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運命を変えた一球21

时间: 2019-05-09    进入日语论坛
核心提示:落合博満 挫折は男の武器である 私は落合博満二塁手(秋田工、ロッテ)に、本書のねらいを話した。「あなたの運命を変えた試合
(单词翻译:双击或拖选)
落合博満 挫折は男の武器である
 
 私は落合博満二塁手(秋田工、ロッテ)に、本書のねらいを話した。
「あなたの運命を変えた試合とは、どんな試合だったのか。その試合は勝ったのか、負けたのか。プロフェッショナルの底知れない恐ろしさに、ふるえ上がった試合はあるのか、あるいは途方もない奥行きの深さに、腰を抜かした試合はなかったのか——」
 私の質問に、落合はなんのためらいもなく、これから書く試合を話してくれた。
 それなら落合は、その試合でヒーローになったのか。それとも試合を引っくり返すような、エラーをやったのか。
 実はとんでもない。全く何もしていないのである。なぜ、全く何もしていないのに、これが落合の運命を変える試合になったのか。
 昭和56年6月24日、川崎球場でロッテ対西武12回戦が行われた。翌25日、同球場でのロッテ対西武13回戦での観客が3000人なのに、この日は1万8000人が川崎球場にやってきた。なぜなのか。答えは簡単である。この日、ロッテが勝てば、ロッテの前期優勝が決定するからだ。
 さて、九回表西武の攻撃が終わった時点でスコアは1対1。先発東尾修投手(西武)と、九回から登場した倉持明投手(ロッテ)が投げ合っていた。
 ロッテは九回、三番・リー右翼手が投ゴロ、一死後、四番・レオン一塁手が中越え二塁打、五番・有藤道世三塁手は四球で一、二塁と持ち込んだ。ここで打順は六番落合に回ってきた。この日の落合は第1打席右前安打、第2打席中飛、第3打席三邪飛、だんだん東尾と合わなくなってきていた。
 しかし落合はウエーティングサークルを出るとき、ぶるぶると体がふるえた。
「おれが安打すれば、サヨナラ勝ちで優勝だ」
 こういう場面で体がふるえ、血が逆流しないような男は、男ではない。
 ところで、ウエーティングサークルを出た落合が、打席近くまできたとき、だれかに声をかけられた。
「落合、落合——」
 ひょいと振り返った落合は、こんどは血が凍った。バットを持った張本勲外野手が落合に声をかけながら、こちらに歩いてくる。要するに落合の代打張本という意味である。
 この打席までの落合は「試合数62、打数197、安打63、打率3割2分0厘」と、打撃ベスト10の5位にいた。
「その男がですよ。優勝がきまるという最終回の、それも一死一、二塁の場面に代打で交代ですわ。あのときの気持ちだけは死ぬまで、忘れられないだろうなあ。山内監督にしてみれば、プロ23年生張本さんの冷静さというか、キャリアを買ったんだろうし、私としては山内監督も張本さんも、だれもうらむ気持ちはないが、なんとも、なんともつらかったなあ」(落合博満)
 落合は酒が強い。酒も強いが、気も強い。もうひとつ自尊心も強い。
 ある日、酒を飲んで山内監督にいってのけた。
「監督、おれは三冠王をとる」
 山内は現役時代、“打撃の職人”といわれ、オールスター戦ではあまり打つので、“賞品ドロボウ”のニックネームまでつけられ、終身打率2割9分5厘(打数7702、安打2271)を残した男だ。その山内監督の前で、まだこの時点では実績のない落合が三冠王宣言するのだから、いい度胸をしている。
 そういう落合も、この代打交代は骨身にこたえた。
 落合は腹が立って腹が立って、声を出してどなりたい気持ちだった。他人に対して腹を立てているのではない。優勝決定の、しかも1対1で迎えた最終回一死一、二塁の場面、代打に交代させられる自分に腹を立てているのだ。
 ところで、監督なんて不思議な商売だ。山内監督は、張本を代打に選びながら、なんと主審中村浩道に交代をなかなか伝達しない。伝達しないから打席近くで、落合と張本が並んで立つようなかっこうになる。
 なぜ山内監督は、すぐ代打を主審中村に伝達しないのか。実はマウンドの東尾をイライラさせるためである。30秒、50秒、1分20秒……。東尾が山内謀略にはまって、マウンドからどなった。
「どうせ落合じゃあ、だめなんだろう。早くしろ、早く——」
 落合はこの日、東尾に対して第1打席から右前安打、中飛、三邪飛で、だんだんタイミングが合わなくなってきた。
 山内監督は東尾がどなるのを見とどけてから、代打張本を伝達した。
 さて試合は午後9時11分、二死満塁から八番・高橋博士捕手が、三塁後方へぽとんと落とす安打で、涙のこぼれるような“サヨナラ優勝”をやってのけた。
 だが、山内監督の胴上げの輪の中で、落合はさめていた。
「やったあ、やったあ。勝ったあ、勝ったあ」と、わめき、どなりながら、背番号33番山内監督の、腰のあたりを胴上げしていても、頭のどこかがシーンとさめていた。
 理由は二つあった。なんとも大事な場面に交代させられたこと、マウンドから東尾にどなられたことが、落合の心を暗くしていた。
 落合は胴上げの最中、自分で自分にいいきかせた。
「このままでは男がすたる——。今シーズンは首位打者をとろう。それと、こんど東尾と顔が合ったら、かならず打とう」
 それから3カ月すぎた9月7日、西武所沢球場で西武対ロッテ11回戦(後期)が行われた。この試合で東尾が先発してきた。
 当日、五番落合は第1打席右飛、そして問題の第2打席を迎えた。カウント1─1後の3球目、東尾はシュートを投げた。落合はこれを左翼席本塁打した。
「ダイヤモンドを走りながら、これが優勝決定の九回に出ていたらなあ、なんて思いましてねえ。でも、おれは打ったぜという実感はありましたね」(落合博満)
 話題を落合の首位打者の周辺に移そう。
 7月22日、金沢兼六園球場でロッテ対近鉄5回戦(後期)が行われた。落合は第1打席以下、死球、中前安打、中飛、右飛、右翼線二塁打で4打数2安打、打率3割4分0厘を残し、石毛宏典遊撃手(西武)を抜いて首位にとび出した。これで山内監督胴上げのとき、自分で自分にいいきかせた二つの約束ごとを実現したことになる。あとは首位打者を守り切ればいい。
 落合はこの首位打者におどり出た日から最終試合までの期間、「試合数46、打数155、安打47、打率3割0分3厘」を残し、1シーズン通算打率3割2分6厘で首位打者になった。
 落合が東尾からどなられたときカチンときてどなりかえしていたら、首位打者どころか、次に顔を合わせたとき、本塁打も打てなかったと思う。
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