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寝台急行銀河の殺意7-2

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示:  京都発 十二時二十一分 �ひかり266号�  東京着 十五時八分  (乗り換え=四十五分)  上野発 十六時 �やま
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  京都発 十二時二十一分 �ひかり266号�
  東京着 十五時八分
  (乗り換え=四十五分)
  上野発 十六時 �やまびこ51号�
  福島着 十七時三十七分
  (乗り換え=九分)
  福島発 十八時三十三分 L特急�つばさ17号�
  横手着 二十二時五分
 
 さっと取材帳に書き出した数字《ダイヤ》が、それだった。
 列車ルートは一般的だが、秋田は空港を持っている。
「大阪—秋田間は、上り下りとも一日に二便ずつしか飛んでおりません。しかし、京都駅—大阪空港間はタクシーで五十分前後ですから、京都発が十二時少し過ぎなら、十分に、飛行機を利用できますね」
 問題は秋田空港から横手までの足か、と、浦上は独《ひと》りごち、
「秋田空港に近い駅はこれかな」
 秋田の分県地図を指先で辿り、別の数字《ダイヤ》を書き出した。
 
  京都市内出発 十四時過ぎ
  大阪空港発 十六時 �JAS785便�
  秋田空港着 十七時二十分
  (乗り換え=タクシーで有料道路を経て十五分前後)
  和田《わだ》発 十八時二十二分 奥羽本線上り普通
  横手着 十九時二十七分
 
 秋田空港から和田駅までは、有料道路が通っている。タクシー十五分前後というのは、分県地図の距離から測定した�机上の計算�だ。
 計算に誤差があったとしても、�JAS785便�で到着して利用できる奥羽本線は、浦上が書き出した列車しかないのだから、多少の計算違いは問題となるまい。浦上がそうした意味の説明を加えると、
「和田という駅での待ち時間がそんなにあるなら、空港から、そのまま横手までタクシーを飛ばしたらどうなんだ」
 谷田はたばこを消した。
 だが、列車利用なら、この計算でいいだろうが、地図の上で、秋田空港—横手間をタクシーがどのくらいな時間で走行するのか、正確な所要時間を算出することはできない。
「簡単だよ。通信部へ聞いてみる」
 谷田は気軽く腰を上げた。
 谷田はカウンターのほうへ歩いて行き、酒場の電話で、『毎朝日報』横手通信部へかけた。
「あ、昨日はどうも。松葉不動産の件ではお世話になりました」
 谷田は大声であいさつし、二、三分で、浦上が待つボックス席へ戻ってきた。
「秋田空港—横手駅間は、国道13号を通って、一時間半みれば、いいそうだ」
 谷田は言った。
 このルートだと、和田駅での列車乗り換えより三十分ほど早く、横手市に入ることができる。
 白井の横手帰着から割り出される凶行時刻は、(横手駅から藤森アパートまでの徒歩十五分を加算して)概ね次のようになる。
 
  京都駅から新幹線利用の場合=十一月二十五日(土)二十二時二十分〜十一月二十六日(日)午前
  大阪空港から空路利用の場合=十一月二十五日(土)十九時十五分〜十一月二十六日(日)午前
 
