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異域の死者3-4

时间: 2019-04-27    进入日语论坛
核心提示: 浦上と谷田は『ホテル・サンライズ』を出て、いちょう並木の舗道に戻った。人通りは少ないが、車の往来はさっきより激しくなっ
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 浦上と谷田は『ホテル・サンライズ』を出て、いちょう並木の舗道に戻った。人通りは少ないが、車の往来はさっきより激しくなっている。
 そろそろ、十一時になろうとする時間だった。
「裏付けがとれたのは、真理のアリバイだけか。肝心の手塚がはっきりしないのでは、どうしようもないな」
「真理のアリバイが確認されたって、どうということはないですよ。真理が実行犯でないことは、初めから分かっています」
「実行犯が手塚だとしたら、真理が男性同伴で、『ホテル・サンライズ』でフランス料理を食ったのは、アリバイ工作ということになるか」
「おとつい横浜にいた背の高い男は手塚の代役、すなわち替え玉ってわけですか」
「替え玉かどうか、真理と手塚の周辺に探りを入れる必要はあるね。真理の周辺からもう一人、一メートル八十を超える長身が出てきたら、問題だ」
 谷田は立ちどまった。ブレザーの内ポケットから取材帳を取り出すと、「手塚久之」と書き出した名前に、二重丸を付けた。
 一昨夜の男が、実際に替え玉であったら、当然、ホテル従業員の記憶に残らないよう行動しただろう。
 だが、完全白紙ではいけない。ポイントはボーイたちに覚えていてもらわなければならない。
 それは、たとえば長身の体躯《たいく》とか、高級なスーツを着ていた、といったようなことだ。
「いうなれば、部分的な目撃か」
「不忍池と同じですね。犯罪センスが同じだ」
「突端《とつぱな》から二重丸だなんて、容疑者は限定されていても、これは、先が思いやられるぞ」
 ベールに影を映し、ベールの向こう側にたたずんでいる長身は、一体だれなのか。
 浦上と谷田は県警本部の前を素通りして、関内駅へ戻った。
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