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運命を変えた一球15

时间: 2019-05-09    进入日语论坛
核心提示:平松政次 チャンスは二度あるとは限らない 人間なんて不思議なものだ。まさかと思う落とし穴に、ストンと落ち込む。「石橋どこ
(单词翻译:双击或拖选)
平松政次 チャンスは二度あるとは限らない
 
 人間なんて不思議なものだ。まさかと思う落とし穴に、ストンと落ち込む。
「石橋どころか、鉄橋を叩いても渡らない」といわれた、あの川上哲治一塁手(巨人)だって、信じられないようなミスをやっている。
 昭和28年7月1日、後楽園球場でオールスター第1戦が行われた。このとき川上はホームチーム用ユニホームを持ってくるところを、間違えてビジター用ユニホームを持ってきた。球場にきてから気がつき、東京・世田谷区野沢町の自宅に電話をかけ、拡子夫人がタクシーでかけつけた。しかし入場式には間に合わない。このため川上は入場式の間、ひとりロッカーにかくれていた。
 こういう話はまだつづく。
 昭和42年8月15日、後楽園球場で巨人対阪神18回戦が行われた。その前日、阪神ナインは新幹線で上京、東京・文京区真砂町の宿舎「清水旅館」に入った。
 だがこの日、佳紀捕手だけは奥井成一マネジャーに断って別行動をとった。午後2時すぎ、宝塚市仁川の自宅を良子夫人と一緒に自動車に乗って出た。良子夫人の実家が東京・調布市つつじヶ丘にある。14日の晩は清水旅館に泊まらず、良子夫人の実家に泊まるためだ。
 さて午後10時すぎ実家にやってきた。ここでトランクをあけたはふるえ出した。帽子、ユニホーム、アンダーシャツ、ストッキング、スパイク、バット、ミット、マスク、胸当て、すね当て、要するに商売道具一切、なにも入っていない。
「おい良子。お前、車に積まなかったのか」
「なにいってんのよ。あんた自分で積んだんじゃあなかったの」
 こうして46年間におよぶプロ野球史上、ただひとり商売道具を全部忘れて相手球団本拠地に乗り込んできた男が誕生した。もっともの場合、翌15日の早朝一番の飛行機で自宅にとってかえし、後楽園にはなに食わぬ顔で現れたのだが——。
 話題を平松政次投手(岡山東商、大洋─引退)に移そう。平松もまた、まさかと思う落とし穴に落ち込んだ試合がある。
 昭和45年8月16日、川崎球場での大洋対広島15回戦がそれである。試合は平松と安仁屋宗八投手の先発で始まった。
 一回表、平松はトップ打者、今津光男遊撃手を二ゴロにとったあと、二番・国貞泰汎二塁手にストレートの四球を出した。
「結果的にはこのストレートの四球がよかったんですね。きょうはコントロールがあまりよくないから、大事に行こうという気持ちになったんです」(平松政次)
 カンのいい平松はそうひらめいた。それからは大橋勲捕手を相手に、粘土で銅像の原型を作り上げていくような、手間ひまかけたピッチングをやり始めた。
「カミソリシュート」のニックネームを持つ平松が、手間ひまかけて投げ出したのだから、広島ナインは青くなった。
 大橋もていねいなサインをくりかえす。気がついたら六回終了時点まで、四球の国貞ひとりしか走者を出していない。
 七回一死後、平松は三番・山本浩二中堅手をまたストレートの四球で歩かせた。しかしノーヒットノーラン試合は進行中で崩れていない。
「ところが安仁屋もよくて0対0なんですよ。ぴーんと緊張しましたね。ノーヒットノーラン試合と勝負を賭けているんですから」(平松政次)
 平松は八回も五番・興津立雄一塁手、六番・上垣内誠右翼手、七番・井上弘昭三塁手をぴたり抑え、いよいよ九回に移った。
「この回を無安打に抑え、九回裏に味方が得点してくれたら、おれはノーヒットノーラン試合と勝ち投手の両手に花だ」
 そう思うと、平松は心臓がとび出すほど体がふるえてくるのだ。九回無死、八番・田中尊捕手が右打席に入ると、大橋がすっとんできた。
「平松、緊張するな、油断するな」
 平松は田中を三振にとった。次は九番安仁屋である。私が書きたいのは、安仁屋の顔を見た瞬間における、平松の微妙な心理なのだ。あと2人だという気持ちの中に、ちらりと安仁屋なら打たれないという、なめてかかった落とし穴に、落ち込んでいた。
 平松は初球、ど真ん中に速球を投げた。安仁屋は打った。
 打球はどん詰まりの飛球となって関根知雄二塁手と中政幸中堅手の中間地点へ落ちて行く。関根と中がころがるように、あえぐように走って行く。その姿を見て平松はすーっと血の気が引いていくのがわかった。
 打球は関根の2メートル後方にポトンと落ちる安打になった。これでノーヒットノーラン試合は夢のように消えた。この時点における安仁屋の打率1割6分1厘である。
「九回は無得点に抑えたんですけれど、安仁屋に打たれたこと、打率1割6分1厘の投手に打たれたこと、それらが重なり合って放心状態でしたねえ」(平松政次)
 九回裏、大洋も無得点で試合は0対0のまま延長戦になった。
 延長10回表、広島は三番・山本から始まる。初球、カーブでストライク、2球目、内角のシュートで勝負に行った。山本はそれを左翼席中段に14号本塁打した。
 男の運命なんてわからない。
 わずか10数分前までは「ノーヒットノーラン試合と勝ち投手の両手に花だ」と心臓もとび出すほどの思いだったのに、それがどうなのか。
 ノーヒットノーラン試合はつぶれ、それどころか、スコアは1対0、このままいけば負け投手となってしまう。
 平松は怒りとも、泣きたい気持ちとも、なんとも整理のつかないうちに10回を投げ終えた。その裏、大洋は無得点だから、平松は被安打2本の負け投手となった。
「誰をうらむこともできないんですよ。安仁屋を甘くみてノーヒットノーラン試合を崩され、それにがっくりきて山本浩二に決勝ホームランされたんですから。
 でも、その晩思ったんですよ。おれはまだプロ4年生だ。こんどノーヒットノーラン試合のチャンスがあったら、そのときこそ逃がすものか——と。でも世の中はそう甘くありませんねえ。いまプロ16年生ですが、いまだに完全試合はおろか、ノーヒットノーラン試合もやっていませんよ」(平松政次)
 人生、チャンスは二度あるとは限らない。たとえ若くても、最初のチャンスはしっかりとつかめと、平松の顔には書いてあった。
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