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寝台急行銀河の殺意8-3

时间: 2019-04-26    进入日语论坛
核心提示: 神奈川県警記者クラブに、上り東海道新幹線�ひかり224号�から電話が入ったのは、間もなく午後五時になろうとするときだっ
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 神奈川県警記者クラブに、上り東海道新幹線�ひかり224号�から電話が入ったのは、間もなく午後五時になろうとするときだった。
 谷田が電話を受け継ぐと、
「先輩、ぼく、京都へ泊まる必要がなくなりました。七時過ぎには横浜へ帰ります」
 浦上の、何とも軽快な声が、飛び込んできた。
「美穂子が真犯人《ほんぼし》であることの証明が、また一つ出てきました。あの夜、美穂子は、横手へ行く必要はなかったことになります。彼女はあのまま、先輩たちと同じホテルにのんびり泊まっていたはずです」
「何だと?」
 谷田は、浦上の説明を聞いて顔色を変えた。
「きみ、よくそんなことに気付いたな」
「記念スタンプが昨年までのものであることと、切手が三枚も貼られていたお陰です」
「絵はがきに、三枚の切手は多過ぎるか。きみらしい見方だ」
「無神経な人間なら別です。経理課主任の白井はそんな男じゃないと思います」
「多過ぎる切手が、何かを隠していると睨《にら》んだか」
「工作があるとすれば、一つしか考えられないでしょう」
「しかし、それを見抜くとは、さすが名探偵の浦上サンだ」
「ともかく、この三枚の切手は、もう一つの消し印を隠すために、必要だったわけです」
 浦上は最初の説明を繰り返した。
 三枚の切手の裏側というか、下に隠されていたのは「左京」「88・11・16」「8〜12」「SAKYO」などの文字だった。
「もちろん、去年の切手は剥がされていますし、砂ゴムを使った形跡はありますが、元のスタンプは、完全に消えていません」
「彼女、やってくれるな。昨年十一月の京都の左京郵便局管内で投函された絵はがきを、一年経って、もう一度ポストに入れたか」
「左京局なら、大原に近いですよ」
「去年の十一月といえば、白井が五千万円を流用した月だな」
 谷田は受話器を持ち直した。
 絵はがきの文面も、改めて納得ができるというものだ。
 昨年七月の一千万円に始まり、九月の二千万円、そして十一月の五千万円と、次第にエスカレートする美穂子の請求。
「気の弱い白井は、美穂子のコントロールに悩み切っていたか」
「でも、昨年十一月の五千万円は、ホクエツの幹部に気付かれないうちに、会社の預金口座へ戻されているので、結果的に、問題はなかったわけです」
「うん、文面の解釈次第だが、一年前の時点では、自殺までは考えていなかっただろうな」
「その文章を、今回、うまい具合に応用したのが、美穂子の小細工です」
「嫌になるね。またオレが、お手伝いしたことになる」
「この絵はがきトリックは、二俣製作所の工員さんを使っての電話工作よりも、はるかに具体的、説得力を持つ、真犯人の証明です」
「主眼は、十一月二十五日の夜まで、白井が生きていたと強調することか」
 谷田と浦上の、昨夜のダイヤ分析では、白井の横手帰着は、十一月二十五日の十九時十五分〜二十二時二十分という線が出ている。
 そこで、殺人《ころし》はそれ以降の時間に実行したと判断されてきたのであるが、
「この小細工を裏返せば、二十五日の夜までに白井は殺害されていたことになります」
 浦上は言った。
 追及されるべき美穂子の、横手におけるアリバイは、二十五日の十九時十五分�以後�ではなく、�以前�ということになる。
「彼女、二十五日の夜は、ゆっくりと京都に宿泊していたはずです」
 浦上は、もう一度繰り返した。
 絵はがきの、今年の消し印がものを言っている限り、二十五日の夜京都にいたことが、美穂子を守るアリバイとなるわけだ。
「なるほどな。それじゃ、念押しの�存在証明�も、京都にばっちり、ばら蒔《ま》いてあるって寸法か」
「冗談じゃないですよ。そんなものをいちいち聞き込んで、振り回されるわけにはいきません」
「頭が痛くなることを言わないでくれ」
 谷田は苦笑する。
 美穂子が京都へ出掛けた意味は、これではっきりしたと言っていい。
 美穂子の目的は、偽アリバイ作りだ。
 そして、白井の�京都行き�がないのなら、�京都�が一億四千万円の所在を隠しているのではないかという疑問も、消えるだろう。
 いよいよ、本格的なアリバイ崩し、ということになる。
「先輩、今夜はどこで会いますか」
「そのひかり号の、新横浜到着は」
「正確には、十九時十分です」
「名探偵を、お迎えに上がるのが、エチケットかな」
 谷田は、新横浜駅構内の『アスティ』を指定して、受話器を置いた。
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