日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

異域の死者5-2

时间: 2019-04-27    进入日语论坛
核心提示: 谷田は『松見アパート』を出た。 鶴見駅へ引き返す歩調は速いのだが、どこか、重い感じも与えた。その足元に、整理のつかない
(单词翻译:双击或拖选)
 谷田は『松見アパート』を出た。
 鶴見駅へ引き返す歩調は速いのだが、どこか、重い感じも与えた。その足元に、整理のつかない混迷が反映されている。
 駅の手前に、大きい生《き》そば屋があった。ドアの内側に赤電話があるのを見て、谷田は生そば屋に入って行った。
 午後九時に近いが、下町のそば屋は込んでいた。近所のアパートに住む、勤め帰りの独身者の姿が多いようである。
 谷田もまだ夕食前だ。谷田は、食事の支度をして待っている妻を思い浮かべながら、
「これも仕事のうちだ」
 ぶつぶつつぶやき、入口に近いテーブルに腰を下ろした。
 天ざるに熱燗《あつかん》を注文してから、赤電話に向かった。
 福島の一〇四番に問い合わせると、飯坂《いいざか》の『吉井果樹園』はすぐに分かった。
 谷田はコインを用意して、かけ直した。今度は、先方が出るまでに、間があった。果樹園は朝が早いので、夜も早いのかもしれない。
(明朝にするか)
 谷田が短冊に目を落としてそう考えたとき、ようやく相手が出た。
 電話に出てきた男の声は、思った通り、眠そうだった。眠そうではあるが、東北の人間は不親切ではなかった。
 谷田が夜分電話したことをわびてから、質問に移ると、
「そんなことはありませんよ」
 果樹園側は、谷田の疑問を否定した。
「鳥取へ梨を出荷するなんて、そんなことはありません。ご承知だと思いますが、鳥取は有名な梨の生産地ですよ」
 質問の意味が、よく分からないという感じだった。確かに谷田の質問は、いきさつを何も説明しないので、手前勝手もいいところだった。
 谷田は、それを百も承知でつづけた。
「実は、そちらの果樹園で売り出されているパックのかご詰めについて、お伺いしたいのですが」
 と、「お願い」の短冊を口にし、包装紙の有無について質した。
 果たして、包装紙が使用されていないということはなかった。形式的だが、ラベルのような小さいものが、上部に被《かぶ》せてあるという。
「もちろん、それには、福島の吉井果樹園と印刷されてあるわけですね」
「はい、色刷りで、福島特産と明記してあります」
 問題のパックは七個詰めで千円。駅売りとして納品されたものだった。
「駅売りというと、福島駅ですか」
「福島のほかに郡山《こおりやま》駅で販売しております」
「このかご詰めは、いずれにしても、福島県へ行かなければ手に入らないわけですね」
「お客さんは、どちらの方ですか」
「ぼくは横浜ですが」
「ああ、それでしたら、東京の、上野駅でも売っていますよ」
「上野?」
 谷田の顔色が変わった。
 谷田はもう一度、遅く電話したことをわびて、受話器を置いた。
 テーブルに戻ると、天ざると熱燗が載っていた。
(上野か)
 谷田は一口酒を飲んでから、「お願い」の短冊に目を向けた。宮本が、みやげの二十世紀梨を、上野駅で買ったとしたら、問題だ。
 宮本は、さっき谷田と浦上に説明した�ひかり350号�には乗っていなかったことになる。宮本が、�ひかり350号�より早い列車で東京へ到着していたらどうなるのか。午後六時五分の殺人を起点として、宮本は余裕を持って、午後七時過ぎに『松見アパート』へ帰ってくることができるのだ。この足取りは、浦上がさっき、きちんと計算している。
 宮本は犯行後、上野駅構内でかご詰めの梨を買い、形式的に被《かぶ》せてあったという「福島特産」の包装紙をはぎ取り、鳥取みやげと偽《いつわ》って、『松見アパート』の大家へ届けたのだろうか。
 みやげが、鳥取産ではなく、福島産である以上、そういうことになろう。
 しかし、上部の小さい包装紙は捨てたものの、かごの底に挟まれた「お願い」の短冊までは、気付きようもなかった、と、いうことか。
(これは、えらいことになったぞ)
 谷田はぐいっと、日本酒を飲んだ。思いもかけなかった新発見と、発見のもたらした情報が、微妙な緊張を運んでくる。
 鳥取産でもない二十世紀梨を、鳥取みやげと称して、宮本が届けた意味は何か。
 鳥取出張後立ち寄ったという、京都府下に住んでいる友人宅から、横浜へ直行したことを強調するためであり、
(不忍池へなど、寄り道していなかった)
 と、それを暗黙のうちに主張したかったために決まっている。
(宮本も、二重丸か)
 そう、梨パックの操作は、逆な見方をすれば、宮本こそが真犯人《ほんぼし》である、と、示しているのかもしれない。
 宮本が京都経由で帰ってきた時間的な問題は、これから再検討するとしても、福島の梨を鳥取産と装ってみやげとした事実、これだけは動かない。
 この事実は、仮説を立てる上で、相当な比重を占めてこよう。
 が、だからといって、もちろん、他の二人の影が、払拭されるわけではない。他の二人もまた、そのまま、クロい影を引きずっている。
 しかし、実際に、淑子の左胸に刃を突き立てたのは、三人の長身の男の中の一人だけである。
 実行犯は、一人だ。
 三人の中の二人は、殺人《ころし》と直接的なかかわりを持たない。シロなのである。
 それなのに、なぜ、三人がそろいもそろって、こうした、あいまいな状況に置かれているのか。
 クロい人間がシロの中に隠れている犯罪は多いけれども、今回のような逆の例は珍しい。今度の取材は、犯人捜しでなく、いってみれば、凶行と無関係なのはだれか、という追及である。
(おかしな事件《やま》もあったものだ)
 谷田は酒を飲み干し、口元をとがらせた。
 三人の目撃者によって、犯人が一人と限定されているからいいようなものの、これが、たとえば室内の殺人で、複数犯の可能性があったとしたら、三人が三人とも捜査本部へ連行、という事態を招いていたかもしれない。
(どいつが真犯人《ほんぼし》なんだ)
 谷田を覆う焦燥は、仙台で浦上が感じているのと、全く同質なものだった。谷田は天ざるを食べ残して、生そば屋を出た。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%