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運命を変えた一球11

时间: 2019-05-09    进入日语论坛
核心提示:鈴木啓示 この野郎精神が器を磨く「草魂」 これが鈴木啓示投手(育英高、近鉄)における野球哲学というか、座右の銘である。「
(单词翻译:双击或拖选)
鈴木啓示 “この野郎精神”が器を磨く
 
「草魂」
 これが鈴木啓示投手(育英高、近鉄)における野球哲学というか、座右の銘である。
「雑草はコンクリートの割れ目にも根を張る。あの根強さで野球をやっていきたい」
 これが“草魂”の精神である。ところで鈴木はなぜ、このような野球哲学、座右の銘を持つようになったのか。
 昭和41年、鈴木はドラフト2位、背番号「1」番で入団している。その限りにおいては雑草どころか、エリートといっていい。そういう鈴木がなぜ、草魂といいだしたのか。実は鈴木の精神を一刀両断するような、試合があったからである。
 昭和41年3月17日、藤井寺球場で近鉄対東京(現ロッテ)オープン戦が行われた。この試合に鈴木は初先発、つまりプロ野球のデビュー。
 さて試合前、吉沢岳男捕手が鈴木にいった。
「お前のカーブは申しわけなさそうに曲がる程度だから、サインは全部ストレートでいく。投げたかったら、いつでも勝手にカーブを投げろ」
 一回表、東京の一番・池辺巌中堅手が右打席に入ったとたん、鈴木は頭に血がのぼった。吉沢のサインがまるで見えない。
「コントロールなんてもんじゃない。本塁方向に見当をつけてストレートを投げるのが精いっぱいですわ」(鈴木啓示)
 池辺は四球、二番・八田正二塁手も四球、三番・榎本喜八一塁手は右翼ライナーになったが、四番・パリス左翼手も四球で一死満塁。五番・森徹右翼手の右中間二塁打で簡単に3点をとられた。
 一回を終わり、脂汗を浮かべながらもどってくる鈴木をつかまえ、岩本義行監督はどなりつけた。
「あすから二軍に行け、二軍に! それでプロ野球で飯が食っていけると思うか!」
 岩本監督の言葉はおどかしではなかった。本当にその翌日から鈴木は二軍に落とされた。ドラフト2位も背番号「1」番も、関係あるかというすばやさである。
 鈴木を待っていたのは二軍・江田孝投手コーチの特訓だった。江田は鈴木にいうのである。
「お前、なんで藤井寺のオープン戦のとき池辺、八田、パリスたちに四球出したか、わかってるのか」
「アガったと思います」
「それは精神的問題だ。技術的には投球動作の途中で首が揺れるんだ。お前、針の穴に糸を差し込むとき、首を振りながら入れるか」
 鈴木は開幕直後、一軍にまたもどってきた。そこで鈴木は腰を抜かした。なにが起きたのか。
「私の顔を見ても、一軍の人たちが言葉をかけてくれない。口をきいてくれない。視線を合わせてくれないんですよ。お前なんか、実力もないくせに、ドラフト2位指名され、背番号1番もらいやがって、藤井寺のあのザマはなんだ——みんなの顔にそう書いてあるんです。
 私は新人ですから、どこへ行っても最敬礼ですよ。でも腹の中では何度も何度もくりかえしていましたね。“この野郎、いまに見ていろ”——この野郎、この野郎で毎日すごしました。鶴田浩二が歌う文句にもあるじゃないですか。“男泣くなら人形のように、顔で笑って腹で泣け”——あれですよ、あれ」(鈴木啓示)
 同年5月24日、後楽園球場で行われた東映対近鉄8回戦のとき、鈴木は五回からリリーフとして登板、プロ入り初白星をあげた。以来、17年間の歳月が流れたが、鈴木の“この野郎人生”は変わらない。昨年終了時点で271勝201敗、昭和名球会員でもある。
 鈴木はファンからサインをたのまれたとき、本音は“この野郎人生”と書きたい。しかし、これでは格調がない。そこで“草魂”と書く。だが草魂もわかりやすくいえば、この野郎人生である。
