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日本史の叛逆者20

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示:     20 秀吉《ひでよし》対|長宗我部《ちようそかべ》軍の激突は、半刻《はんとき》(一時間)もしないうちに片がついた
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      20
 
 
 秀吉《ひでよし》対|長宗我部《ちようそかべ》軍の激突は、半刻《はんとき》(一時間)もしないうちに片がついた。
 長宗我部軍の大将|元親《もとちか》の嫡子《ちやくし》である信親《のぶちか》が、島津《しまづ》の釣《つ》り野伏《のぶ》せの陣にまんまと引っかかり、ついに討ち取られてしまったのである。
 信親の最期は、実にみごとであった。
 四方八方から殺到する島津勢に囲まれ、信親は最後の最後まで戦い抜いた。しかし、正面から回った薩摩侍《さつまざむらい》が、信親の脾腹《ひばら》を槍《やり》で突き、弱ったところを逆側から太刀《たち》で斬りつけられ、ついに信親は落馬した。そして、立ち上がろうとしたところを、胸部への急所に槍を突き込まれ、ついに声にならない声をあげて、絶息《ぜつそく》した。
「父上」
 それが、信親の心の叫びであった。
 元親は、歯噛《はが》みしていた。それほど遠くないところで、自分の最愛の息子が死を迎えようとしている。しかしながら、薩摩軍の猛烈な攻勢に遭《あ》って、どうしても助けることができないのである。
「若君《わかぎみ》、討ち死に」
 悲痛な声が、長宗我部陣にあがった。信親の最期を見届けた伝令が、元親のもとへ達したのである。元親は、馬上で配《はい》を握りしめ、血を流さんばかりに、唇を噛《か》んだ。
(なぜだ、信親。なぜ、この父を置いて、先に逝《い》った)
 元親にとって、この戦いは、長宗我部家を存続させるための乾坤一擲《けんこんいつてき》の大勝負であった。討ち死にを覚悟したのではない。大切なのは、長宗我部家を存続させ、それを抜群の器量を持つ信親の手に渡すことだ。
 秀吉だって、信長《のぶなが》のもとで足軽《あしがる》から叩《たた》き上げて、あそこまでの地位にのぼったのである。つぎの世代では、何が起こるかわからない。そのためにも、大名としての長宗我部家を残すということが、もっとも大切な課題であった。だが立場上、元親は、それを息子に明かすわけにはいかなかった。また、そんなことを明かせば、一本気《いつぽんぎ》な性格の信親は、意固地《いこじ》になり、かえって敵中に突入しかねなかった。
 だからこそ、大事も打ち明けず、味方の士気をただ鼓舞《こぶ》することだけを考え、ここまできたのに、信親は、その意図を誤解し、真っ先に敵中に突っ込み、壮烈な戦死を遂げてしまったのである。
 信親が死んでは、戦いの意味はもうない。
「全軍、退《ひ》くのじゃ」
 元親の弟の香宗我部親泰《こうそかべちかやす》が言った。
「兄上」
 とがめるように、親泰は元親を見た。
 息子が討ち取られたというのに、兵を退くということが、あるものだろうか。
「退くのじゃ。もはや、この戦いに意味はない」
 元親は、言うだけではなく、行動で示した。馬首《ばしゆ》をめぐらせて、もと来た道を引き返そうとしたのだ。
 親泰は、慌てた。大将がそのようなそぶりを見せたら、下手をすると、全軍総崩れになる。
 そして、そのとおりのことが起こった。元親が逃げようとしているとみた全軍の士気は、一気に崩れた。
 それでなくても、信親が討ち取られたことによって、長宗我部軍の士気は、かなり落ちていた。本来なら、復讐《ふくしゆう》の念に燃えて士気が上がるところだが、信親は、下級の兵にとっても長宗我部家の輝ける希望の星だったのである。
 その信親が死んだ。もはや、戦う甲斐《かい》はない。
 百戦錬磨《ひやくせんれんま》の秀吉は、その様子を本陣から見ていた。
「どうやら、潮時《しおどき》のようじゃの」
 秀吉は床几《しようぎ》から立ち上がって、傍《かたわ》らの黒田官兵衛《くろだかんべえ》に言った。
「御意《ぎよい》」
 官兵衛も答えた。
 敵は動揺している。いま総攻撃をかければ、一挙に崩壊するはずである。
 それまで満を持《じ》していた立花宗茂《たちばなむねしげ》ら、島津家以外の九州勢が、怒濤《どとう》のように長宗我部陣に襲いかかった。
 そればかりではない。秀吉は、ここが勝機《しようき》とみて、自らの旗本《はたもと》である加藤清正《かとうきよまさ》、福島正則《ふくしままさのり》ら、自軍きっての元気者を戦場に投入した。
 それで、大勢は決した。長宗我部軍は、あっという間に崩壊し、兵の大半を失った。ただ、元親だけは、なんとか生き延びた。だが、ここにおいて長宗我部家は、四国の覇権《はけん》を完全に失ったのである。
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