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日本史の叛逆者30

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示: 真紅に染まった太陽が、山の陰から昇り始めた。 山に囲まれた不破《ふわ》の関、後世、関ケ原と呼ばれた一帯を見おろす峰の上
(单词翻译:双击或拖选)
  真紅に染まった太陽が、山の陰から昇り始めた。
 山に囲まれた不破《ふわ》の関、後世、関ケ原と呼ばれた一帯を見おろす峰の上で、大海人《おおあま》は夜明けの空気を胸一杯に力強く吸い込んだ。
 壬申《じんしん》の年(六七二)七月二十三日のことである。
(ついに、わしは帝《みかど》に勝った)
 大海人は満足げにあたりを見回した。
 このあたりに既に敵影はない。
 先帝|天智《てんじ》天皇の子、大友《おおとも》の帝(弘文《こうぶん》天皇)は、いますべての兵を失い、大津京に追い詰められている。おそらくきょう一日の間に、捕えて首をはねることができるだろう。
(帝よ)
 と、大海人は心の中で呼びかけた。
 大友にではない、先帝天智に対してである。
(あなたは、わしを踏み台にして、大津の京《みやこ》を築き上げられた。汚れた仕事はいつもわしに押しつけ、帝の位に即《つ》かれた。そして、あまつさえこの国を滅亡に導こうとされた)
 大海人は今こそ、はばかりなく大声で叫びたかった。
 正義はわれにあり、この国を救うために大海人は立ち上がり、帝を倒したのだ。
「——皇子《みこ》様」
 ささやくような声がした。背後からである。
 振り向くまでもなかった、声の主はわかっている。
「虫麻呂か、いかがした?」
「小子部連《ちいさこべのむらじ》|※[#「金+且」、unicode924f]鉤《さいち》どのが、昨夜、自害なされました」
「※[#「金+且」、unicode924f]鉤が? まことか」
 大海人は珍しく虫麻呂の方を振り返った。大地に溶け込んでしまいそうな、くすんだ色の衣をまとって、小さな体を縮めるように、虫麻呂は片膝をついていた。
「この目で見届けて参りました」
 虫麻呂は抑揚のない声で答えた。
「愚か者めが」
 なぜ、※[#「金+且」、unicode924f]鉤が死んだのか。大海人にはすぐに見当がついた。
 殉死である。
 いや、大友の帝はまだ生きている。あるいは黄泉路《よみじ》への先導をするつもりなのかもしれない。
 今度の勝利は※[#「金+且」、unicode924f]鉤の功によるところが大である。尾張国司である※[#「金+且」、unicode924f]鉤が二万の兵を召集し、それを帝ではなく大海人に提供してくれなかったら、おそらく大海人の勝利はなかったはずだ。
 ※[#「金+且」、unicode924f]鉤こそ勲功第一、戦い終われば大海人は、※[#「金+且」、unicode924f]鉤を大臣か兵政官の長に任じようとすら思っていたのである。
「なぜ生きぬ、裏切り者の名がそんなに恐ろしいか——」
 大海人は怒り、そして悲しんだ。
 裏切りというならば、帝に叛逆した大海人こそ最大の裏切り者である。※[#「金+且」、unicode924f]鉤がそのことを気にする必要などなかったのだ。
 虫麻呂は、どんな重大事を報告する時も無表情で、口を挟むこともない。
 この時もそうだった。
 大海人は感情を押さえると、虫麻呂に命じた。
「大津へ行け、今度は帝の死を見届けて参れ」
「かしこまりました」
 すぐに立ち上がろうとする虫麻呂に、大海人はさらに命じた。
「よいか、必ず帝の首を取れ」
 この時ばかりは虫麻呂の顔色が少し変った。もっとも傍目《はため》でみる限り、それとは知れなかったろう。
 長年の主従であるからこそ、大海人にはわかった。
「前とは違う」
 大海人は説明を加えた。
 虫麻呂は黙って大海人を見上げている。
「前は、帝を殺したことさえ秘匿《ひとく》せねばならなかった。だが、今は違う。世が変ったことを、民に知らしめなければならぬのだ。だから首がいる。わかるな」
「はっ」
「帝の側近は、首を渡すまいとするであろう。だが、許してはならぬ。よいな、しかと申しつけたぞ」
「かしこまりました」
 虫麻呂は中腰となって、つつっと後ろへ下がって一礼した。
 きびすを返して去ろうとする虫麻呂は、再び大海人に呼び止められた。
「そちは、わしに仕えて何年になる?」
 唐突な質問だった。しかし、虫麻呂は淀みなく答えた。
「三十年になりまする」
「そうか」
 大海人はうなずいた。
「他に御用は?」
「——ない、行くがよい」
 虫麻呂はあっという間に走り去った。
 三十年間、まるで変らぬ素早い身のこなしである。
(三十年、わしも老いるはずだ)
 いつの間にか、五十の坂を大海人は越えていた。
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