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異域の死者8-4

时间: 2019-04-27    进入日语论坛
核心提示: 浦上と谷田は、新幹線ホームで、二本ずつの缶ビールを買った。 浦上と違って地方出張が少なく、かつ妻帯者である谷田は、缶ビ
(单词翻译:双击或拖选)
 浦上と谷田は、新幹線ホームで、二本ずつの缶ビールを買った。
 浦上と違って地方出張が少なく、かつ妻帯者である谷田は、缶ビールを手にしてから、同じキヨスクで、妻への京みやげとして、樽詰めの千枚漬けを買った。
 慌ただしいとんぼ返りだが、充実した帰途である。
 浦上と谷田は、京都発十五時一分の、�ひかり348号�に乗った。新横浜着は、十七時二十八分。
 横浜へ戻ってから、十分に、一仕事できる時間だ。
 自由席は、八分通りの込み方だった。
 浦上と谷田は進行方向左手の、二人掛けシートに並んで腰を下ろした。
 古都の賑わいはすぐに車窓から消えて、列車は郊外を走った。
 缶ビールを飲みながら、早速、時刻表を開いた。
 十月三日、月曜日。事件当日の宮本の足取りの中で、正確に証言が得られているのは、三点だ。
 
(1) 七時四十五分頃=沢歩きをするという宮本を、山陰本線船岡駅近くの大堰川まで、通勤途中の「成瀬」が軽乗用車で送った時間。
(2) 十四時三十二分=上り普通列車に乗って行く宮本を、東北本線船岡駅の「上田駅員」が目撃している時間。
(3) 十九時二十分頃=鳥取みやげと称した福島市飯坂町『吉井果樹園』の二十世紀梨を、帰浜した宮本から、『松見アパート』の「家主」が受け取った時間。
 
 これらの三つの点を線で結び、さらに次の三点、(X)、(Y)、(Z)をぴたり組み込めば、作業は完了する。すなわち、(1)と(2)の間に(X)を、(2)と(3)の間に(Y)と(Z)を挿入すれば、宮本の偽装アリバイは、完全に、崩れることになる。
 
(X) 十三時五十五分頃=沢歩きを早目に終えたと言う宮本が、成瀬の女房にお礼の電話をかけてきた時間(電話をかけた場所はどこか?)
(Y) 十五時十五分頃=『浅野機器』社員を装った宮本が、コンビニエンスストア『浜大』へ、淑子への伝言電話をかけてきた時間(電話をかけた場所はどこか?)
(Z) 十八時五分頃=上野公園不忍池で淑子が刺殺された時間(宮本を少なくとも十八時頃までに、完璧な形で池畔へ連れてくることができるか?)
 
 もちろん、(Z)の組み込み作業が最大のポイントとなる。
 時刻表のチェックは、浦上が、いわばもっとも得意とする分野だ。浦上は揺れる車内で、慣れた仕ぐさで大判時刻表のページを繰り、スピーディーに数字を書き連らねていく。
 最初の点検は(1)〜(2)であり、その間に(X)を挟むわけだが、これは、簡単に運んだ。浦上が予感した通りだった。
 七時四十五分頃、山陰本線船岡駅近くの大堰川で、成瀬の軽乗用車を降りた宮本は、川へなど一歩も向かってはいない。無論、そのまま、無人駅のホームに上がって行った、という想定である。
 船岡を八時三分に発車する、京都行きがあった。�完全犯罪�は、具体的にはここから出発する。
 宮本は各駅停車の車内で、目立たないよう、目立たないように、と、京都までの一時間二十一分を過ごしたことだろう。車掌はもちろん、乗客たちのだれとも、視線を合わさないように努めていたに違いない。
「京都からは大阪へ出て、空路仙台へ向かう。それが常識だろうな」
「ありましたよ!」
 浦上は時刻表から顔を上げた。
 タイミングのいい�ANA�があった。もちろん、うまいルートを見つけたからこそ、実現した犯罪計画であろうが。
 次のようになる。
 
  船岡駅発 八時三分 山陰本線普通(上り)
  京都着 九時二十四分
  (タクシー=正味五十分)
  大阪空港発 十時五十五分 �ANA737便�
  仙台空港着 十二時五分
  (タクシー=正味四十分)
  仙台発 十三時十九分 東北本線普通(上り)
  船岡着 十三時五十一分
 
