日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

運命を変えた一球05

时间: 2019-05-09    进入日语论坛
核心提示:江夏豊 歴史を刻む冷徹の勝負師 あの日本中をしびれさせた試合が、江夏豊投手(大阪学院高、当時広島、西武─引退)の運命をど
(单词翻译:双击或拖选)
 江夏豊 歴史を刻む冷徹の勝負師
 
 あの日本中をしびれさせた試合が、江夏豊投手(大阪学院高、当時広島、西武─引退)の運命をどう変転させたのか。
 それを伝える前に、まず江夏の底知れない冷静さというか、プロフェッショナルというか、野球の極意を書いてみたい。
 昭和54年11月4日、大阪球場で近鉄対広島の日本シリーズ第7戦が行われた。スコアは4対3、広島が1点リードのまま近鉄、九回の攻撃に移った。30年間におよぶ日本シリーズ史上、最高の名勝負・名場面の幕開けであった。
 近鉄の六番・羽田耕一三塁手が中前安打(代走・藤瀬史朗)、打者アーノルドのとき藤瀬二盗。水沼四郎捕手の二塁悪送球で藤瀬は三進した。アーノルドは四球(代走・吹石徳一)。さらに吹石も二盗。無死二、三塁とする。しかも八番・平野光泰中堅手も四球となり、近鉄は無死満塁と持ち込んだ。ここで近鉄は、山ロ哲治投手に代えて佐々木恭介を代打に送った。
 日本シリーズ史上、サヨナラ勝ち、サヨナラ逆転勝ちはあった。しかし佐々木が安打すれば、日本シリーズ史上第1号の“サヨナラ逆転優勝”となる。
 ユニホームを着ている監督、コーチ、選手ばかりではない、当日、大阪球場にやってきた2万4376人の観客、テレビ画面を見ていた約2000万人のファンたちも、毛穴という毛穴が総毛立った。このとき江夏はどんな気持ちだったのか。
「ただ一つ、ただ一つしか考えなかった。佐々木のバットにボールを当てさせないこと。外野フライで同点、安打で逆転なんですから。つまり初めから三振を取りに行ったんです」(江夏豊)
 江夏はカウント2─2後の5球目、内角低めのカーブで佐々木を空振り三振にとった。九回1点差、無死満塁という場面で、江夏は三振を取りに行って確実に三振を取れるのである。名人、達人というよりも、これほどの商売人がいるだろうか。
 佐々木が三振、一死満塁となったところで、一番・石渡茂遊撃手が右打席に立った。私はここで江夏の洞察力、観察眼の恐ろしさに腰を抜かす思いである。
「石渡の顔色を見たら真っ青だったからね。これは初球から狙ってくる顔色じゃないと思った。そこで初球、ど真ん中にストレートを投げ込んでやったんですね。誘いダマというか、観察ダマというやつですよ。そうしたらほんの一瞬、時間にしたら10分の1秒ぐらいかな。ストレートを見送る石渡の体全体がピクンとふるえた。それを見た瞬間、“間違いない。百%スクイズやってくる。西本幸雄監督からスクイズやるぞのサインが発信されているな”とわかりましたね。根拠は石渡の体全体の微妙な動きですね。ただし問題は何球目にスクイズしてくるか、そこがわからない」(江夏豊)
 そこで江夏はどうしたのか。江夏は左投手だから、セットポジションに移ったとき、三塁走者藤瀬の動きは見えない。それなら江夏はいったい、なにをマークしながら2球目を投げようとしたのか。
「一塁走者平野の目ですね。平野の目なら正面から向かい合ってますからよく見えます。2球目、水沼のサインはカーブですよ。だからカーブの握りでボールを持ち、まばたきぐらいのタイミングで投球動作を遅らせながら、2球目に入ったんです。なぜタイミングを遅らせたかというと、平野の目を確認したかったからですよ」(江夏豊)
 江夏が平野の目を見ると、一瞬おびえたように光ったそうだ。
 次の瞬間、視線を石渡に移すとスクイズの動作に入ろうとしている。そこで問題の2球目、外角高めにカーブを外して投げると、石渡は空振り。三塁走者藤瀬は三本間で水沼にタッチアウト。石渡も2─2後の5球目、内角低めのカーブを空振り三振した。
 ところで、広島が日本一になったあと、この名勝負・名場面をめぐって、一つの話題が持ち上がった。無死満塁というピンチを迎えたとき、広島・古葉竹識監督が一度も三塁側ダグアウトを出て江夏のところに声をかけに行っていない現実である。
 私は江夏に質問した。
「なぜ、あの場面で古葉監督は、あなたのところに行かなかったと思うか」
 江夏の返事を聞いて私はうなった。江夏豊しかできない返事だったからである。
「私は今年でプロ16年生ですけどね。いちばん冷静な試合はどれだったかと聞かれたら、あの無死満塁の場面ですよ。針の落ちる音だって聞こえたでしょうね。逆にいえば、古葉監督としてはあの場面で出てきたくても、私があまりに冷静なため、出てこられなかったのじゃないですか。だって、たとえ出てきたにしても、私に話すことなんか、ひとこともないはずですよ。もし用事があるとすれば投手交代しかありませんね」
 プロ野球の中で、このセリフを吐けるのは、江夏豊ひとりしかいないと思う。
 だが、人間の運命なんて不思議なものだ。この男としてあふれるような自信というか、ごう慢に近い自信みたいなものが、江夏の運命を変転させたという噂がある。
 無死満塁になったとき、古葉監督は三塁側ダグアウトから姿を現さなかった。そのかわり監督として、ある作業をやってのけた。あの時点でプロ3年生の大野豊投手をブルペンに走らせた。
 これが江夏の目に入らないわけがない。本音を吐くとプロ野球超一流選手は、自信のかたまりを越して、ウヌボレのかたまりといっていい。ウヌボレがなければ、超一流選手になれるものではない。
 ブルペンに走る大野を見て、江夏はなんと思ったのか。
「古葉監督はこの場面におよんで、まだ腹をくくらないのか。おれひとりで勝負させるという、開き直りを持てないのか。それよりなにより、この江夏豊より若僧の大野を信頼しているのか」
 針の落ちる音も聞く冷静さとは別に、江夏の自尊心は泥にまみれた。
 噂によると、日本シリーズのあと、江夏は一対一で古葉監督に大野を走らせたあたりについて説明を求めたという。だが納得のいく返事がなかったため、二人の仲は冷えたともいわれている。
 ここらあたりは、なんともむずかしいところだ。江夏はたとえ無死満塁にされても、おれは冷静だ、おれしかこの場面を乗り切れる男はいないと思い込んでいる。当然の話である。しかし古葉監督の立場に立てば、なお大野にピッチングをさせておくというのも、わからない話ではない。そういうものが監督の仕事といっていい。
 いってみれば、江夏も古葉も当たり前のことでぶつかり、やがて江夏が広島を去っていく話となる。話が当たり前だけに、男のつらさ、悲しみみたいなものだけが残る。
 去った江夏は優勝してMVPになり、出した古葉監督は「だから優勝できなかった」といわれた。それだけになお、男のつらさが残るのである。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%