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松山着18時15分の死者3-3

时间: 2019-04-27    进入日语论坛
核心提示: 浦上は、何とも複雑な気持ちで、松山を離れた。 五両連結のL特急は、それほど込んでいなかった。 瀬戸内海に沿って走る予讃
(单词翻译:双击或拖选)
 浦上は、何とも複雑な気持ちで、松山を離れた。
 五両連結のL特急は、それほど込んでいなかった。
 瀬戸内海に沿って走る予讃本線は、JR四国の基幹路線だ。四国の中心都市である松山市と高松市を、L特急�いしづち�が、二時間四十七分で結んでいる。
 しかし、いま、浦上を乗せたL特急�しおかぜ10号�は岡山行きなので、高松へは行かない。宇多津から方向を変え、瀬戸大橋を渡ることになる。
 気動車は今治《いまばり》、伊予西条《いよさいじよう》、新居浜《にいはま》と過ぎて、車窓左手に瀬戸内海がつづく。晴れ渡った空と同じような蒼い海に、点々と小島が浮かんでいる。
 伊予三島へ来ると、海側に広大な敷地を取る大工場があった。『大王製紙』だ。
 巨大な製紙工場が車窓から消えると、風景はまた海になった。
 いつもは湖のように静かな内海だが、わずかに白い波が見えるのは、朝から風が出ているせいだろう。
 宇和島の海とは違うが、内海も、見飽きることのない眺めだった。
 沖を行き交う小舟に目を向けて、ぼんやりたばこをくゆらしていると、列車は豊浜を過ぎて、しばらく内海が遠くなった。
 そして、ふたたび蒼い海が見えてくると、乗り換え駅の多度津だった。
 四分の待ち合わせで、十三時四十四分発の高知行き、�南風5号�が、低いホームに入ってきた。
 土讃本線のL特急も五両連結である。やはり、空いた車内だった。
 四国山脈を越えて土佐に至る土讃本線は、内海を見て走った予讃本線とは対照的に、山地を縫《ぬ》って行く単線鉄道だ。
 多度津—琴平《ことひら》間は電化されているものの、讃岐平野を過ぎて、一度山間に入ると、厳しい自然と戦っているかのような険路の連続となる。
 地形が険しいから、風景が人々を惹きつけるのである。浦上は脚を組み、じっと車窓に目を向けた。
 山が迫り、沿線両側の木の枝が、車体に触れそうなカーブがつづく。そして、猪《い》ノ鼻《はな》峠の勾配を過ぎると列車は下り始め、前方に、吉野川の上流が見えてくる。
 当初の予定では、宇和島から高知を経由して戻ってくるはずだったルートを、浦上は逆に進行しているわけだ。
 鉄橋が近付くと、眼下の吉野川沿いに、別の鉄道が見えた。徳島—阿波池田間七十四キロを結ぶ徳島本線だ。
 もう、何年前になるか、浦上は、やはり殺人事件の取材で、一度だけ、二両連結の、徳島本線の普通車に乗ったことがある。本線と言っても、支線があるわけではなかった。
 全線が、吉野川の流域を、東西にまっすぐ走っているのである。川の沿岸をたどるのだから、途中に峠などあるわけもなく、始点から終点まで片勾配という、全国でも珍しい路線だったのを覚えている。
 土讃本線が、その徳島本線と合流するのが佃《つくだ》であり、佃の次がL特急の停車駅で、吉野川上流の中心、阿波池田となる。野球の池田高校などで知られる池田は、人口二万を数え、沿線ではもっとも大きな町である。
 山峡をやってきただけに、ふいに大都会が出現したような、そんな印象を与える町だった。
 その阿波池田駅を過ぎると、土讃本線も吉野川も左に折れ、上流に向かうに連れて、吉野川の川幅が狭くなる。
 吉野川を挟んで鉄路と平行しているのが、国道32号線だ。
 吉野川の深い渓谷に沿って、カーブしながらいくつものトンネルを抜けて行く勾配は、列車にしても、自動車にとっても、相当な難コースと言える。
 やがて、浦上を乗せた�南風5号�は、小歩危《こぼけ》駅を通過し、渓谷にかかる高い鉄橋を渡って、大歩危《おおぼけ》駅に着いた。
 ホーム越しに大歩危を見下ろす山峡の駅は、まるで、斜面に張り付くような場所に建っていた。
�南風5号�は、数人の客を降ろしただけで、小さなホームを離れた。
 進行方向右下に、ずっと渓流が見え隠れしている。
 四国山地をえぐる峡谷の奇観は、結晶岩石の水蝕によってできたものであり、眺めは、やはり抜群だった。
 コバルトブルーの水面と、白い岩肌の見事な対比を見下ろしていると、ひんやりとした冷気が気動車内にも感じられてくるほどだった。山の緑も、さわやかだ。
 谷田はさっきの電話で、
「いつもとは立場が違うな。のんびり景観に浸っているわけにもいかないか」
 と、言ったが、浦上は、思わず我を忘れて身を乗り出していた。
 線路から谷底までの距離はそれほどでもないが、周囲を取り巻く山々が壮観だ。山脈《やまなみ》を見上げると、それこそ首が痛くなるほどである。頂上は、天まで届くのではないかと思われるほどだった。
 驚くのは、そうした高い山の中腹にも、時折人家が見えることだった。
 L特急は、大歩危を発車すると、途中、大杉に停車しただけで、土佐山田に着いた。予定どおりの進行で、十五時三十八分の到着だった。
 土佐山田も小さい駅である。小さいが、駅舎や、駅周辺が明るく感じられるのは、山地を抜けてきたせいだろう。
 駅前に、今朝出発してきた宇和島駅と同じような高い棕櫚《しゆろ》の木があり、棕櫚の木の下に、いかにも人待ち顔のタクシーがとまっていた。
 土佐山田には、えびす街などの、にぎやかな商店街があった。浦上を乗せたタクシーは、大きい家具店とか消防署のある通りを走って、畑の中へ抜けた。
 タクシーが、龍河洞ふもとの広い駐車場に着いたのは、四時近かった。
 平日の夕方とあって、鍾乳洞見物の団体客を乗せた大型観光バスが、次々と、駐車場から帰って行く時間だった。
 駐車場から鍾乳洞探勝口にかけて、びっしりと立ち並ぶ食堂とかみやげもの店の客足も、少なくなっている。
 サンゴ専門店、土佐打刃物店などの看板も見え、赤くカラー舗装された二百メートルほどの上り坂は、一部アーケードになっていた。
 駐車場に近い『高橋食堂』は、すぐに分かった。
 一階のみやげもの売り場は店を閉め、二階の食堂が来客のための設営を進めていたけれど、『高橋食堂』だけが、隣接する他の店とは、人の動きが違っていた。
 訪れる人の大半が、弔問客だったためである。
 突然の、整理のつかない哀しみの中で、遺族は仮通夜の準備に追われていた。
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