 乗り換え時間などは、たっぷり余裕を取っての計算だ。それでも、午後二時前に、もう一つの船岡駅への到着が可能なのである。
 (X)は、もう一つの船岡駅を降りたところで、実現する。
「なるほど。宮本は下車してから、たばこでもゆっくりと吹かし、遠く京都府下まで、成瀬の女房に電話を入れたか」
 谷田は、納得、というように浦上のメモを見詰めた。
 宮本は成瀬の女房に対して、いま大堰川から戻ったところであり、まだ園部町にいる、と、その点をさり気なく強調したわけである。
「そうして、やつは待合室の中のクリーニング店の前で、およそ三十分、真理からの呼び出し電話を、じっと待ちつづけたって寸法だな」
「ここまでは決まりですね」
「ああ、間違いない。四日前、大阪から仙台へ飛んだ�ANA737便�には、必ず、三十前後の偽名の男が一人搭乗しているはずだ。これは、いずれ淡路警部に確認を取ってもらうんだな」
 谷田はさっさと次へ進め、というように浦上を見、浦上へ向けた視線を、そのまま時刻表へずらした。
 足取り追跡の作業は、いよいよ本題に入る。
「十四時三十二分発。そこまではどんぴしゃりなんだけど、この列車へ乗ったために、この時間帯の在来線は、細かく乗り継がなければならないんですよ」
 浦上は、ぶつぶつつぶやきながら、発車時刻にアンダーラインを引いた。
 
  船岡発 十四時三十二分 東北本線普通(上り)
  大河原着 十四時三十六分
  大河原発 十四時五十七分 東北本線普通(上り)
  白石着 十五時十分
 
「おい、そこで一時ストップだ」
 谷田がことばを挟んだ。これも宮本の計算通りなのか。谷田は、そんなまなざしでうなずき、
「白石駅で、横浜の浜大へ電話をかければ、ちょうどいいじゃないか」
 と、言った。
「そうですね。宮本は、嫌でも、白石駅でいったん下車しなければなりません。細かく乗り継いで行く�十四時三十二分発�には、こういう含みもあったのですかね」
「(Y)は白石駅だな。市外電話をかける時間はあるわけだろ」
「十分です。後続の上りまで、二十七分ありますから」
 浦上はメモをつづけた。
 (Y)の挿入個所確認に対して、浦上も谷田も、特別な表現は示さなかった。二人とも、このようにして、一つずつ解決しながら、終着上野駅へと、収束していくのが当然、という顔をしている。
 
  白石発 十五時三十七分 東北本線普通(上り)
  福島着 十六時十四分
 
 不忍池の凶行時間まで、残りおよそ一時間五十分。
 時刻表を繰る浦上の指先が、ぐっと慎重になる。
 浦上は、福島駅での、在来線から新幹線への乗り換え時間を調べた。時刻表には九分と出ている。この「乗り換えに必要な標準時分」には、多少の余裕が持たせてあることを、浦上は体験的に承知している。
 従って、福島駅構内のどこかで、問題の二十世紀梨を購入したとしても、持ち時間に変わりはないと見ていい。
「しかし、それにしても、ぎりぎりです」
「ぎりぎりでも、乗り換え可能な東北新幹線があるんだな。間に合わせることができるんだな」
「ええ、ちょうど十分の乗り換え時間です」
 宮本のやつ、よくこんなダイヤを見つけ出したものだ、と、浦上は思った。それとも、実際に探したのは、真理の方だろうか。
 そう、仙台転居以来、仙台—上野間を何度か利用しているうちに、真理が気付いた列車かもしれない。
 
  福島発 十六時二十四分 東北新幹線�やまびこ122号�
  上野着 十八時
 
「あれ?」
 浦上は最後の数字を書き抜いたところで、ボールペンを投げ出していた。
「何てことだ!」
 浦上のつぶやきはそんなふうに変化し、
「先輩、これじゃ(Z)を組み入れるスペースがないじゃありませんか!」
 怒ったように吐き捨てていた。
 その浦上と、谷田を乗せる�ひかり348号�は、米原、岐阜羽島と通過して、名古屋へ近付いている。
 
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