「このごろ、ふと気がつくと、この野郎とは思うんですが、それに迫力がない。だから自分で自分にいい聞かせているんです。“藤井寺球場の悔しさを思い出せ”と。そうすれば、この野郎も本気になれると思って」(鈴木啓示)
 昭和41年6月3日、日生球場で近鉄対南海7回戦が行われた。先発は鈴木と皆川睦男投手(南海)である。
 近鉄は一回、四番・土井正博左翼手の2点本塁打などで4点、七回にも1点をあげ、5点を記録した。鈴木は投げに投げた。吉沢岳男捕手のミットだけを見て、ストレートを投げまくった。気がついてみたら鈴木は「投球回数9回、投球数105、打者数32、被安打5、奪三振6、与四球1」で南海をシャットアウトしていた。
 南海は昭和39、40、41年と3年連続優勝している。いってみれば最後の黄金期といっていい。しかも当日の先発メンバーは次の通りである。
 一番・穴吹義雄右翼手(現監督)、二番・唐崎信男左翼手、三番・ブルーム二塁手、四番・野村克也捕手、五番・広瀬叔功中堅手、六番・坂口和司一塁手、七番・小池兼司遊撃手、八番・国貞泰汎三塁手、九番・皆川睦男と、名前を聞いただけで新人はふるえ上がるような顔ぶれだった。それをシャットアウトしたのだ。
 ところで、鈴木は昨年終了時点までの16年間に、シャットアウト勝ちを68試合も記録している。その68試合のうち、なぜこの対南海7回戦が、運命を変える試合になったのか。
 話はそれから39日後の7月12日にとぶ。この日、セ・リーグは川上哲治監督(巨人)、パ・リーグは鶴岡一人監督(南海)によって“第16回オールスター戦・監督推薦選手”が発表された。その中に、この時点で5勝4敗の鈴木の名前が入っていた。
 当然、新聞記者が鶴岡監督に質問した。
「なぜ5勝4敗の新人鈴木を近鉄から一人だけ選んだのですか」
 すると鶴岡監督は、ここでオールスター戦裏ばなしに残る名セリフを吐いた。
「ホークスをシャットアウトした新人だからだ」
 この名セリフを聞いて、きょとんとしている新聞記者に、鶴岡監督はシャットアウトされた試合の話をつけ加えた。
「スコアラーの報告によるとだな、あの試合で鈴木は投球数105球のうち、ストレートが85球、カーブが20球だったそうだ。ワシが鍛えに鍛えたホークスを、ほとんどストレートだけでシャットアウトする新人だからな、これは推薦や」
 なんともユニークな鶴岡流推薦方式に、新聞記者もなんとなく納得した。
 さて、オールスター第1戦は7月19日、東京球場で行われた。
「勝負も大事ですけれどね、他球団の大投手と初めて同じダグアウトに座るのですから、その人の持ってるもの、盗もうと夢中でしたね」(鈴木啓示)
 全パのダグアウトには、小山正明投手(東京=現ロッテ)、皆川睦男投手、米田哲也投手(阪急)、土橋正幸投手(東映・現ヤクルト監督)、足立光宏投手(阪急)、池永正明投手(西鉄)など、目のくらむような男たちが、ぞろりとそろっていた。
 なぜ小山は高めのストレートに伸びがあるのか、なぜ土橋はいつも低めぎりぎりに投げられるのか、なぜ足立のシンカーは真下に沈むのか、なぜ池永は上背がオレよりないのに、ストレートが走るのか——。
 鈴木は一人ひとりテーマを持って盗み出した。
 男のめぐり合わせなんて不思議なものだ。もし鈴木が南海をシャットアウトしていなければ、鶴岡監督は鈴木を推薦しなかった。男はいつでも、どこでもあたえられた仕事を全力でこなさないと、自分が損をする。
 オールスター戦が終わって3日後の24日、平和台球場で西鉄対近鉄13回戦が行われ、鈴木と池永が投げ合った。
「4対0でシャットアウト勝ちしましてね。捕手の吉沢さんから、オールスター戦で勉強したなあといわれ、胸が熱くなりました」(鈴木啓示)
 鈴木はこの年、10勝12敗、防御率3・19を記録したが、新入王は“該当者なし”に終わった。
 なにしろその前年、池永が20勝10敗で新人王だから、数字を比較されすぎた。いまなら文句なく当選していたのに——。
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