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運命を変えた一球16

时间: 2019-05-09    进入日语论坛
核心提示:松岡弘 人生、独りで相撲をとるな 松岡弘投手(倉敷商、ヤクルト)の心を支えているものはなにか。 昭和53年10月22日、後楽園
(单词翻译:双击或拖选)
松岡弘 人生、独りで相撲をとるな
 
 松岡弘投手(倉敷商、ヤクルト)の心を支えているものはなにか。
 昭和53年10月22日、後楽園球場で行われた日本シリーズ、ヤクルト対阪急第7戦を取材して、私は息をのむ思いだった。スコアは1対0、ヤクルトがリードのまま迎えた六回裏一死後、四番・大杉勝男一塁手は左翼席本塁打した。すると上田利治監督(阪急)は左翼線審の富沢宏哉に「いまの打球はファウルじゃないか」と抗議した。
 この抗議は午後2時54分から4時13分まで、実に1時間19分もつづき、昭和25年以来、29年間におよぶ日本シリーズ騒動史上、もっとも長い抗議になった。
 だが私が息をのんだのは、1時間19分の長時間抗議ではない。試合再開後にやってのけた、なんとも鮮やかな松岡のピッチングである。
 リードしている投手が、1時間19分じらされれば、だれでもイラだつ。生理的には肩も冷えてくる。じれにじれない方がウソなのだ。それが先発松岡の場合、どうだったのか。
 七回表が始まると、七番・中沢伸二捕手の代打・高井保弘を遊ゴロ、八番・大橋穣遊撃手の代打・大熊忠義を三振といったペースで、ぴたりぴたりと料理。ついに投球数136球で完投シャットアウト。ヤクルトを日本一にのしあげた。
 くりかえすが、並の男なら1時間19分の間で心理的・生理的に参ってしまう。それなのに松岡は、抗議前と再開後とちっとも変わらないピッチングを見せた。いったい、なにが松岡の心を支えていたのか。
「あの一生忘れられない試合というか、悔しさというか、無念の思いを体験したからですよ。あの塩水を飲んだような思いだけは、これからあとの人生でも忘れられないなあ」(松岡弘)
 私が本当に書きたいのも、実はその試合なのである。
 昭和47年8月17日、後楽園球場で巨人対ヤクルト23回戦が行われた。先発は当時、プロ5年生松岡と関本四十四投手だった。
「あのころは速球とカーブの二種類しか持っていない。だから、その二種類をどう組み合わせるかの問題なんだけど、スピードはあったなあ。おもしろいほどあった」(松岡弘)
 松岡は一回裏、一番・柴田勲中堅手を三ゴロ、二番・土井正三二塁手を遊ゴロ、三番・長島茂雄三塁手を右飛に片づけ、うまくはずみをつけた。
 二回裏は四番・王貞治一塁手を中飛、五番・高田繁左翼手を三振、六番・末次利光右翼手も二飛である。松岡をさらに乗せたのが、四回表ヤクルトの攻撃だった。二死後、三塁走者に若松勉左翼手、二塁走者に中村国昭二塁手をおき、六番・ロバーツ一塁手が二塁内野安打して1点。五回表には無死、七番・大矢明彦捕手が中越え三塁打、一番・荒川堯三塁手は四球のあと、二番・東条文博遊撃手の右前安打で2対0とした。
 松岡は四回裏まで一人の走者も出していない。五回裏、四番王からの打順のとき、大矢が松岡のところにすっとんできた。
「カーブなし、ストレートだけで勝負しよう。王さんにストレートだけで勝負すれば、ほかの打者は、それだけでふるえ上がるから」
 松岡も納得、カウント2─2後の5球目、内角の速球で王を右飛に片づけた。
 六回裏も走者を許さない。問題は七回裏、一番柴田から始まる打順だ。それでも松岡は柴田を三振、二番土井を三振、三番長島を三ゴロ。完全試合を進行させた。
「七回が終わって完全試合を本当にやりたいと思いましたね」(松岡弘)
 八回裏、四番王を二ゴロ、五番高田を左邪飛、二死となった。打席に六番・槌田誠右翼手が入った。この日、末次は第1打席で二飛、第2打席で三振だったので、六回表の守備から槌田に交代していた。先発メンバーの末次と控えの槌田では、松岡の受ける圧迫感が違う。本音を吐くと、槌田の顔を見たとき、松岡はホッとした。それまで張りつめていた松岡の心がゆれ動いた。
「あと4人だ、あと4人で夢にまで見た完全試合だ」という心臓もとび出すような感動、そしてその裏側にチラリと「槌田なら怖くない。槌田なら完全試合は崩れない」という、槌田をなめた気持ちも働く。私が人間の心はあのムカデの足より微妙で、不思議にゆれ動くと書いたのは、このあたりである。
 松岡は、槌田に対して初球ボール、2球目ボール、3球目ファウルのあと、4球目、内角の速球で勝負した。槌田は叩いた。「カーン」という音ではなく、「グシャッ」という、トマトのつぶれたような音がした。打球はどん詰まりの打球となって、山下慶徳中堅手、中村国昭二塁手の中間地点にとんでいく。山下と中村があえぐように、つんのめるように追ったが間に合わない。ポトンと落ちる安打になった。
 投球数98球目に完全試合は崩れた。松岡は胃袋のあたりから、血の気が去っていくのがわかった。七番・上田武司遊撃手の初球、カーブを投げた。それを左翼席中段に2点同点本塁打された。
 もう一度書く。松岡は投球数98球目で完全試合が崩れ、投球数99球目で2対2の同点にされた。なにが原因で打たれたのか。理由はちゃーんとわかっている。槌田の顔を見たとき「あと4人だ。槌田なら打たれない」と、ムカデの足のように、松岡の心がゆれ動いたからだ。
 さて、松岡をめぐる話はこれで終わっていない。九回無死、九番・菅原勝矢投手の代打・滝安治に右中間三塁打を打たれた。それから柴田に1─2後の4球目、サヨナラ中犠飛を打たれ、2対3で負けた。
 男の運命なんてわからない。投球数97球までは完全試合進行中だった。それが投球数107球を投げ終わってみると完全試合どころの騒ぎではない。なんと負け投手なのだ。10球で天国から地獄へ落ちた。
「当時はプロ5年生で夢中だったなあ。あの試合は10年すぎたいまでも夢に見ますよ。人間、一段階ランクを下げて勝負するという大切さを、あの試合で教えられましたね。完全試合進行中だったら、なにがなんでも完全試合というのではなく、無安打無得点試合でいいじゃないか。無安打無得点試合を進行中だったら、完投勝ち投手でたくさんだという、欲をかかない精神です。この精神さえ持っていたら、独り相撲をとらなくてすみますもの」(松岡弘)
 松岡はいま完全試合も無安打無得点試合もやっていない。でも、この試合のおかげで、それからの人生は独り相撲をとらなくなった。
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