 司法解剖の結果を、絵はがきが訂正したわけである。白井の生存が、捜査本部の断定よりざっと十二時間延長され、それだけ犯行時間が短縮される。
 もちろん捜査陣も、新しいデータによって新しい死亡推定時刻を書き出しているであろうが、
「ここまできたら」
 谷田はいつものせりふを言い、
「刑事《でか》さんたちより一分でも早くアリバイを崩し、美穂子のシロクロをはっきりさせたいね。浦上サン、頼りにしていますよ」
 改めて時刻表を突き出してきた。
 そう、このように分析してみると、美穂子が二十五日の午後京都にいたことは、アリバイの意味を持たないことになる。問題は二十五日夜の行動だ。
「先輩、解剖では、ホトケの胃に残っていた米飯とか納豆は食後一、二時間という話でしたね。食卓には、食べかけのインスタントみそ汁も置かれていたとか」
「納豆とみそ汁を食うのが朝食に限られているのなら、殺人《ころし》は朝食後、すなわち二十六日の午前と特定されてくる。だがね、白井は独《ひと》りで、潜伏生活をしていたんだぞ」
「晩めしに納豆食べるケースもあるわけですか」
「朝っぱらから焼肉にしようと、夜、納豆を食おうと、カラスの勝手だろ」
 食べ物は大して参考にならない、と、谷田は言った。
 焦点は、飽くまでも、時間の配分だ。
 十一日前のあの日、『京都東急ホテル』で、観光タクシーの打ち合わせを終えた谷田夫婦は、地下一階のティーラウンジに寄った。
 すると間もなく、美穂子が、一階出口へつづくエスカレーターを上がって行った。
 谷田と郁恵が、コーヒーを飲みながら、美穂子のすらりとした後ろ姿を見送ったのが、午後四時頃だ。それが、谷田が取材帳にメモした(2)である。
 以後、高尾の清滝川渓谷で出会う(3)まで、谷田夫婦は美穂子を見ていない。
「美穂子が自由に使えるのは、十七時間」
 浦上がつぶやくと、
「白井は列車で十時間、飛行機なら五時間ていどで、京都から横手へ到着しているわけだな」
 谷田は、浦上が書き出した数字《ダイヤ》を見た。
 その点でのみ言えば、十七時間の持ち時間で、京都—横手間の往復は可能だ。
 鉄道と空路を組み合わせて、往復ざっと十五時間とすれば、少なくとも二時間を殺人《ころし》に用いることができる、と単純計算ではそういうことになる。
「でも、秋田行きの便は、ここにメモった大阪発十六時の�JAS785便�が、最終ですよ」
 五条堀川通りのホテルを出たのが午後四時、すなわち十六時頃では、最終便には絶対に搭乗できない。
 浦上が顔を振ると、
「だからさ、行きは列車。帰りを飛行機という組み合わせでどうかね」
 谷田は食い下がった。
 しかし、不可能であることが、すぐに分かった。
 仮に、十時間かけて横手入りする乗り継ぎ列車が見つかったとしても、帰ってくることができない。秋田発大阪行きは、第一便の大阪空港着が、十四時四十分だったからである。
「どこを、どうひっくりかえしたって無理ですよ」
 浦上は時刻表を投げ出した。
「先輩、本当に美穂子が、殺人《ころし》の実行犯なのでしょうかね」
 浦上は、手にした水割りのグラスを見詰めた。
 それにしても、手が込んだアリバイ工作ではないか。
 二十五日午後の�京都存在�は意味ないものとなっても、今度は、被害者の、生存時間の延長が、逆に、容疑者のアリバイを不動にしているのである。
 生存時間を明示する辺りに、何かが隠されているのか。
「そうかもしれないぞ」
 谷田も、今度はそれを問題とした。
「オレ自身がアリバイ証人になっていて、面目無いが、仕掛けがあるとしたら、やはり京都かな」
「いつものように、現地踏査しかありませんかね」
 浦上は、すでにその気になっている。
「オレも同行したいが、捜査の主体が秋田県警では出張許可は、まず下りないね」
「ま、先輩には、十一月二十五日と、二十六日の京都を、じっくり思い出しておいてもらいましょう」
「こいつは渡しておく」
 谷田はテーブルの上の取材帳を片付け、白井の絵はがきを差し出してきた。
 浦上は、絵はがきとは別に、白井と美穂子の複写写真も預った。そして、しばらく、会話の途絶えた状態がつづき、
「残念ながら、今夜はこれまでだな。ほどほどに引き上げるとするか」
 谷田は、キープのボトルが空《あ》いたところで、
「ママ、お会計だ」
 カウンターに向かって、手を上げた。
 
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