に寝台券が取れたのですか」
「あたしも、焦りましたわ」
 二俣川は私鉄の小さい駅だから、もちろんJRの指定券を買えるわけがない。しかし、発車時間は切迫している。購入を急がなければならない。
 横浜駅で寝台券入手の保証があれば、�銀河�には横浜から乗り込めばいいわけだが、二俣川から横浜へ行くまでの間に、切符が売り切れてしまうということもあろう。
 そこで、ふと思い付いたのが、東京・西日暮里に住む旧友だ。新潟の高校時代のクラスメートで、千葉と離婚後の美穂子が、上京に際して最初に世話になった、竹下正代という女性だ。
 正代には会社員の夫がいるけれど、週末だけ、神田《かんだ》駅ガード下のスナックにパートに出ている。美穂子も、五年前の上京直後に働いたことがあるそのスナックへ電話をかけて、拝み倒すと、
『仕様がないわね。�銀河�の寝台券を買って、東京駅のホームへ届ければいいのね』
 正代は、ともかく応じてくれた。
�銀河�の東京駅発は、二十二時五十五分。二俣川駅から東京駅までは、横浜駅での乗り換え時間を含めて一時間ほどだから、切符さえ確保されていれば、東京駅乗車でも間に合うわけだ。
 美穂子が、この足で東京駅へ向かうことを告げると、
『分かったわ。神田から一駅だから、寝台券が買えても買えなくても、東京駅まで行って上げるわよ』
 正代は友情を発揮してくれた。
「結果的に、寝台券は手に入ったわけですか」
「はい。正代は、あたしの電話を受けると、その場で神田駅まで駆けて行って、買ってくれました」
 そして、正代は電話での打ち合わせどおり、寝台急行�銀河�発車ホーム(9番線)まで、その寝台券を届けてくれたという。
「運よく、寝台券が手に入ったからよかったものの、もし買えなかったら、どうするつもりでしたか」
 谷田がその辺に探りを入れると、
「時刻表には、大垣《おおがき》行きという普通列車が載っています。ええ、東京発が午後十一時半頃で、大垣には、朝七時前に到着する列車です」
 どうしても寝台券が求められなかったら、普通車のグリーンで、せめて大垣、いや、名古屋まで行くつもりだった、と、美穂子は言った。
 名古屋まで行けば、京都は、新幹線で五十分の距離である。婚約者の身の上を案じるという脚本を、踏襲するとすれば、
『寝台券が入手できないからと言って、マンションへ帰っても眠れるわけがない。一歩でも、京都に近いところまで行きたい』
 ということになろうか。
 そうした主張を、感情的に受け入れられないとしても、留意すべきは、美穂子が東京駅9番線ホームで、旧友の見送りを受け、寝台急行�銀河�で京都へ向かった事実だ。
 この寝台急行の京都着は、六時四十八分である。問題の十一月二十五日の朝、美穂子は、(横手駅ではなく)京都駅で列車を降り白井の行方を追った。
 そして、具体的には、その日の午後二時前、烏丸口のタクシー乗り場で谷田夫婦と出会ったわけである。以後、少なくとも翌二十六日の午後まで、美穂子が京都にいたことは間違いない。谷田が嵐山で名刺を手渡したのは、二十六日の午後三時半頃だ。
 美穂子は、犯行の立案、遠隔操作は可能でも、殺人《ころし》に関しては、毒殺の周辺に出没していなかったことになる。
(やっぱり、壁の向こうに、もう一人男が潜んでいるのか)
『藤森アパート』の家主に電話をかけてきた男はだれだろう?
(電話の男を洗い出さない限り、美穂子には辿《たど》り着けないって図式か)
 谷田は、念のために、と、竹下正代の住所と電話番号を聞き出し、コーヒーを飲み干すと、ピース・ライトに火をつけた。
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