日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

日本史の叛逆者36

时间: 2019-05-24    进入日语论坛
核心提示:     二 余豊璋の館から中大兄は帰る道すがら、馬上で今後のことを考えていた。(矢は放たれたのだ) 中大兄は思う。 も
(单词翻译:双击或拖选)
      二
 
 余豊璋の館から中大兄は帰る道すがら、馬上で今後のことを考えていた。
(矢は放たれたのだ)
 中大兄は思う。
 もう、あと戻りはきかない。
 だが、あの強大な蘇我一族を倒せるものかどうか。
 一門の棟梁である入鹿《いるか》と、その父の蝦夷《えみし》、この二人を倒せばいいというものではない。
 蘇我一族は私軍ともいうべき兵を多数擁している。
 理想としては、この軍隊と堂々と対決して、打ち破るのがいい。そうすれば、蘇我の勢力を、この国から完全に一掃出来る。
 しかし、それは難しい。
 中大兄は朝廷の官ではない。ただ、現天皇の息子であるという立場だ。朝廷軍を動かす権限はないのである。
 朝廷軍を動かすには、軍の有力者を味方につけなければならない。
(だが、もし、その男が裏切ったら)
 中大兄はただちに殺されるだろう。
 母が天皇であることも、何の助けにもならない。
 中大兄は一族皆殺しにあい、入鹿はけろりとしてそのことを天皇に報告するに違いない。
 背筋に冷たいものが走った。
 そうならない、とは断言出来ないのである。
 蘇我一族の専横は憎い、許せない。
 だが、そのことを単に憎んでいた時と、それを倒すと誓った時とでは、こうも違うものか。
 今、中大兄の胸中にあるのは、大いなる恐れである。
 本当は、戻れるものなら戻りたい、とすら思い始めている。
 しかし、もう豊璋王子にしゃべってしまったのだ。もちろん王子は信用出来る。だが、一度口にしたことは天知る地知る、仮に実行しなくてもいつかは知られる。
(やはり、やるしかない)
 中大兄は蒼白になっていた。
 従者の豊人《とよひと》が、それを見咎めた。
「皇子様、御気分でも悪いので——」
 馬の口取をしながら、豊人は振り返り、馬上の中大兄を仰いだ。
「いや——」
 中大兄は首を振ると、気を取り直してあたりの風景を見た。
 飛鳥の野には色とりどりの花が咲いている。
 あちこちで鳥の声も聞こえる。
「菜摘《なつ》みの季節だな」
 中大兄は血腥《ちなまぐさ》いことから離れたかった。
「まことに」
 豊人はゆっくりと進んで行く。
 春の野に出て、菜を摘むことは、この季節の大きな楽しみなのである。
 別れ道にさしかかった。
 左へ行けば飛鳥宮である。
「右だ」
 中大兄は指示した。
「どちらへ?」
「いいから行け」
 豊人は、きょうの皇子のようすは、いつになくおかしいと思った。
 中大兄は人当りがいい。従者や下人に対しても、頭ごなしに物を言うことは少ない。その中大兄がそう言ったので、豊人は不思議に思ったのである。
 実のところ、中大兄はどこへ行くべきか、まだ決めていなかった。
 こちらへ行けば、協力を求めねばならない人物の館はいくつかある。
 しかし、もし、そういうところへ行くならば、今はまずいという気もする。
 途中で、どんな人物に会うかわからない。その中には、蘇我の息のかかった者もいるかもしれない。
(こちらへ行けば、中臣鎌子《なかとみのかまこ》の館もあるな)
 中大兄はふとそれに気が付いた。
 余計にまずい。
 鎌子との結び付きは、まだ隠しておきたい。
 それが、中大兄の「革命」を成功させる道でもある。
 しかし、このままこの道を進めば、人は中大兄が鎌子の館をたずねたと噂するかもしれない。
(もし、それが入鹿の耳に入れば)
 中大兄は行き交う人が、すべて入鹿の息のかかった密偵のように思えてきた。
 市《いち》へ向かう物売りも、あたりの農民も、このわずかな供を連れた平服の貴人が、まさか中大兄だとは思わないだろう。
 しかし、顔を知っている者がいないとは限らないのである。
 向うから、従者一人を連れた役人が歩いてきた。
 中大兄をみとめると、びっくりして道の隅へ寄り、額を地にこすりつけて拝礼した。
「——しのびだ。略礼でよい、と申してやれ」
 中大兄は騎馬で付き従っている家来に言った。家来は馬を寄せてその旨を伝えた。
 役人は立ち上がって、顔をやや伏せた。
 貴人と視線を合わさないのが礼儀なのである。
 中大兄は舌打ちした。
 せっかく目立たぬよう、三騎と従者一人を連れて出てきたのに、あんな拝礼をされたら身分がわかってしまう。
 現に、道のあちこちで、ささやき声が聞こえた。
「あれは誰」「中大兄皇子だ」とでも言っているのであろう。
「皇子様、いかが致しましょう」
 豊人が聞いた。
「うむ」
 やはり軽率にこんなところまで来るべきではなかった。今は目立たぬよう目立たぬよう、行動すべき時なのだ。
「——あの、皇子様」
 豊人が遠慮がちに言った。
「何だ」
「漢殿様のお館をたずねられてはいかがでしょうか」
「あやつの?」
 中大兄は不快な顔をした。中大兄は漢殿を兄とも弟とも認めていない。
「なぜ、そんなことを言う?」
 中大兄は不思議に思って聞いた。
「漢殿様のお館をたずねられるのなら、誰も不審に思いますまい」
 豊人は答えた。
 そうか、それも一案だな、と中大兄は思い直した。
 顔も見たくない男だが、その血のつながりは周知の事実である。
 ここで、あの男をたずねれば、他の場所に行ったのでないと証明できる。
「よし、参ろう」
 中大兄は決断した。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%