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松山着18時15分の死者9-7

时间: 2019-04-27    进入日语论坛
核心提示: だが、大阪空港が発見されたことで、もう一つの壁にも裂け目は生じていたのである。 澄子が、浦上のメモをのぞき込み、はばか
(单词翻译:双击或拖选)
 だが、大阪空港が発見されたことで、もう一つの壁にも裂け目は生じていたのである。
 澄子が、浦上のメモをのぞき込み、はばかるような小声で言った。
「大阪では駄目なのですか」
「ええ、大阪ではどうにもなりません」
 浦上はおうむ返しにこたえ、はっとしたように顔を上げていた。
(大阪では駄目)
 それがヒントになった。
 松山から飛来してきた�ANA456便�は大阪どまりだが、空路は、大阪で終わりというわけではない。
 浦上は力を込めて、もう一度、薄汚れた時刻表を引き寄せた。
 新しい角度での再検討には時間がかかった。
 時間は要したが、いくつもの新しい数字を書き出したとき、
「こういうことになっているのか」
 浦上の声が高くなってきた。
「堀井が夕刊を買ったのも、三本の電話をかけたのも、大阪空港に間違いありません。堀井の電話を受けた三人は、電話越しに駅ホームの騒音が聞こえたと言ってるけど、あれは駅ではなく、空港|待合室《ロビー》の音だったのですね」
 浦上はそんな言い方で、アリバイが崩れたことを澄子に告げた。
 本当に、屹立する岩壁は崩壊したのか。
「今度は�逆行�ではなく、�先行�です」
 と、浦上は言った。完全に、余裕の表情を取り戻していた。
 
高知空港発 十五時五十分 �ANK418便�
大阪空港着 十六時四十五分
(空港ロビーで夕刊を購入。その後、乗り換えの待ち時間を利用し、高松駅ホームにいることを装って、十七時十五分に高松アストリアホテルへ電話。十七時十八分に不二通商東京本社へ電話)
大阪空港発 十七時三十分 �ANA455便�
松山空港着 十八時十五分
(殺人を四十分以内で完了)
 
松山空港発 十八時五十五分 �ANA456便�
大阪空港着 十九時四十五分
(十九時五十九分を待って、�ひかり162号�の停車時間を利用する新大阪駅26番線ホームからの電話と偽って、不二通商の宿直員に東京駅19番線ホームまでアタッシュケースを持ってくるよう命じる)
 
「これからが問題です」
 浦上はビールを飲んで、一息入れた。
 大阪空港からタクシーをとばして新大阪駅へ着いたとき、すでに京都駅を発車している�ひかり162号�。この時点で、この新幹線を捕らえるには、その次の停車駅しかない。
 しかし、大阪—名古屋間に空路はないし、仮にうまい便があったとしても、名古屋空港—名古屋駅間は、タクシーで三十五分を要するのだから、乗り移ることなどできはしない。
「先行というのは東京、羽田空港への空路を選ぶことですか」
 澄子の顔も険しくなっている。
「でも、浦上さん、�ひかり162号�が終点の東京駅19番線ホームへ到着したとき、堀井は、ちゃんと列車に乗っていたはずですわ」
「留意すべきはそこです」
 浦上は、東海道新幹線のダイヤを示した。
「この�ひかり162号�は、名古屋—東京間に二つ停車駅を持っているのです。小田原と、もう一つは新横浜です」
「小田原にも、横浜にも、空港はないでしょう」
 土佐山田出身で、大阪暮らしの澄子は、東京周辺に詳しくなかった。
 浦上はこたえた。
「新横浜駅なら、羽田空港で、間に合うのです」
 
大阪空港着 十九時四十五分 �ANA456便�
 
大阪空港発 二十時四十分 �JAL130便�
東京空港着 二十一時四十分
(タクシー正味三十分プラス乗り換え待ち時間十四分)
東神奈川発 二十二時二十四分 JR横浜線 普通
新横浜着 二十二時三十二分
新横浜発 二十二時四十六分 �ひかり162号�
東京着 二十三時四分
 
 堀井が主張する帰京ルートを、谷田から見せられたときの不審も、これで解消する。
 最初にコピーを手にしたとき、
「堀井が高松から利用したという快速�マリンライナー44号�の岡山着が十八時二十三分。岡山で乗り継いだという�ひかり162号�発車が十八時四十八分。しかし、この前に、十八時四十三分発の、�ひかり28号�というのがあります。どうして、早いほうの新幹線に乗らなかったのでしょう」
 と、浦上は、直観的にこだわったのであるが、名古屋—東京間がノンストップでは、堀井は、�ひかり28号�を利用できなかったわけだ。
 新横浜に停車する�ひかり162号�でなければ、このトリックは成立しない。
 そしてまた、堀井が、『不二通商』東京本社の宿直員を呼び出すのに、新幹線の車内電話を使用できなかった意味も、これではっきりする。堀井は何の彼のと理由付けしているが、電話をかけたその時間(十九時五十九分)、堀井は�JAL130便�への乗り継ぎのため、大阪空港の出発ロビーにいたのだから。
「横浜へ連絡してきます」
 浦上はビールを飲みかけのまま、再度立ち上がっていた。
 
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