日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

この島でいちばん高いところ12

时间: 2019-04-28    进入日语论坛
核心提示: 時間はすでに九時近くなっていた。もう一秒だって我慢できない、と里美は思った。我慢するしかないのだけれど。 本当なら、も
(单词翻译:双击或拖选)
 時間はすでに九時近くなっていた。もう一秒だって我慢できない、と里美は思った。我慢するしかないのだけれど。
 本当なら、もうとっくに船がきてもいい頃だ。だのに、海はただ真っ青なだけで、船の影ひとつないのだ。
「船は毎日出てるって言ってたよね」
 葛葉が独《ひと》り言のように言った。そう、たしかに宿の人もそう言ったし、船着き場の時刻表にも出ない日があるなんて書いていなかった。
 だのに、どうして船はこないのだろう。
 里美の緊張の糸は今にも切れそうだ。お腹は空きすぎて、なにがなんだかわからないし、この待合室はひどく暑い。昨日から着ているデニムのキャミソールは汗でべたべたして気持ちが悪いし、丸一日以上お風呂にも入っていない。
 頭ががんがんして、吐き気までしそうだ。
 聖はたしかにこう言った。
「ここ、なにかいるよ」
 そのことばを思い出しただけで、この暑さの中でもさあっと鳥肌が立つ。聖はもしかして、なにものかに連れ去られてしまったのではないのだろうか。
 少し前に読んだ怖い漫画でそういうのがあった。その土地は彼岸《ひがん》との境目で、どこからかぬうっと白い手が伸びてきて、少女たちをさらってしまうのだ。
 自分で思い出しておいて、里美は泣きたい気持ちになった。
「こなきゃよかった……」
 つぶやいて鼻を鳴らす。もしかしたら、里美たちは異次元に迷い込んでしまったのかもしれない。現実の島では、船もきて、釣り人たちが島にやってきているのに、時空を超えてしまった里美たちには見えないし、感じられないのかもしれない。
 桃子が口を開いた。
「もしかして、今日だけなにかの問題があって船が出ないのかも」
「じゃあ、あと丸一日、ここで待つってこと?」
 ユンジャがそう言うのを聞きながら、里美はスカートを握りしめた。あと一日も待てそうにない。空腹だってひどいし、なによりも精神的にもう限界だ。
 せめて、聖が一緒にいれば、これほど恐ろしくはなかっただろうに。
「聖、どうしちゃったんだろう」
 つぶやくと、我慢できないように、ユンジャが立ち上がった。
「わたし、もう一度探してくる!」
 そう言って出て行こうとするのを葛葉は止める。
「ひとりじゃ危ないよ」
「じゃあ、だれか付いてきて。船を待つ組と、探すのと二人ずつ分かれよう」
 一呼吸置いて、桃子が頷いた。
「じゃあ、わたしが一緒に行くわ」
 桃子とユンジャは連れだって待合室を出て行った。
 待合室には里美と葛葉のふたりだけが残された。
「ねえ、里美。里美はテスト勉強しているとき、なに考えているの?」
 唐突に葛葉が聞いた。
「テスト勉強しているときって……別に」
「わたしね。テスト勉強しているとき、いつも、テストが終わったらやる、楽しいことを考えているの。そうしたら、今はつらくても頑張ろうっていう気になるでしょう」
 里美はやっと、葛葉がなにを言おうとしているのか理解した。
「だから、帰ったらなにをしようか考えようよ。とても楽しいことをしようよ」
 里美は少し考えてから言った。
「ベリーのパフェを食べに行きたい」
 葛葉も言う。
「わたしはシュークリームを三つくらい食べてやる」
「ダイエットなんか忘れるよね」
「もちろん!」
「カラオケも行こうよ。カラオケマラソン。五時間くらい歌いまくるの」
「わたしは貯金を下ろそうかな。こないだ見つけたあのスリップドレスを買う。売れ切れていないといいな」
「ピアスを開けてみたい。校則では禁止されているけど、もうそんなことどうでもいいや」
 ふと、ことばがとぎれる。いくら楽しいことを並べてみせても、その間から、なにかが忍び込んでくるみたいだ。
 里美はラジカセに手を伸ばした。
「音楽かけようか」
 葛葉ははっと顔を上げた。
「それより、ラジオ聞こうよ。もしかして、なにか重要なニュースがやっているかもしれないよ」
「台風が近づいているから、船が出ない、とか?」
「そう。それってありえそうじゃない?」
 里美はラジカセのスイッチを、AMラジオに切り替えた。つまみを動かしながら、音のはっきり聞こえる場所を探る。
 やがて、ラジオからとぎれとぎれの音が聞こえだした。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%