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小説日本芸譚7-4

时间: 2019-05-22    进入日语论坛
核心提示:   4 相模屋は、その剣幕におどろいたように眼をあげた。彼はまた顔を撫でた。「これは前話がとんと長くなりました。先生、
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 相模屋は、その剣幕におどろいたように眼をあげた。彼はまた顔を撫でた。
「これは前話がとんと長くなりました。先生、実は手前が今日お邪魔に参じましたのは、たってのお願いがあってのことでございます」
 勿体《もつたい》らしく漸《ようや》く切り出したのは、写楽の役者絵を上板させてくれ、ということだった。
「それはもう、先生のお作は蔦屋さんの方で一手でお扱いになっていることは重々に承知しております。けれども手前の方は少し変った趣向で先生に特にお願いしたいと存じましたので」
 写楽は、相手の来た要件は先刻からうすうす分っていた。これまで蔦屋以外の板元から注文にきたことは無かったので、実は奇異に思っていたのだが、いま、変った趣向という言葉が耳を捉《とら》えた。
「どういうのですね?」
 写楽はちょっとの間、不機嫌を忘れて訊いた。
「へえ、へえ。近ごろ先生は細絵も大そう上板させていらっしゃるようですが、まことに結構に拝見して居ります。ところで、如何《いかが》でしょう、あれを目先を変えたものにしますと一段と結構になると存じますが」
「うむ」
 写楽はまたもとの渋い顔に戻った。
 細絵は彼の本意ではなかった。彼の描き度《た》いのはやっぱり大判の大首絵であった。それも初めの頃にやったように、地摺を燻銀《いぶしぎん》に潰《つぶ》した雲母摺であった。人物の顔がくっきりと浮き、しかも芝居のもつ雰囲気《ふんいき》をこれほど効果的に定着させるものはなかった。市川鰕蔵や、瀬川菊之丞《きくのじよう》や、岩井半四郎、松本幸四郎、瀬川富三郎などの似顔絵は、そうした手法で彼が気に入ったものだった。ところが蔦屋は間もなく雲母摺は御禁制《ごきんぜい》であるから止《よ》したいといった。その口実の裏には、費用が嵩《かさ》むばかりで合わないという算盤があった。写楽を発見し、写楽に目をかけた蔦屋だったが、商売である以上、作品が佳くても売れなければ仕方がない。禁制であっても、費用がかかっても、売れて算盤がとれれば出板をつづけたに違いなかった。
 蔦屋は、雲母摺を中止して、背色を黄土や鼠色にする細絵にしてくれといった。写楽は仕方なく譲った。だが、細絵ではどうも力が入らない。彼はそれまで入れていた東洲斎という号を廃《や》めて、ただ写楽とだけ記入した。
 それから板元は、役者の定紋を入れて当人を分らせるだけではなく、名前もはっきり入れてくれと註文をつけてきた。写楽は気に染まなかったが、それも承知してその通りにした。
 次に板元は、細絵には、黄土の背色一色では駄目だ、今まで在ったように背景も添えなければ売れないからと云ってきた。写楽はそれも我慢した。蔦屋に見捨てられたという意識が動く。彼は眼を瞑《つむ》って妥協した。いやいやながら人物の後に舞台道具をこまごまと描き入れた。
 ここまでくると、彼の制作意欲はひどく減ってしまった。他人《ひ と》には云えないが、結果は絵の荒れが己れに目立ってきた。近頃の焦躁の半分は、その惧《おそ》れに追駆けられているのである。
 相模屋の云った一言に写楽が顔をしかめたのは、その気に染まぬ細絵を賞め上げて、更にどこまで落す企みを持ってきたか、聞かない先の予感からであった。
「何しろ、手前どもは小さな板元でございますからな、目先を変えて出さないとなかなかのすことが出来ません。そこで先生に、ぜひ、お助けを頂き度《と》うございますが」
 相模屋の云うことは相変らず廻りくどい。顔色を見ながら容易に中心に入ってゆこうとはしなかった。
「相模屋さん、話は早く願おう」
 と写楽はいった。
「一体、どういうものを描けというのだね?」
「これは、しくじりました。つい、手前の話は長びきますのでな」
 相模屋は首を縮めて、さらに伸ばした。
「へい、へい。それでは申し上げます。手前は先生のお描きになる似顔でございますが、役者衆の癖をとってまことに絶妙で、こればかりは、ほかの先生方が真似が出来ません」
 また、話がくどくなるかと思っていると、今度はすぐ核心にふれた。
「つきましては、先生のあの特徴をうんと伸ばして頂き、いわば鳥羽絵のようにして頂いたら結構かと存じますが」
「鳥羽絵?」
 写楽は意表を突かれて、相模屋の雀斑《そばかす》のういた広い額と大きな鼻を眺めた。
「へい。鳥羽絵でございます。あの、滑稽絵でございますな。先生のお描きになるのを拝見しまして、僭越《せんえつ》ですが、これは鳥羽絵の筆法だなと手前は睨《にら》みましたので」
 相模屋は恬然《てんぜん》といった。
「これは新しい趣向と存じますが、役者衆の似顔を鳥羽絵式に滑稽に描いて出すのでございます。これは笑わせると存じますよ。何しろ馴染の役者衆ばかりでございますからな。そら、一九《いつく》や三馬《さんば》だって随分と人気があるじゃございませんか。あの滑稽本の味を役者絵で行こうという寸法なんで。こりゃあ、先生、売れますよ、当ります。大当りになります。哥麿の流行りかた位にはすぐ追い付けます」
 写楽は、煙管を癇性《かんしよう》らしく火鉢に叩きつけた。それから手を拍《う》って、奥に向って大きい声を出した。
「おいおい、この部屋を掃除してくれ」
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