手塚が淑子の通夜の話をしていたので、鶴見区の『松見アパート』へ、電話をかけてみた。『松見アパート』5号室はだれも出てこなかった。
浦上は勤務先の方へ、電話をかけ直した。西区の『日東カー用品』横浜支店。
支店長と名乗る男性の声が、こたえてくれた。
「葬儀は、お通夜も告別式も、奥さんの実家で営まれることになったそうです」
淑子の実家は、瀬谷区の阿久和町だった。支店長は、阿久和町の岸本家への道順を教えてくれた。
瀬谷へ行くには、横浜駅から相模鉄道へ乗り換えることになる。
浦上と谷田は地下鉄で横浜駅まで出て、ジョイナスのカレーショップで、軽く昼食を済ませた。
相模鉄道に乗る前に、谷田は県警本部記者クラブ、浦上は『週刊広場』編集長へ連絡の電話を入れた。